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“J.T.リロイ”こと「サラ、神に背いた少年」著者 ローラ・アルバート インタビュー

“J.T.リロイ”こと「サラ、神に背いた少年」著者 ローラ・アルバート インタビュー
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最近では別人格をSNSなどで気軽に作れるようになっていますし、そういうトラウマとは別の、もっと気軽にファン・フィクションなどを創作したり楽しんでいるようにも思えます。それこそ、あなたが「サラ、神に背いた少年」を書いたときとは状況が変わっていると思います。

そうね。若い人たちは確かに深い部分まで探求してませんね。もし私が編集者であれば、もうちょっと本質を深めなさいということは出来ます。
でも”痛み”によって書かざるをえないという動機がない人は、本来創作する必要はないですよね。動機がなければ、物語の奥底に届く前の「なぜ?この表現なの?」「なぜ?想像したの?」という疑問で止まってしまいますから。

日本でBLを楽しんでいる、腐女子と呼ばれる今のメインの層は、80年代、90年代に培って成立してきた少年愛や耽美的な同性愛の描写を、より気軽にカジュアルな形で「アニメやコミックなどのキャラクターを使って遊ぶ」というものが主流です。ちょっとわかりにくいかもしれませんが…

いえ、わかる気がするわ。”痛み”がない人たちほど、表面的な部分で自分が理解できないことで遊ぶということは出来ると思います。
けど、性的虐待を受けたり、親が何かの依存症であったり、そうした”痛み”を知っている人というのは、もっと深い部分を探求したくなるし、そういう人は、そこからまた違う形のものを作り出すと思うんですよ。

私はそういう”痛み”の体験があったから、小説を書かなければならなかったのです。何か”痛み”を感じたことがある人は、私が説明しなくてもわかってくれると思うんですよね。そして『マトリックス』で描かれたように「見えているものの奥に、それとは違う真実のものがある。」という風に感じてくれる。

例えば、あなたのやっていることは、ユーザーそれぞれの興味に合わせて映画を紹介して、さらにユーザーが知っていることより、もうちょっと深いところまで招待してあげることよね。私がこの映画でやっていることもそれに似ているかもしれない。

ちなみに監督はこのドキュメントにどうやって出演を依頼してきたのですか?

50ドルでどう?って言われたの(笑)色んな人からアプローチを受けたけど、彼の作品が好きだったから彼を信頼したの。

では最後に…好きなキューティー映画はなんですか?

『デットプール』を観てキューティー映画だと思ったわ。あの作品はある種キューティー映画だと思うの(笑)
ええっと…『天国から来たチャンピオン ((1978年公開(日本公開は1979年)ウォーレン・ベイティ監督・主演作品。天使のミスで早くに死んでしまったアメフト選手が死んだお金持ちの体に乗り移り、アメフト選手になってスーパーボウルに出場しようとする…というお話。))』がすごく好きだけど、キューティー映画じゃないわね…。『プライベート・ベンジャミン ((1980年公開(日本公開は1981年)。金持ちの世間知らずの運動音痴な女の子が軍隊に入ってがんばるお話。『マイ・インターン』などキューティー映画を多く監督しているナンシー・マイヤーズが脚本を担当。現在、レベル・ウィルソン主演でリメイク企画も進行中。))』とか。ゴールディ・ホーンが大好きなんです。

とっても素晴らしいインタビューだったわ。こんな内容のインタビューは初めてだったので面白かったです。ありがとう。

インタビューを終えて

ローラ・アルバートはとても優しい人で、リラックスした状態で語り合うことが出来ました。海外の人はとても論理的に答えてくれることがあり、日本ではなかなか本質が捉えにくく感覚的な腐女子の本質を理解するために良いヒントとなる言葉をたくさんくれました。
こちらの質問を気に入ってくれたようで、途中から配給宣伝会社の女性スタッフたちに囲まれている中、こちらの手をおもむろにギュッと握りそのまま見つめ合い語り合うという、何とも一種の羞恥プレー状態でインタビューは進みました(笑)
そういうことも含めて、初めてづくしのインタビューでした。ちなみに、こちらをじっと見つめるローラ・アルバートの瞳はとても澄んでいて綺麗でした。

インタビュー相手が突然手を握ってきたらどう反応したらいいのか、熱く見つめ合って握り返すか、頬を赤くしてドギマギしながらそっと手を離すのか、冷徹に何事もなかったように振る舞うのか…今回の経験をもとに、今後の課題にしたいと思います(笑)

監督:ジェフ・フォイヤージーク(『悪魔とダニエル・ジョンストン』)
撮影監督:リチャード・ヘンケルズ
音楽:ウォルター・ワーゾワ
出演:ローラ・アルバート、ブルース・ベンダーソン、デニス・クーパー、ウィノナ・ライダー、アイラ・シルバーバーグ ほか
2016年/アメリカ/111分/原題: Author: The JT Leroy Story
配給・宣伝:アップリンク
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