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2020年キューティー映画総括

2020年キューティー映画総括
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2020年、cuemovie10選キューティー映画

今年公開・配信されたキューティー映画から順不同で10作品を選びました。筆者はまだディズニープラスに加入していません。配信はNetflixとプライムビデオとなります。
そして例年通り順位は付けられません。

ハスラーズ


リーマンショック後のNYでお客のカードを使って大金をせしめていたストリッパーたちの実話を元にした映画です。映画ではコンスタンス・ウーを主演にジェニファー・ロペスと共に、色々と事情を抱えたストリッパーたちと一緒にのし上がっていく様を描きます。
この映画の特徴として、この手の映画にありがちなヒロインたちをバックアップする男性キャラクターが出てきません。
それがこの映画で描きたいことをぐっと絞って強いものにしています。
そして同時に劇中でヒロインたちにインタビューするジュリア・スタイルズ演じるジャーナリストの存在がすごく効いています。いわば観客と同じ目線で、彼女たちの武勇伝に疑問を投げかけ検証していきます。ただの女性バンザイ!女性サイコー!ではない、とても冷静かつしかもエンタテインメント性を兼ね備えた華やかな女性による女性のための女性映画になっていました。傑作です。

チア・アップ!


シルバー世代がチアリーディングに挑戦するお話です。こういう映画のパターン通り、ポンコツな人たちが集まって、そこからみんなでがんばって、クライマックスは大会出場となるわけですが、本作の特徴としてそこには老いに対する恐れや諦め、子どもや孫との関係など様々なものがドラマに重なっていきます。そこをあまり重すぎずかといって適当に流さず、実に適度な具合でコミカルに挿入していったのが見事でした。出演する女優陣はみんなかっこいいのですが、特に主人公ダイアン・キートンの相棒役となる、おせっかいなジャッキー・ウィーヴァーがものすごくカッコいいです。

ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー


自慢じゃないですが、この映画を当サイトではかなり早い段階で評価しています。本国で本編の冒頭6分が公開されてたのを見てすぐ傑作!と確信しました。そしてそれは間違いではありませんでした。

オリヴィア・ワイルド(『クーパー家の晩餐会』『サード・パーソン』『カワイイ私の作り方 全米バター細工選手権!』)初監督作品、優等生の女子高生2人組が卒業を前に思い切ったことをやろうとするキューティー映画『Booksmart』の冒頭6分が公開されました。これは傑作です。高校卒業を控えた優等生2人組のモリー(ビーニー・フェルドスタイン)とエイミー(ケイトリン・デヴァー)は、残り少ない高校生活で勉強より大事なやり残したことがあったことがたくさんあったことに気付きます。そこで2人は4年間の楽しみを1晩でこなそうとす...

優等生2人が、卒業式前日にやり残した「無茶なこと」をやろうとする、青春映画の一つのパターンである「一晩もの」です。ティーンのお話だからエロトークあり、ドラッグ描写ありでハチャメチャなんですが、映画を見終わった時には爽やかに、ほんと清々しいくらい爽やかにほっこり終わる傑作青春映画となります。この作品にしかない特別なアイディアがあるわけではありません。でもかなり新しいタイプの映画でした。
その秘密は技術的には音楽の使い方と編集のリズム、テーマ的には監督オリヴィア・ワイルドの女性観にあると思います。
初監督の女優オリヴィア・ワイルドは、本作の前にレッド・ホット・チリ・ペッパーズの「Dark Necessities」のMVを監督してるのですが、このMVと『ブックスマート』を合わせてみると、彼女のフェミニズムに対する考え方が見え隠れしていて非常に興味深いです。

ネクスト・ドリーム/ふたりで叶える夢


古き良きR&Bを好み音楽プロデューサーを目指す大物歌手のアシスタント(かばん持ち)の若い女性と、過去のヒット曲を歌うことだけを求められ周囲からもう終わった人と思われている大物女性R&B歌手の2人の関係を描くお話です。
この映画のいいところは、ダコタ・ジョンソン演じるヒロインが、ガツンと完膚なきまでに大人たちに何度も説教されるところです。「センスと知識だけでは何者にもなれない」ということを映画を通じて叩き込まれるのは、当サイトのこの著者みたいなワナビーな映画マニアには実に痛いことですが(笑)劇中で言われていることは真実以外のなにものでもありません。
『プラダを着た悪魔』もそうなのですが、お仕事系キューティー映画の成功ポイントは『説教』です。ただヒロインの成功だけではなく社会や大人の考えを叩き込まれる瞬間があって、それをちゃんと受け止め反省した上でどう変わるかでヒロインの成長を描くのです。自分だけが正しいと思う人が多い今、良質なキューティー映画は常に正しいことを示してくれます。本作はそんな良作の1つでした。
ただ、ラストに向かうお話の展開はちょっと容易過ぎました。ヒロインの恋の相手となる、街で弾き語りをしている男性の不釣り合いな豪華な住まいへのツッコミがなかった段階で、ラストに向けての展開を察してしまったわけですが…

ワンダーウーマン 1984


こんな切ない悲恋ものを久々です。実に切ない映画でした。
この映画はメイン客層であるアメコミファンやヒーロー物ファンにはアクションのシーンや展開のアイディアが物足りないと思います。その点を中心に添えると評価も前作ほど高くないかもしれません。しかし悲恋を描くキューティー映画としては傑作でした。
映画前半の、恋人を失った喪失感を描くカフェで一人過ごすダイアナの姿は、エレガントな雰囲気をもつガル・ガドットだからこそ説得力がありました。本物ではない彼であるとわかりつつもデートを楽しみ、ロマンティックな時を過ごすダイアナの笑顔も実に魅力的。この2つを経ているからこそ、最後のワンダーウーマンとしての決意のシーンが胸に迫ります。ここの演出は本当に見事でした。恋人トレバーの声だけ残す演出、カメラワーク、盛り上げる音楽…自分的にはここがクライマックスでした。
キューティー映画ではおなじみのクリステン・ウィグがとても良かったです。芸達者な彼女の存在がなければ、物語を引っ張っていけなかったでしょう。

余談ですが、この映画の80年代はリアルなものではありません。あくまでも「ワンダーウーマンの世界観での80年代」です。それが証拠に、こういう時代物映画で説明的に使われる当時の有名曲や映画のポスター、テレビに映るテレビ番組など風俗的なものの一切がこの映画には出てきません。唯一パーティのシーンで流れていた曲が80’sイギリスニューウェーブ系の複数曲を忍ばせたリミックス曲だったくらいでしょうか?それも原曲を判断するのはほぼ不可能レベル。だからこの映画での時代考証は無意味となります。
ではなぜタイトルが具体的な「1984」だったのでしょう?監督のインタビューを調べても「1984年」に取り立てて意味はないという発言をしていますし…

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