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80’s LAメタルでミュージカル映画『ロック・オブ・エイジズ』

80’s LAメタルでミュージカル映画『ロック・オブ・エイジズ』
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ジュリアン・ハフ、ディエゴ・ボネータをメインに、トム・ハンクス、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、アレック・ボールドウィン、ポール・ジアマッティらが出演し、80年代のロサンゼルスを中心としたハードロック/ヘビーメタルの曲を使ってミュージカル映画にした『ロック・オブ・エイジズ』。当サイトでは公開からさかのぼること2年前からこの映画を推してきました。その集大成となる、世界一長くて詳細な情報満載の感想文です。


本作は元々ミュージカルが原作です。2006年にロサンゼルスで初演。80年代音楽の中でも、アメリカのMTVでよくかかっていたロックで構成されたこのジュークボックス・ミュージカル1は大いに話題となり、2009年にはブロードウェイに進出しています。

監督は2007年に『ヘアスプレー』のリメイクを大ヒットさせたアダム・シャンクマン。振付け師からキャリアをスタートさせ、映画監督になってからはプロデューサーとしてダンス映画『ステップ・アップ』シリーズなどにも関わっています。

なぜビジネス的に失敗したのか?

いきなりですが、この映画、残念ながら大コケしてしまいました。IMAX版『Rock of Ages: The IMAX Experience』もあったのですが…

元々、この映画の事前マーケティングと宣伝は上手くいってませんでした。
例えば公開年の2012年スーパーボウルの前に、監督のアダム・シャンクマンが自身のツイッターでTVCMが中継の合間に流れることをアナウンスしています。しかし実際は放映されませんでした。何があったのかその後語られていませんが、こういう風に何かと宣伝と制作・出演者の連携が上手くいってないなと思うことが公開前にチョクチョクありました。

スターのトム・クルーズが出演しているので、トム・クルーズ推しの宣伝方針はわかります。主演の2人、『フットルース』のリメイク版『フットルース 夢に向かって』でヒロインを演じたジュリアン・ハフと、人気ドラマ「新ビバリーヒルズ青春白書」で人気歌手役として歌声を披露し「プリティ・リトル・ライアーズ」にも出演していたディエゴ・ボネータの知名度では宣伝的に厳しいですし。
しかし、トム・クルーズ推しの宣伝にも関わらず、当の本人が事前インタビューなど宣伝活動に全く参加していませんでした。この辺も宣伝が上手くいってないことを物語っています。

さらに今のトム・クルーズは何かとスキャンダル的なことで語られがちです。映画の内容や演じたキャラクターより、トム・クルーズ自体が好奇な見方で語られます。これでは映画の宣伝にとってマイナスとなってしまいます。

ドラマ「Glee」人気で若者層にも違和感なく受け入れられていた80’sロックをふんだんに使ったジュークボックス・ミュージカルである本作の特徴が、宣伝展開の間違った方針のため、公開前にちゃんと伝わらなくなってしまいました。

若者層を取り込むなら『ヘアスプレー』のザック・エフロンのような若手スターを組み込む必要があります。当初ジュリアン・ハフ演じるヒロイン、シェリー役には、マイリー・サイラス、テイラー・スウィフトなどが候補にあがっていました。2人とも80’s好きで、80’sロックをライブやアルバムでカヴァーしたりしていました。特にテイラー・スウィフトの場合はデフ・レパードとライブで共演経験もあるので、この辺の人選次第ではより幅広い層に受け入れられたかもしれません。

ジュリアン・ハフのデビュー・アルバムを聞いていた者として、今風カントリーながらパワフルな歌いっぷりと、見た目もかわいい田舎娘風な彼女は本作のヒロインにピッタリだと思っています。オープニングでカバンを取る前に話しかけられた時の笑顔や、デートに誘われてキャピキャピしながら退場する姿は実に素朴な感じでよかったです。

Julianne Hough ミュージック

価格¥2,593

順位161,742位

アーティストHough, Julianne

発行Mercury Nashville

発売日08.05.19

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最初この企画はミュージカルの高評価と、最近のMTV的ミュージカル映画のヒットとも相まって、ロックファンにとても期待されていたのですが、それもポスターとサントラ収録曲が公表された途端、ボロックソ(笑)この段階で、今度は映画に期待していたロックファンの支持を失ってしまいます。

主人公の持つギターが80’sっぽくなかった事やアレック・ボールドウィンが着ているKISSシャツが90年以降に発売されたもの…など、時代考証の不備を指摘されてしまいました。80’sへのリスペクトのなさが露呈したわけです。

ロックファンはオタクなんだから、そういうディテールにうるさいのに…(笑)2

また、ミュージカルで歌われていた80’sを代表する曲たちが大幅に削られ、なぜかフォリナーの曲が3曲も入るという偏った選曲にも疑問の声が上がりました。確かにフォリナーのバラード曲は当時大ヒットしました。しかし本作で扱われた数々の有名バンドの中では最多となる3曲も必要?と思わざるをえません。

そのせいでミュージカル版で歌われていた、クワイエット・ライオット「Cum On Feel The Noize」やヨーロッパ「The Final Countdown」という80’sハードロックを代表するヒット曲や、90年代の曲になりますが大ヒットしたバラード、ダム・ヤンキース「High Enough」、ミスター・ビッグ「To Be With You」などが削られました。

その代わりブロードウェイ版では公式に許可が降りずサントラに収録されていなかった、タイトル曲でもあるデフ・レパードの「Rock Of Ages」が使用OKになったり、ガンズ・アンド・ローゼス「Paradise City」が加わったりして話題になったのですが…

  1. 既存の曲で構成されたミュージカルのこと。 []
  2. ちなみに本編も時代考証にいくつか誤りがありました。例えばドリューの部屋にマイケル・モンローの「Not Fakin’ It」のポスターが張られています。このアルバムは1989年発表ですが映画の舞台は1988年と明記されているのでまだ世に出ていないはずです。 []