
シェイリーン・ウッドリー、テオ・ジェームズ、アンセル・エルゴートら若手スターが出演、人気ディストピアYA小説原作『ダイバージェント』シリーズ。その最終章『Ascendant』がTV映画となることが先日発表されましたが、これまでの流れと今後を考察してみたいと思います。
まず今回のことを整理してみます。
当初は3部作を予定していた
当初『ダイバージェント』シリーズは原作通り全3部作の映画になる予定でした。
最終章が前後編で分割された4部作に
それが、『トワイライト』『ハンガー・ゲーム』の製作・配給のライオンズ・ゲートがお得意の、最終章を前後編に分割した全4部作に変更となります。タイトルは『The Divergent Series: Allegiant — Part 1』と『The Divergent Series: Allegiant — Part 2』でした。
前後編がそれぞれ独立した作品となって4部作に
2015年9月、最終章前後編は『Allegiant』『Ascendant』とそれぞれ独立した作品に変更されます。
最終章の撮影前に監督が降板
2016年2月、2作目『ダイバージェントNEO』から最終章『Ascendant』まで監督する予定だったロベルト・シュヴェンケが『Ascendant』撮影前に突如降板します。
最終章の新しい監督が決定
2016年3月、『Ascendant』の監督が『アデライン、100年目の恋』リー・トランド・クリーガーに決定。撮影は夏からを予定(当初は春を予定)。
『Allegiant』全米公開。興行成績は過去最低に
2016年3月18日、シリーズ3作目『Allegiant』全米公開。興行成績はシリーズ過去最低となってしまいます。
最終章『Ascendant』がTV映画に。続けてTVシリーズも
『Allegiant』の興行成績が思った以上に良くなく、ライオンズ・ゲートは最終章『Ascendant』をTV映画として公開し、続けてスピンオフとなるTVシリーズを製作するすることを発表します。ちなみに『Allegiant』の日本公開が当初6月25日でアナウンスされていましたが、現在は白紙となっています。
7月から撮影が予定されていた『Ascendant』はこの発表に伴い中断しています。
さて、ここで問題となるのは『Ascendant』のTV映画化と、続くスピンオフのTVシリーズの件をシェイリーン・ウッドリー、テオ・ジェームズ、アンセル・エルゴートら出演者たちが事前に聞いていなかったことです。さらに今回のTV映画版への出演契約を誰もしていないことです。
ライオンズ・ゲートの発表では大幅に予算を縮小した形で『Ascendant』をTV映画として制作・放送し、その時にスピンオフのメインキャラクターたちを登場させ、TV映画を引き継いだ形でスピンオフのTVドラマとして展開していく予定です。
これは以前ディズニー・チャンネルが『ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー』で試みて失敗した展開です。(しかもシリーズを引き継ぐメインキャラクターを演じていた俳優の1人は後に警察と銃撃戦をやって逮捕)
『Ascendant』TV映画版には、最低でもシリーズを通して登場していたメインキャラクターのうち、シェイリーン・ウッドリー、テオ・ジェームズ、アンセル・エルゴートの出演がないと、シリーズ最終章としてはおかしいことになります。
これまでテオ・ジェームズ、アンセル・エルゴートはTV映画への出演を聞かれても、出演を明言していません。むしろ否定的な発言をしています。そして今回シェイリーン・ウッドリーがインタビューで出演について聞かれて、明確に『ダイバージェント』シリーズのTV映画とドラマに出演することに興味がないことを語っています。
ただしこれで出演が完全になくなったわけではなく、今後の交渉次第で出演の可能性もまだ残ってはいますが、かなりハッキリと否定をしていますから、交渉は難航すると思います。
最終章を前後編に分ける公開方式は、撮影に関してはたいてい1本の作品として撮ってしまっています。『ダイバージェント』シリーズも当初の予定通り最終章を前後編にしていれば、撮影も撮り終えることが出来、4作目をTV映画として放送することも出来ました。
しかしそれぞれを独立した作品にしたため、まだ『Ascendant』は撮影されていません。なので、メインキャラクターを演じた有名人気俳優たちの動向がことさら重要となります。
こんな状態となってしまった『Ascendant』、最終的な決着をどういう風にするのでしょう??
当初の予定通り劇場用作品として撮影を開始する。ただし予算は大きく削減なので、ナオミ・ワッツ、ケイト・ウィンスレット、オクタヴィア・スペンサーといったギャラの高い俳優の出演を削減、またはCGシーンを前作からの兼用や大幅カットで乗り切る。
そして劇場公開は限定的なイベント上映形式にし、すぐにTV放送か配信を行う…なんていう荒業な解決方法を取るんでしょうか?
もしくはシェイリーン・ウッドリー、テオ・ジェームズ、アンセル・エルゴートに高いギャラを払ってなんとかTV映画版に出演してもらい、CGシーンのクォリティを落としたりして何とか予算内で収めて、とにかくスピンオフのTVシリーズにもっていくのか…
いずれにせよ、若い女性層を映画館に引き戻し新しい客層を作り上げ、大きな興行成績を作り出していたSF・ファンタジー系YA小説原作のシリーズ映画の終焉と、その流れがTV映画やドラマといった新しいメディアへ移行していることを表す例となりました。
『トワイライト』『ハンガー・ゲーム』と続いた、ティーン向けの人気SF・ファンタジー系YA小説原作の映像化ビジネスは、今や映画とそれに続くソフト化による収益ではなく、TV映画とドラマシリーズが中心。さらに最近は発信するメディアも配信やアプリが中心となりビジネス構造も変化しています。
映画では失敗した人気YA小説の映像化『シャドウハンター』が改めてキャストを一新しドラマ化で成功したり、ディズニーがティーン向け映画を全てTV映画として制作・配信してヒットを飛ばしたりと、ティーン向けは映画というジャンルに、もはやこだわらなくなりました。
内容的にパラノーマル・ロマンスやディストピアといった架空の要素はなりを潜め、ティーンの悩みや現状の閉塞感をより身近でリアリティのあるものにした難病モノや青春モノに移行したかのようにも思えましたが、こちらもその後大きな流れにはならず収束気味です。「ゴシップガール」「プリティ・リトル・ライアーズ」のサスペンス路線は今後も継続され、結果的にそれらの作品の元でもある90年代のカルト的人気のあった青春学園モノがリブートやリメイクで復活していく兆しがあります。
そういう流れの中で『Ascendant』のゴタゴタと、その解決方法、そして新しい展開が成功するか否かが、今後のティーン向け作品の1つの指標となるのは間違いありません。