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『タンジェリン』ショーン・ベイカー監督インタビュー

『タンジェリン』ショーン・ベイカー監督インタビュー
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監督はどういう映画に影響を受けたのでしょう?

元々ニューヨーク大学で映画を学んでいたんだけど、母に連れて行かれて6歳位の時に見た、クラシカルなモンスター映画が初めての映画体験でした。でも当時は映画を映画館で観る以外は、近所のビデオ屋くらいしかなかったから、大学に入るまでは普通のハリウッド映画しか知らなかったんです。

大学に入学した頃は「次のダイハードを作りたい!」と思ってたけど、在学中に色々な映画に触れて、卒業する頃には「マイク・リー ((イギリスの映画監督。即興性のある演出を得意とする。サリー・ホーキンズ主演『ハッピー・ゴー・ラッキー(2008)』はキューティー映画の傑作。他に『秘密と嘘(1996)』『ターナー、光に愛を求めて(2014)』など。))みたいになるんだ!」と思うくらい変わってましたよ(笑)

ジョン・カサヴェテス ((ニューヨーク出身の俳優・監督。「アメリカン・インディーズ映画の父」の異名を持つ。『フェイシズ (1968)』ベルリン国際映画祭金熊賞受賞『ラヴ・ストリームス(1984)』など。))の映画も好きだし、ドグマ95 ((1995年、ラース・フォン・トリアーらデンマークの映画界によって始められた、「純潔の誓い」と呼ばれる一定のルールに沿った映画を撮るインディペンデント映画運動。世界中の低予算映画に大きな影響を与えた。))にも影響を受けました。ドグマ95の頃はもう映画を1本撮っていたけど、ドグマ95の作品群をみて「自分も超低予算で映画が作れるんだ」とすごく励まされました。だからラース・フォン・トリアー ((デンマーク出身の映画監督。ドグマ95の中心的人物で問題作を発表し続けている。『ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000)』『メランコリア(2011)』『ニンフォマニアック(2013)』など。))にも大きな影響を受けています。

なるほど。そんな監督に「次のダイハード」を目指していた頃を思い出してもらって、キューティー映画でお好きな作品はありますか?

えぇっと……(考え込む監督)

難しい質問だなぁ…
ちなみにあなたは何ですか?

このサイトをやるきっかけにもなったのですが『フォーチュン・クッキー(原題:Freaky Friday)』ですね。

あぁ!ジョディー・フォスターの!クラシカルでマニアックな映画だね!(テンション上がる)

いえ、オリジナルのTV映画の方ではなく、リンジー・ローハンが主演した方なんですが…(笑) ((喧嘩している母娘の心が入れ替わるキューティー映画「Freaky Friday」はこれまで3回映像化されている。ここで筆者が話したのはマーク・ウォーターズ監督による主演のリンジー・ローハンを一躍スターにした2003年版。監督のテンションがあがったのは、当時14歳だったジョディ・フォスター主演のTV映画(劇場公開あり)の1978年版。))

あぁ…なるほど(テンション戻って再び考え込む)

すっごく考えたんだけど、やはりジョン・ヒューズ作品かなぁ。『素敵な片思い』なんかはメジャー作品だけど、すごく好きですね。


現在撮影中の新作『Florida Project ((ショーン・ベイカー監督最新作。今年のサンダンス映画祭で何かしら発表される予定(プレミア上映にはならないとのこと。)ちなみに「Florida Project(フロリダ・プロジェクト)とは、ウォルト・ディズニーが当時湿地帯だったフロリダのオーランドの土地に、環境までコントロールできる未来都市型のテーマパーク建設を目指した一大プロジェクト名。ウォルトの死去により計画は中断。のちにディズニー・ワールドが建築されるが、当初の構想とは大きく異なったものになっている。))』は35mmフィルムでの撮影ですが、『タンジェリン』とは違いますか?


撮影機材が変わったから全てが変わりましたね。iPhoneだと1時間で100カットは撮れるけど、35mmフィルムだとせいぜい2カットがいいところで、セッティングに時間がかかるしスタッフ数も増えるので全く違います。

監督としては撮影方法の選択は映画の内容次第だと思っていて、『タンジェリン』はiPhoneで撮って本当に良かったと思っているし、『Florida Project』はあなたに観てもらうとわかると思うけど、作風的にセルロイドな感じというか、艶のある感じにしたかったので、どちらかというとクラシカルな画になっています。

もしかしたら次回作はまたiPhoneにするかもしれません。だけど監督として撮影機器に縛られたくないし、iPhoneだからこれが最新の撮影方法なんだ!とか言いたくないです。

それより、映像作家には色んなメディアがあって、色々と選択ができるべきだと思う。だって物語や技法や機材など色んなファクターが1つになって出来る総合的なものが映画だと思うので。

35mmフィルムというのも、まだまだ失くしてはいけないと思っています。映像を記録していくメディアの中で、フィルムは一番保存が出来るメディアとして見直されるべきだと思うし、手放してはいけないものだと思いますね。