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2017年キューティー映画総括

2017年キューティー映画総括
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毎年、年の瀬のギリギリにアップするその年のキューティー映画のトピック。今年もギリギリにアップです。

2017年キューティー映画トピックス

・世界的にヒットしたキューティー映画の大作、日米での『ワンダーウーマン』の立ち位置。
・ハーヴェイ・ワインスタイン事件の影響。
・キューティー「映画」の今後。

世界的にヒットしたキューティー映画の大作、日米での『ワンダーウーマン』の立ち位置。

今年、キューティー映画がアメリカでは続々と大ヒットしました。特に『美女と野獣』『ワンダーウーマン』が群を抜いていて、それぞれ2017年に全米公開された映画で1位と3位です。(2位は『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』)

では日本ではどうだったでしょう?アカデミー賞の影響もあってか、『ラ・ラ・ランド』が大ヒットを記録、さらに『SING/シング』が異例の大ヒット、そして『美女と野獣』と、様々なスタイルのミュージカル映画が立て続けにヒットしました。
この3作品は、アメリカを除く全世界での興行成績の中では日本が最も稼いでいます。

一方で『ワンダーウーマン』は日本では宣伝のコンセプトの方向性の失敗が大きく響いて、興行的に不発に終わりました。

海外でも『ワンダーウーマン』に関しては、これまで男性オタク向けだったスーパーヒーローのジャンルでの初の女性主人公物ということもあり、当初宣伝がうまく機能していませんでした。ワーナーもヒットには懐疑的で当初は続編などの展開にもとても消極的でした(通常、公開後すぐに決定する続編の決定が遅れたり、ヒットを導いた監督の続投決定が遅れるなど)

しかし予想以上に大ヒット、しかもロングランヒットとなりました。そこには普段スーパーヒーロー物には足を運ばない、女性層と中高年層の動員が大きく寄与していました。つまり、口コミで作品の評価が広がり、それに従って普段は見ない層が映画館に行き、その評価通りなのを認めて、さらに口コミの一端を担う、という構図です。『ワンダーウーマン』には作品自体にそれだけの力がありました。
(一方でDCコミックススス一連の映画企画「DCエクステンデッド・ユニバース」での立ち位置もヒット要因としてありますが、割愛)

海外での『ワンダーウーマン』の宣伝には、実はキューティー映画的な宣伝の仕掛けが随所に見られます。一般的に男性のためのキャラクターという位置づけだったものを、徹底的に女性による女性のためのキャラクターとして宣伝しました。元々ワンダーウーマン自体が長い歴史を経て男女どちらでも共有できるキャラクターであったことが大きかったのですが、日本では「ドジっ子」と宣伝して怒られた劇中のワンダーウーマンのオッチョコチョイな天然キャラっぽいシーン、あれは実はキューティー映画ファンならお馴染みのお約束ともいえるシーン群です。

つまり、ああいうシーンがあることを提示することが、「『ワンダーウーマン』は男性オタク向けじゃなく、ちゃんと女性向けとしても作られていますよ。」ということを知らせる意味もあったのです。海外での映像広告ではそういったコミカルなシーンの前後に主体性ある行動をするワンダーウーマンのカットが挟み込まれています。映画にカッコイイところと親近感の両方兼ね備えていることを提示していたのです。
この「憧れと親近感」という構造で見せるのは、キューティー映画では定番の宣伝手法です。

日本の宣伝はそこが理解できていませんでした。というより、キューティー映画の素養が世界的にもかなり低い日本の映画業界では本質を掴んで宣伝することは無理でした。

今後アメリカのスーパーヒーロー映画は『ワンダーウーマン』の成功もあって、SFやアクション、スーパーヒーローといったジャンルで、女性主人公の企画が目白押しです。さらにキューティー映画のリメイク企画も多数あがっています。日本の古い宣伝体質や、キューティー映画を知らない見ていない評論家陣などはこれにどう対応していくのでしょうか?

それを感じさせたのが、今回の日本における『ワンダーウーマン』の宣伝の失敗でした。

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