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2012年、キューティー映画総括

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2012年も終わろうとしているギリギリの31日に記します(笑)
今年は、国内でのキューティー映画の公開が大豊作の年でした。海外での新作情報を調べながら「あぁ、下手したらDVDスルーにもならないだろうな。」と思っていた作品が意外にも公開されてうれしい誤算の年でした。と書いても、劇場公開は東京都心部だけの話ですが…。
デジタル配給になり、利点も問題点も色々あったりしますが、ぜひ来年はこの流れが全国の映画館に行くよう期待しています。配給会社様、メーカー様、宣伝会社様、がんばってください!

見落としがあるかもしれませんが、今年東京都心部で劇場公開されたキューティー映画を並べてみます。日本映画、韓国映画は除外しています。


ストリートダンス/TOP OF UK
ジャックとジル
ビーストリー
最高の人生をあなたと
昼下がり、ローマの恋
トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン Part1
恋人たちのパレード
ヤング≒アダルト
マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙
マリリン 7日間の恋
ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜
タイタニック 3D
Black & White/ブラック & ホワイト
ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン
ジョイフル♪ノイズ
幸せの教室
恋と愛の測り方
バッド・ティーチャー
ザ・マペッツ
ミッドナイト・イン・パリ
ヴィダル・サスーン
君への誓い
ケイト・レディが完璧な理由
ソウル・サーファー
ラブド・ワンズ
スノーホワイト
一枚のめぐり逢い
ワン・デイ 23年のラブストーリー
プリンセス・カイウラニ
屋根裏部屋のマリアたち
メリダとおそろしの森
The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛
テイク・ディス・ワルツ
白雪姫と鏡の女王
わたしたちの宣戦布告
ロック・オブ・エイジズ
ハンガー・ゲーム
モンスター・ホテル
カリフォルニア・ガール 〜禁じられた10代〜
みんなで一緒に暮らしたら
ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋
One Night, One Love/ワンナイト、ワンラブ
映画と恋とウディ・アレン
HICK ルリ13歳の旅
恋のロンドン狂騒曲
マリー・アントワネットに別れをつげて
ルビー・スパークス
恋愛だけじゃダメかしら?
理想の出産
レ・ミゼラブル
ダイアナ・ヴリーランド 伝説のファッショニスタ
トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン Part 2

うれしい誤算は『ブライズメイズ』の日本公開でした。
去年この作品の高評価、大ヒットをアメリカで見聞きするにつれ、さらに去年あまりに有名女優主演のキューティー映画がなぜかDVDスルーにもならなかったのをふまえると、日本ではDVDスルーすら怪しいを思ってました。年末の賞レースに名前が頻繁に出るようになり、アカデミー賞助演女優賞にメリサ・マッカーシーがノミネートされたのでDVDスルーはあるかなと思っていましたが、まさかまさかの劇場公開でした。

ただ宣伝展開に関しては完全に失敗したと思います。この映画を試写で見た評論家や業界人たちが自身のツイッターなどで「女性版ハングオーバー」と称しました。この言葉のチョイスでいかに日本の映画業界(宣伝会社、評論家)がキューティー映画に関する知識・ボキャブラリィ・マーケットデータを持っていないかが露呈しました。『ブライズメイズ』を見た人なら分かりますが内容、テーマ共に『ハングオーバー』の女性版ではありません。
なぜか世界中の興収成績が載っているmojoで未だこの映画の日本興業記録が記されていないので詳細は不明ですが、結果的に動員は厳しかったという情報も聞こえてきました。興行に関する真偽は分かりませんが「女性版ハングオーバー」というキーワードが対象者にどれだけ伝わったかは疑問です。
映画の内容、描かれているテーマ、ウィルソン・フィリップスの曲は、見れば素晴らしいの一言なんですが。
日本では映画に詳しいと自称する人ほど、映画業界に近い人ほど、キューティー映画を知らないのです。

自分でお金を払って見た映画の感想を描いている、一般客のみなさんが一番キューティー映画に詳しいし、感想や評価も的確…キューティー映画はお客さんのもの…ツイッターやブログなどを見ていてこれを再認識させられた作品でした。

しかし何にせよ『ブライズメイズ』が日本で公開され話題になったのは喜ばしい限りです。今後キューティー映画は『ブライズメイズ』に影響された作風が主流になると予想しています(すでに2013年以降公開予定の企画でこの傾向は見られます)。『セックス・アンド・ザ・シティ』からの流れは『ブライズメイズ』で曲がり角に達して別の方向に向きました。
そういう意味でこの作品を知っておく事は、キューティー映画ファンにとっては重要です。

『ヤング≒アダルト』は、『JUNO/ジュノ』『ジェニファーズ・ボディ』でティーンの心情をリアリティある台詞で表現した脚本家のディアブロ・コーディが、30代後半等身大の女性像を描くという事で注目されていましたが、コーディの脚本を活かしつつ、あえて少ない台詞でヒロイン、シャーリーズ・セロンの心情を描いたジェイソン・ライトマン監督の手腕が光りました。
この作品では、ダメ女であるヒロインを美人女優のシャーリーズ・セロンが演じた事もとても重要で、それが実に見事に作中で活かされていました。だから切なくて感動的でだけどもちょっと可笑しいお話になったのだと思います。劇中でのシャーリーズ・セロンとパットン・オズワルトとの友情関係の距離感が実に良かったです。
ディアブロ・コーディは『ロック・オブ・エイジズ』のジュリアン・ハフ、ラッセル・ブランド出演の初監督作品が控えていますが、今度は20代女性の自身改革ストーリー。楽しみです。(ただ、最近キューティー映画系の配給・宣伝が凄くおろそかになってるライオンズゲート製作だから、完成後が不安…)

シャーリーズ・セロンとパットン・オズワルトの友情とは異なりますが、ちょっと似たテイストで男女の友情が描かれた作品に、これまたまさか日本で公開されると思わなかったインディーズ映画『カリフォルニア・ガール 〜禁じられた10代〜』があります。DVDタイトルは『禁じられた10代』という、ソフトポルノみたいなタイトルになってしまいましたが、80年代を舞台に、遊び人の女子高生の心の成長とゲイの男の子との友情を描いたこの作品、80年代という設定は正直活かされていませんが、時代設定は気にならない、普遍的なテーマと描き方が素晴らしい作品です。
ヒロインを演じたジュノー・テンプルは、これまでもメジャー、インディーズ問わず出演してて、今後キューティー映画をしょって立つ若手の1人だと思っています。

音楽シーンが得意なトッド・グラフ監督(『キャンプ』日本未公開作品『Bandslam』)は、『ジョイフル♩ノイズ』で久々の映画主演となるカントリー歌手ドリー・バートンに素晴らしいシーンを提供し(亡き夫役、カントリーシンガーのクリス・クリストファーソンとのデュエットシーンは名シーン)、『ブロードウェイと銃弾』脚本でアカデミー賞ノミネート経験のあるダグラス・マクグラス監督(『Emma エマ』)は『ケイト・レディが完璧な理由』で、アライン・ブロッシュ・マッケンナ脚本お得意の、ヒロインの立場が特徴的という1アイディアだけで押し切る煩雑な脚本を上手くドラマに昇華させ、ヒロインの目標実現を家族ドラマを通じて描くのが巧みなショーン・マクナマラ監督(『ヒラリー・ダフの ハート・オブ・ミュージック』)は『ソウル・サーファー』で、宗教色が強い原作に家族ドラマの視点を加え、ヒロインが強く成長するドラマを見事に描き…と、職人監督たちがそれぞれ得意分野で腕をふるうキューティー映画を多く見る事が出来ました。

『ソウル・サーファー』はヒロインの事故後のシーンが、凄く巧みな演出で緊急感を描いていました。これまであらゆる映画の救急シーンの中でもベストだと思います。ドキュメントタッチのようにリアリティがある映像なのですが、ちゃんと演出がなされていて、単なるドキュメントタッチになっていません。事故に対する各キャラクターの反応の芝居が実にリアルに計算されていて素晴らしかったです。芝居のリアリティは、ヒロインが事故後みんなで食事の用意をするシーンでも巧みでした。片腕を無くしたヒロインの行動を家族みんながさりげなく気にかけてる芝居を1カットで見せます。芝居の段取りを含めて役者陣の演技、演出などプロフェッショナルな仕事ぶりが見れる好シーンです。

石岡瑛子さんの遺作となった『白雪姫と鏡の女王』は衣装だけに留まらず、美術や小物、オープニングのアニメーションからラストダンスに至るまで、独特の様式美で美術的な見所が盛りだくさんであり、さらにそれがコメディとして描かれていて実に楽しく素晴らしい作品でした。最初リリースされた、ぶっとい眉毛をしたリリー・コリンズの写真を見たときはどうなることかと思いましたが(笑)実際見ると違和感なく、ちゃんとかわいらしいヒロインになってたのは素晴らしかったです。ジュリア・ロバーツのコミカルな悪女ぶりも面白かったです。王女の最期を含め、ちょっとラストが駆け足になってしまいましたが…

『トワイライト・サーガ』最終章は2部作となり、海外ではPart1が2011年11月、Part2が2012年11月と、2年越しの完結編だったのですが、Part1の公開が年越し2012年2月となった日本では、Part2をいつもより早い2012年12月28日というギリギリのタイミングで公開しました。これにより2012年に完結編を一挙公開した事になります。

しかし、そのトワイライトブームの終焉が映画ではなく、『スノーホワイト』の主演女優:クリステン・スチュワートと監督:ルパート・サンダースの不倫騒動になるとは誰が予想したでしょう?(笑)
劇中のカップルが実際にカップルだった、というのも『トワイライト・サーガ』人気の重要な要素です。公開前後にクリステン・スチュワートとロバート・パティンソンの復縁が報じられましたが、う〜ん、この2人の関係は契約に絶対盛り込まれていたはずだから、実質ビジネス的な復縁だろうな、と考えるのは邪推しすぎでしょうか?

日本以外、世界中を席巻した『トワイライト』ブームは、ティーン向けのキューティー映画にホラーっぽい耽美的なビジュアルと、パラノーマル・ロマンスを定着させました。「美女と野獣」を現代版にした『ビーストリー』もその1つでした。

『トワイライト』の大成功はそのまま『ハンガーゲーム』の大成功に繋がります。『ハンガーゲーム』の製作会社ライオンズゲートが『トワイライト・サーガ』の製作会社サミット・エンタテインメントを買収したのは2012年冒頭、大きな話題になりました。その買収の混乱で割を食ったのがライオンズゲートで製作したキューティー映画たちだったのは皮肉です。

ジャネット・イヴァノヴィッチ原作人気シリーズをキャサリン・ハイグル主演で映画化した『ラブ&マネー』(日本ではTSUTAYA独占DVD)、全米で最も有名な妊娠バイブル本を原作にした、キャメロン・ディアス、ジェニファ・ロペス、エリザベス・バンクスら豪華共演のアンサンブル妊娠コメディ『恋愛だけじゃだめかしら』、マイリー・サイラスとデミ・ムーアが親子役で共演、ソフィー・マルソー主演のフランス映画リメイク『LOL』(日本未公開)…これらライオンズゲート製作映画が、完成後ちゃんとした宣伝もされないまま適当に公開されてしまい、興行的には失敗に終わりました。
作品の質とは別です。実際『恋愛だけじゃだめかしら』は妊娠、子育て経験がなくても面白く見れて感動出来るコメディ作品に仕上がってました。

アニメに関しては『メリダとおそろしの森』、『モンスター・ホテル』ですが、共に海外アニメ=親子(子供)向け=吹き替え版ということで、オリジナル音声版を見る事が難しくなってきています。『モンスター・ホテル』は吹き替え版のみしか公開されていません。
自分はオリジナル音声派なので『モンスター・ホテル』はソフトを待つしかないのですが、『メリダとおそろしの森』の母親役エマ・トンプソンの声の演技は素晴らしかったです。

ピクサー初女性監督によるヒロイン映画として企画されていた『メリダとおそろしの森』は途中で女性監督ブレンダ・チャップマンが降板、男性監督マーク・アンドリュースが後を引き継ぎ完成しました。そのゴタゴタのせいか作品構成がバラバラでストーリーラインの質が低かったのは否めません。
国内の興収は宣伝展開のまずさも手伝ってピクサー映画では史上最低を記録、海外では父の日や母の日と絡めた上手い宣伝展開でストーリーの不備をうまく誤摩化し、何とか例年並みの興収まで持っていきました。
メリダの作品的な失敗に関しては、監督降板劇で推測される男女問題とは全く違う、初期プロットを考案したブレンダ・チャップマン監督のテクニカルな部分での失敗にその最大の原因があると思っています。

と色々書き列ねましたが、やはり最後に『ロック・オブ・エイジズ』を書かねば(笑)

このサイトを見てくださる希少なみなさんにはお分かりと思いますが、2012年は個人的に『ロック・オブ・エイジズ』の年でした。
興収は全世界で大失敗の大コケ。作品の質も決して良くない。けど愛おしい。誰にも薦められないけど、たぶん今年見た映画でどれが良かった?と聞かれたら、同意がなくても自信たっぷりに言える映画…これこそまさにキューティー映画の本質をつく作品です(笑)

『ロック・オブ・エイジズ』の映画情報に関しては映画化が報じられてから3年追い続けました。調べたところ、日本人で一番この映画に関してツイートしてました(笑)
日本では公開されないであろうIMAX版を見にアメリカに行こうかと思ったくらいです。結局行けませんでした…これは悔いが残っています。いつかどこかでIMAX版が見れたら…(ないだろうなぁ)

日本で公開後は、人生で初めて初日初回鑑賞を体験し、映画館で同じ映画を見る自己最高記録を更新し、ネット上でこの映画の情報を集めて当サイトに世界一詳しく書き記し、アメリカ版iTunesでサントラ、映画共にデータを配信開始直後に購入。たぶん国内最速でサントラ情報とExtendedバージョンの存在と内容をツイートしたと思います。別に映画会社からも宣伝会社からも何も言われず、試写会にも呼ばれず応募もせず、常に孤独な戦いでした.別に戦ってたわけではありませんが(笑)
さらにブルーレイを英アマゾンで購入。DVDを米アマゾンで購入…『ロック・オブ・エイジズ』のために円、ドル、ユーロを使い世界規模でお布施しました。IMAX版を除く全ての映像メディアで見ました。アホです(笑)

そんなに良かったのか?というとそれとも違って、使用楽曲や演出には不満タラタラなんです。LA80年代でなぜモトリー・クルー、ヴァン・ヘイレンを使わない!フォリナー多すぎ!とか、ライブシーンの演出やステージのセットはそうじゃないだろう!とか、ミュージカルなのにオープニングのようなライブシーンにダンスを組み込んだ演出をもっとやらないんだ!とか、往年のバンド連中やスターをカメオで出して分かるやつだけにニヤニヤさせろ!とか、サントラ収録に当時のギターヒーロー達を呼んで演らせて話題性作れ!とか…あぁ悔しい…80’sのLAメタルがこんなに公に陽の目見るなんてもうないのに…と、愛憎ひとしおです(笑)

それともう一つ。
3月に企画したキューティー映画を語る女子会企画も、個人的にはとても収穫でした。
参加していただいたみなさん、ご協力いただいたみなさんには感謝感謝の極みです。
みなさんキューティー映画に詳しいし、一言持っておられる。初めての事でバタバタしてしまい時間と場所を上手く作れなかったのは反省です。その反省を活かして、いつかどこかでキューティー映画を思う存分語り合える場所と時間を作れたらと思っています。

DVDスルーで日本公開された作品も多々ありその辺も書きたかったですし、来年の傾向予想もしたかったのですが、もう2012年も3時間というところまで迫ってきたので(笑)、取り急ぎこの辺で総括を終えたいと思います。

来年も多彩なキューティー映画が日本に入ってくる事を祈りつつ…