1. Home
  2. ★『ウォーム・ボディーズ』特集★
  3. 『ウォーム・ボディーズ』ジョナサン・レヴィン監督インタビュー

『ウォーム・ボディーズ』ジョナサン・レヴィン監督インタビュー

『ウォーム・ボディーズ』ジョナサン・レヴィン監督インタビュー
3

Warning: Undefined variable $checkSmartListPost in /home/onebilling/cuemovie.com/public_html/wp-content/themes/newstube-cuemovie/html/single/content.php on line 77

監督の作品はどれも音楽が重要で、その使い方が素晴らしいのですが、選曲もご自身でやっているのですか?

jonathan-levine-interview_02ミュージック・スーパーバイザーや編集など映画に関わる色んな人からアイディアやオススメの曲を教えてもらって、それを取り入れたりもしますが、基本的にはほとんど自分で選んでいます。
おっしゃるとおり音楽はすごく重要だと思ってるから、何時間もかけて自分の持っているライブラリーから探したりします。 音楽を重視するのは、人が恋に落ちる時に音楽の存在ってすごく重要だから。

『ウォーム・ボディーズ』ではガンズ・アンド・ローゼスの「ペイシェンス」 ((ガンズ・アンド・ローゼズが1988年に発表したミニアルバム「GN’Rライズ」に収録。同アルバムからシングルカットされビルボード4位を記録。アコースティックで切ない歌詞でガンズ・アンド・ローゼズの代表曲の一つ))を、ここぞ!というシーンで使っていました。あそこには「このシーンにはこの音楽」という演出的な狙いはあったのでしょうか?

脚本も担当しているんですが、脚本の段階からあのシーンでは音楽を「ペイシェンス」と指定していました。
今回、音楽面でに面白かったのは、主人公のゾンビ”R”がコミュニケーションを取るために音楽を使うところなんです。

映画で使う音楽って、その時の感情やフィーリング、ムードを演出するための大切な要素なんですが、今回の場合はそれに加えて”R”の言葉や想いに代わる要素として『歌詞』がとても重要でした。

そう考えるとあのシーンでは、Rが自己表現のために選んだ曲として、そして自分が子供の頃聞いて、ほろ苦い思い出と共に記憶していた「ペイシェンス」はとても重要でした。 楽曲使用料がかかる ((使用料について聞いたところ「細かくは覚えていないけど…。15万ドル(1500万円)くらいだったかな?」とのことです。))と思ったけど、この曲だけはどうしても!ということで使ったんです。

created by Rinker
ユニバーサル
¥1,568 (2024/02/13 04:36:40時点 Amazon調べ-詳細)

ニコラス・ホルト演じるゾンビ”R”は人間の女性のロマンス相手となるゾンビですが、ニコラスとどういう話し合いで”R”を作っていったのですか?

ニコラスは、ゾンビを演じることで、自分のイメージを損なうかもしれないというリスクを全然気にしない、とても勇敢な役者です。そんな彼と「”R”はどんな風に歩くのか?」「どういう風に話すのか?」というところから一緒に話し合ってキャラクターを作っていきました。
けど彼は撮影前から”R”のことをよく理解してくれていたので、僕は現場で彼がやりやすいような環境を作るだけで、あとは時々「あ、ちょっとゾンビ抑えて」「もうちょっとゾンビっぽく」と指示するくらい。 彼はとても素晴らしい役者です。ぜひ今後も彼には僕の映画に出てほしいと思っています。

この映画の中でニコラスは、最初ステレオタイプのゾンビだったのが、ヒロインと交流することで徐々に人間ぽくなっていくという芝居を”R”でしていますよね?その辺の演出のコントロールはどうしたのですか?

映画冒頭では脳みそを食べるとか、のろのろ動くとか、ゾンビっぽいところを見せておいて、そこから進化してだんだん人間のようになっていくのを見せていきました。 映画の撮影は順撮り ((ストーリー順に撮影すること。普通は役者のスケジュールやロケ地の都合などで映画の流れの順通りに撮影しません。))じゃなかったから、例えば、今撮影しているシーンのゾンビがどれくらいの段階になっているのかというのを、台本を色別にしたりして役者やスタッフに分かるようにとか、工夫はしましたよ。
けど、ニコラスはその辺の勘が良くて、今自分が演じているシーンで”R”がどの段階になっているかをしっかり把握してくれていたので、すごく楽に出来ましたね。

僕自身『50/50 フィフティ・フィフティ』で、癌によって見た目も心情も変化していくキャラクターが、映画の中で今どの段階になっているかというのを把握しながらシーンを演出していった経験があったので、その辺も上手く作用したと思います。

監督の作品ではヒロインを演じる女優がみんなとても魅力的です。 ((『マンディ・レイン』ではアンバー・ハード、『The Wackness』ではオリビア・サルビー、『50/50 フィフティ・フィフティ』ではアナ・ケンドリック、どの女優も映画の中で素晴らしく魅力的なヒロインを演じています。))、今回ヒロイン役を演じるテリーサ・パーマの場合、彼女のどういう部分を引き出そうと考えたのですか?

テリーサの演じた”ジュリー”は見た目はクールビューティー、行動はショットガンをぶっ放すタフなタイプ。なのにゾンビである”R”の中に人間性や可能性を感じる感受性をもっていて、心の広い博愛な精神の持ち主。そんなジュリーは、映画を見ている観客に共感してもらわないといけないキャラクターでした。
でもそれって、もともと彼女自身が持ってるキャラクターなんです。実際の彼女はとてもタフで、銃を扱ったりゾンビと戦ったり、ゾンビになるシーンをとても楽しんで演じていました(笑)そういう彼女の柔軟性が、ジュリーというキャラクターをよりリアルに親しみあるものにしてくれたと思っています。

僕は監督として、演じてもらうキャラクターの中に、役者自身の人間性や個性を組み込みたいと考えているんです。そうすることで、キャラクターはイキイキして素晴らしくリアルになります。そういう意味では彼女はとても素晴らしかったです。