
2013年も終わろうとしているギリギリの31日に記します(笑)(去年も同じでした)
まず全米を中心とした世界のキューティー映画の動きですが、今年特徴的だったのが
・ベテラン女優による大人向けキューティー映画コメディが大ヒット
・『トワイライト』がもたらしたYA小説原作キューティー映画の多発と脚光を浴びるファンフィクション
・単館系キューティー映画がヒットと初公開メディアの変化
の3つでした。そして世界の中で日本だけがキューティー映画の主流の流れから取り残されていることを如実に感じる1年でした。
大人向けキューティー映画コメディが大ヒット
アメリカでは今年もキューティー映画のヒット作がいくつか出ました。
まず、今年全アメリカ公開映画の中で最初に興行収益が1億ドルを突破したのが、女詐欺師のメリッサ・マッカーシーと、勝手にカードを利用されたサラリーマン、ジェイソン・ベイトマンのキューティー映画『Identity Thief』でした。
これ、2人による追っかけっこのドタバタ・コメディかと思いきや、最後とても爽やかにメッリサがヒロイン然として終わる見事なキューティー映画なんです。現時点では日本未公開です。
そしてキューティー映画のヒロインではベテラン女優2人の主演映画が共に1億ドルを超えるヒットしました。
サンドラ・ブロックとメリッサ・マッカーシーがFBIと地元警官のコンビとなり事件を追う『The Heat』
ジェニファー・アニストンがストリッパー役、偽家族になりすまし麻薬密輸を企てる『We’re The Millers』(邦題「なんちゃって家族」で2014/1/25公開)
両作品に共通しているのが、お下品上等!の大人向けコメディであること、サスペンス要素が入っていること、そしてヒットが長続きしていた、ということです。
『The Heat』が夏休み映画激戦時期の上映で5週に渡りベスト10内に留まりました。同時期の大作『モンスター・ユニバーシティ』『マン・オブ・スティル』『ワールド・ウォーZ』らが平均5週でしたからそれと同等です。
一方『We’re The Millers』は8月から公開され、なんと9週に渡ってベスト10に留まっていました。しかもほぼベスト5入りしていたのは凄いです。
この大ヒット映画『The Heat』も日本で未だ公開されていません。
『トワイライト』がもたらしたYA小説原作キューティー映画の多発と脚光を浴びるファンフィクション
『トワイライト』サーガで形成された巨大な女性映画ファン市場、日本では今一つその規模や盛り上がりが分かりにくいのですが、明らかに今の映画産業を支えています。そして『トワイライト』の次を取るべく、数多くの作品が企画・公開されました。
女性映画ファン市場を引き継いだのは『ハンガー・ゲーム』シリーズです。今年は2が公開され、大ヒットを記録しました。
YA小説が原作の映画で話題になった映画としては
『The Host』
『ビューティフル・クリーチャーズ 光と闇に選ばれし者』
『The Mortal Instruments: City of Bones』
『How I Live Now』
といったものが主に上げられます。みんなシリーズ化が念頭に置かれ「トワイライト大ヒット再び!」を期待されていましたが、いずれも不発に終わってしまいました。今のところシリーズ継続を表明しているのは『The Mortal Instruments』シリーズですが、これもcueでお伝えしたとおりまだまだ流動的です。
制作が中断されていた『Mortal Instruments』(シャドウハンター 骨の街)の続編、再始動へ
ちなみに上記に並べた作品群、『How I Live Now』以外は実際見ましたが、う〜ん…
どれもキューティー映画としての恋愛要素などが薄く、世界設定やSF設定がゴチャゴチャしていて、シンプルさに欠けていました。
ちょっと大げさで笑っちゃうくらいのシンプルなテーマやコンセプト、『トワイライト』なら「地味な女子高生を取り合うイケメンヴァンパイアと年下狼男」みたいなものが結構重要だと思います。
そして『トワイライト』の大ヒットはYA小説の映画化だけではなく、同人小説=ファン・フィクション(通称ファンフィク)の世界にも大きく影響しました。『トワイライト』のファンフィクに、電子書籍+スマートフォンというツールが組み合わさったことで、作品とファンが直結し、潜在的な女性層を大幅に開拓。その結果はトワイライトのファンフィクが元となったエロティック小説『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』の大ヒットを生み出す結果になりました。
その『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』映画化とキャスティングに関することも2013年、海外では大きな話題でした。
単館系キューティー映画がヒットと初公開メディアの変化
一方で、芸術性やオリジナリティに富んでいたり、作家性が強かったりする単館系キューティー映画が少ない上映館数ながら、意外な大きなヒットを記録したのも今年の特徴です。
イーサン・ホークとジュリー・デルピーによるカップルの歴史を追っかけたシリーズ最終作『ビフォア・ミッドナイト』、ケイト・ブランシェット主演でウッディー・アレン作品では最大ヒットとなった『ブルージャスミン』、「全編フランス語で上映時間3時間で17NCシーンあり」と様々な厳しい条件ながら全米でヒットしたカンヌ受賞作のフランス映画『アデル、ブルーは熱い色』など。
そしてビジネス的には、単館系(インディペンデント系)キューティー映画の公開方法が「最初にiTunesムービーなどVODで公開、次に劇場公開」の流れで定番化しました。これは去年、キューティー映画『バチェロレッテ あの子が結婚するなんて!』ではじめて成功したパターンで、その後アメリカでは定番化しました。今ではほとんどのインディペンデント系映画が最初にVODが行われています。
良質なキューティー映画によってビジネスが変わっています。
来年は全米ではバレンタイン時期に個性的で注目のキューティー映画が多数公開されます。
そして話題のミュージカル映画が多く登場します。
さらに2015年2月公開予定の『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』を前後して、R指定のエロティックな映画が増えると予想します。大人向けキューティー映画のヒットはその動員の布石になるのではないでしょうか?
日本では2013年に海外で話題になったキューティー映画、特に単館系が相次いで公開です。
2013年、cue10選キューティー映画(順不同)
cueが選ぶ2013年公開のキューティー映画です。それぞれ個性的で順位なんて付けられません。
ただし、最大の推しはフランス産『恋のときめき乱気流』です。
『ヒッチコック』
ヘレン・ミレン演じるヒッチコックの妻が撮影現場を仕切ったり、啖呵を切るシーンがかっこ良すぎました。
『かぐや姫の物語』
日本のアニメ作品ですが、これは特別です。アニメーションの技術や歴史の面からいくらでも語れる作品ですが、何よりキューティー映画になっていたことが驚きであり嬉しかった作品です。さすがは「赤毛のアン」の高畑勲監督です。しかしキューティー映画になったのは脚本の坂口理子さんの存在も大きいと考えています。
現代人としてかぐや姫を描いた結果、かぐや姫はキューティー映画のヒロインになりました。
『ウォーム・ボディーズ』
音楽、ラストへの展開、全てが素晴らしくキューティー映画してて、全然怖くないけど最高のゾンビ・キューティー映画です。
『29歳からの恋とセックス』
三十路女性の焦りを描いた、よくあるありきたりの作品かと思いきや、さすがはインディーズ映画の女王と言われるグレタ・ガーウィグ主演作品。血の通った説得力あるヒロイン像は見事です。
『ゴースト・スクール』
スペイン映画でこんなに楽しくオリジナリティあるジョン・ヒューズのリスペクト映画を見せられるとは!
『ブリングリング』
これまであるソフィア・コッポラ作品では一番好きです。ソフィア・コッポラ作品に共通する、得てして鼻につく危険性もある音楽やカメラワークなどの雰囲気が上手くマッチしてました。映画でセレブ宅への擬似空き巣ができるのが最高です。テンション上がります(笑)
『セイフヘイブン』
ニコラス・スパークスが立ち上げた自身の製作会社第一弾作品としては、120点満点の極上キューティー映画でした。何重にもどんでん返しが入る構造で、1度見てからオチを知って見直すと全く異なるイメージになるという何度でも美味しい、サービス精神あふれるキューティー作品です。
『華麗なるギャツビー』
3Dで見る、ディカプリオの初登場シーンのケレン味!さらにちょいコメディシーンが素晴らしい。『タイタニック』のディカプリオが好きな人は必見ですよ!似非金持ちを演じて、ヒロインを熱烈に恋して、恋敵がいて、また水の中に落ちていくという…(笑)
『人生はノー・リターン~僕とオカン、涙の3000マイル~』
女流監督アン・フレッチャーはやはりキューティー映画的センスがほんと素晴らしい!と思わせた1本でした。親子ものでありながらマザコン映画にならなかったのはアン・フレッシャーのせいでしょう。バーブラ・ストライサンドがちゃんとキューティー映画ヒロインになってます。特にラストが拍手したくなるくらい素晴らしいです。やられました。
『アン・ハサウェイ 魔法の国のプリンセス』
これまでhuluなどで公開はされていましたが、やっとソフト化された記念として。
アン・ハサウェイ主演の隠れた王道的名作キューティー映画です。クィーンやエルトン・ジョンの名曲を歌い踊るアン・ハサウェイが見れて楽しいです。
2013年、cue特選 番外編
こちらは限定公開作品ばかりです。誰もが見れるようになったら、ぜひオススメしたい作品です。
『ティーン・ビーチ・ムービー』
アメリカ滞在中のディズニーchにて。「ハイスクール・ミュージカル」以来のディズニーTVM大ヒット作品。本国放送後すぐ、日本人として一番早く感想をアップしました(笑)音楽も世界設定も面白い!確実に作られるであろうパート2にも期待です。
『恋のときめき乱気流』
フランス映画祭にて。今年見た中では最高のキューティー映画でした。何もかもが完璧です。早く再見したい作品です。
2014年3月26日発売決定!
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『ウィ・アー・ザ・ベスト!』
東京国際映画祭にて。かわいいパンク娘たちの友情の描写は『ショー・ミー・ラヴ』と変わらない、さりげなさが実に素晴らしかったです。スウェーデンの80年代という設定が効いていました。とにかく見終わって誰もが笑顔になれる作品です。
『総舗師 – メインシェフへの道』
東京国際映画祭にて。見た後すぐ、長文の紹介文を掲載したくらい、あまりのキューティー映画具合にビックリした作品。微妙な緩さがまたキューティー映画してていいです(笑)
『Ass Backwards』
ロスOUTFESTにて。『ロミー&ミッシェル』の再来と言われるだけはある、実に楽しくほろ苦く爽やかな作品でした。ぜひ日本でも公開してほしいです。
『The Heat』
ロスの映画館にて。サンドラ・ブロック&メリッサ・マッカーシー共演、冷静沈着なFBI捜査官と暴れん坊地元警官という、水と油のコンビによる麻薬捜査もの。大ヒットキューティー映画です。
と今年何度もこの映画の紹介を書いてきました。来年は日本で見れることを期待しつつ…
(発売中のイギリス版ブルーレイには日本語字幕が収録されています。)