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キューティー映画では時々、体験本などをアイディアの元にして、キャラクターとドラマを創造することがあります。『キューティー・ブロンド』『ミーン・ガールズ』などがそうです。しかし、その多くは原作者の体験などに基づいて、キャラクターの行動に裏付けとして使われています。リアリティーの補強です。
これはほとんど一発ギャグみたいなネタの羅列があるだけの体験本ですから、使えるのは小ネタのみ。キャラクター設定、ストーリー展開など、ほとんどオリジナル作品の開発と変わらなかったでしょう。シナリオ開発が大変だったと想像されます。
で、そのシナリオ含めて演出面がかなり緻密に計算されています。
シチュエーションや台詞をちゃんと作品内で全部活かしきっているのは見事。
ケイトが本当の恋に目覚める、マシューの実家でのホノボノ・トランプシーンの使い方は実に緻密です。
ケイトはマシューの実家に遊びに行きます。そこで両親、弟夫婦、おじさんなどが優しく迎え入れ、トランプゲームのダウト、日本で言うところの「座布団」を始めます ((子供向けトランプゲームの一つで、ルールはカードを裏返しに出していき、一番早く手札が無くなった人から勝ち抜けする。))。その決め言葉は「ブルシット!」(嘘付け!)。ケイトも含めた家族みんなでサインを出し合いながらマシューを騙して負かそうとします。気付くマシュー。みんな大笑い…、というシーンです。
マシューの素直な一面が見れて、家族っていいなと思えて、その家族に受け入れられたことを素直に喜ぶ「ケイトの気持ちを変えるため」に機能しているシーンだと思っていたら、ゲームの決め言葉「ブルシット」を、ラスト2人の本心を探りあう大事な台詞で使ってくるあたり、実に小粋です。
ただ演出面では緻密なんですが、ロケシーンで、見物人をそのままカメラに収めてしまったり、そういうところは結構いい加減です。
ラストのバイクとタクシーの疾走シーン、周りの見物人だけじゃなく、撮影のための交通整理まで堂々と写しきってます(笑)
ケイト・ハドソンとマシュー・マコノヒーの主人公2人が互いに、本心で向き合うシーンでは照明の当て方が往年のハリウッド映画のように、若干周囲がソフトフォーカスっぽくなります。一瞬デジタル合成のせいかな?と思いましたが、そうじゃないですね。実にエレガントで素晴らしいカメラです。
ちなみに、バスケの試合シーンはデジタル合成です。観客と試合が別々に撮られて、合成で会場にいるように見せています。
ケイト・ハドソンが演じる「何故かいつも振られてしまう女」がリアルすぎると、観客層である女性たちが身につまされて辛い映画になってしまいます。
なので、この映画ではケイトが演じるのを「何故かいつも振られてしまう女」から徐々に「サイコ女」に変身させて、徹底的にバカバカしいエピソードを重ねて、女性たちも笑いながら他人事のように見れるようになっています。コメディー映画として正しい構成だと思います。
けど、ケイト・ハドソンはお母さんのゴールディ・ホーン ((金髪にクルクルしたおメメ、コケティッシュな魅力満載のアメリカを代表する名コメディアンヌです。代表作は『続・激突!カージャック』『プライベート・ベンジャミン』『永遠に美しく…』など多数。))ほどコメディーに向いている瞬発力のある演技が出来ないですから、サイコ女のところでは、かなりマシューのリアクション演技に救われています。
マシューのマッチョだけど、リアリティーのあるリアクション演技は素晴らしいものがありました。立ちポーズがかっこいい俳優さんですね。
音楽で語るシーンが多い映画です。その使い方が秀悦です。歌入りの曲は、キャラクターの心情を表すのに使われていますし、BGMも場面の雰囲気を観客に説明する道具として、実にうまく機能しています。
マシューが自分の部屋のトイレの棚を、女性の物で占領されているのを知るシーンは、サイコっぽい音楽が流れて、マシューの心情を面白おかしく伝えるのに役立っています。
互いの思惑がばれることになる広告代理店主催のパーティーのシーンで、舞台に出てくるマーヴィン・ハムリッシュは『追憶』『スティング』など多数の映画音楽を手がけているとても著名な作曲家&ピアニストです。
その大御所の代表曲、ミュージカル「コーラス・ライン」の『One』を、主役2人が互いの素性を知ったせいでメチャクチャなデュエットでぶち壊すわ、自曲ではなくカーリー・サイモンの「うつろな愛」を伴奏しろ!と命令するわ、もう扱いが酷い(笑)
ちなみに、マーヴィンとカーリーは『007 私を愛したスパイ』で繋がっています。
マーヴィンは007の作曲家ジョン・バリーの代役としてこの1作品だけ担当。カーリーは主題歌を歌っています。
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前出のサイコっぽいトイレシーンもですが、意外とチラチラと映画ネタが隠されていますね。
2人がデートで映画を見るシーンがあります。看板には本作の監督の代表作『ミスティック・ピザ』が。見てる映画は本作のプロデューサーが手がけた『めぐり逢えたら』です。
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