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【感想】『アナと雪の女王2』を音楽とアニメーションでかたる

【感想】『アナと雪の女王2』を音楽とアニメーションでかたる
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アニメーション技術について

cuemovie恒例?のディズニー・アニメーション・スタジオ作品を技術で語ります。『ズートピア』監督のバイロン・ハワード氏にインタビューしたときも「なんでそんなに詳しいの?女性向けサイトじゃないの?」と驚かれましたが、キューティー映画ファンには技術のこともちゃんと知ってほしいのです。

口パクの「舌」

今回、驚いたのはアナとエルサの会話シーンでの口の動きです。CGでは口元を会話にあわせる「リップシンク」という技術があります。実際に話す言葉とCGモデルがシンクロする技術です。
動物がしゃべったりするところなどでよく使われますが、この技術は今も発展し続けていて、最近では多言語、年齢に合わせた口の動きも再現されるようになっています。

しかし『アナと雪の女王2』ではリップシンク技術は使っていません。アニメーターによって動きが作り出されています。アニメーションで会話の口の動きを作ることを日本では「口パク」と言いますが、今回、口パクの動きを作るアニメーターたち自身がボイス・トレーニングを受け、歌うときの息のつぎ方などを研究しています。

それにより、これまでのディズニー・アニメーション・スタジオ&ピクサーでは見たことのない、リアルなキャラクターの息づかい、「口パク」を表現しています。
特に「舌の表現」に注目です。ディズニー・アニメーション・スタジオの作品で、会話の最中に舌が巻いたり口から出たりする動きの表現を初めて見ました。これまでの口パクは舌は見えても口の形のみで表現していて、舌の動きは省略されています。

こちらはアナ、エルサ、クリストフ、オラフがゼスチャーゲームをしているシーンです。アナの舌が出ていますね。前作にこのような表現はありませんでした。
https://youtu.be/_2Fs7_vXxvc

参考サイト1:‘Frozen 2’: Creating A Beautiful Disney Animated Ballad
参考サイト2:How the ‘Frozen II’ Artists Created Believable Emotion Through Animation

エルサの顔の表情

感情的なアナに比べて、エルサはあまり口数が多くなく、その分を目や動きのタイミングなどでキャラクターを表現しています。
細かな顔の芝居を見るという意味で、この映像のエルサの表情だけをずっと追っかけて見てください。
https://youtu.be/K2W36KbSh8E
0:13の同意を示す一瞬の口の動き、0:17でしゃべろうとしたときに、クリストフが入ってきたので口をつむんでちょっと笑顔っぽくなるところ、さらにオラフの方を振り向いてから顔を戻すときの動きはじめのタメ方。どれも絶妙な上手さです。

あと、ジェスチャーゲームのあと、エルサの部屋のベッドでアナと会話するシーン、エルサが一瞬、ほんとに一瞬ですが、口をちょっと動かしたのに声が出ず、新たに同じ口の動きをして話しだすという芝居をします。アニメーションのキャラクターの動きは全てアニメーターによって意図的に付けられたもので、「無意識の動き」というのが一番難しいと言われていますが、その「無意識な動き」を作るのに成功していました。

全体の動きのタイミング

前作はシーンごとの担当アニメーターの力量によるばらつきか、部分的に素晴らしい動きはありましたが、「レリゴ〜♪」のシーンを含めて全体的にはあまり良い動きとは思いませんでした。

今回、顔のアップの芝居は高い表現力なのですが、一方で全身での芝居が前作同様、タイミング的に軽いというか早いというか…。全体に動きにもうちょっと自然なタメがあってもいいと思うんですが…
『ズートピア』ではそれが出来ていたので、あのヒョンヒョンした動きはそういうスタイルということなのでしょうか?

圧倒的な美術

この映画の見所はディズニー・アニメーション・スタジオが独自開発したレンダラー「ハイペリオン」によって作り出された圧倒的な美術背景と混じり合った光の表現です。

キャラクターを照らす柔らかな光、葉っぱの透けた感じ、手描き風に塗りつぶされた奥の方の木々(新しいツールを開発したそうです)など、リアリティと絵画的表現が混ざった美術は圧巻の一言でした。

魔法の森のイメージは『眠れる森の美女』(1959)制作の際、美術を担当したアイヴァンド・アールが描き残したスケッチや、ノルウェーなどでのロケーションが元になっています。
小さな画面では感じることが出来ない、圧倒的なクォリティの美術をぜひ大きなスクリーンで体感してみてください。

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When I Am Older(おとなになったら)


この曲についての感想は特にありません。なぜこのシーンでこの歌なのか?という疑問はかなりありますが…

Reindeer(s) Are Better Than People” (cont.)(トナカイのほうがずっといい〜恋愛編〜)


-1曲扱いは、この曲です。この曲は次の曲のイントロ扱いでいいでしょう。

Lost in the Woods(恋の迷い子)


この曲調、そしてシーンは明らかに80年代のアメリカの男性ロック系歌手による甘いバラードのパロディです。スタッフもインタビューで狙ったことを語っています。
クリストフと後ろの背景が絶妙に「合成しているような」感じになっているのは当時のMVっぽくて芸が細かいなと思いました。

途中クィーンの「ボヘミアン・ラプソディ」のパロディが出たりしましたが、ちょっと長かったのと、途中に歌を中断してギャグを挟まないとこれがギャグシーンであることがわかりづらく、観客が困惑した中途半端なシーンになってしまいました。

Show Yourself(みせて、あなたを)


今回「Let It Go(ありのままで)」に続くテーマ曲として、「Into The Unknown(イントゥ・ジ・アンノウン)」がプッシュされあちこちで曲が流れています。しかしこの映画の真のテーマ曲は、劇中後半に登場するこの曲でした。「隠し玉」とも言える名曲です。

4:21というコンパクトな時間の中で、最初はピアノのみの静かな曲調から、やがて弦楽器とリズム隊が加わったアップテンポの曲調に変わり、フルオーケストラの重厚な音がバックに加わり、さらにコーラスも加わって「All Is Found(魔法の川の子守唄)」のフレーズを歌い上げ、大きく盛り上げてから感動的な母親とのデュエットで「Into the Unknown(イントゥ・ジ・アンノウン)」のスキャットのフレーズでシメるという、「Let It Go(ありのままで)」に似て非なる、複雑な組曲のような構成…見事です。

映像も光のエフェクトを効果的に使った演出が素晴らしかったのと、母親のイメージ映像とエルサが向かい合うときのレイアウトがかっこいいので、曲調と相まって感動的なミュージカルシーンとなります。

実は映画を見る前からサントラをさんざん聞いていたのですが、そのときはこの曲の凄さに全く気付きませんでした。映画館で観たときに、このミュージカルシーンの演出で、やっと曲の構成や狙いを明確に捉えることができました。
自分のようなナンチャッテ素人に、映像が曲の良さを気付かせてくれたわけで、ミュージカル映画の曲として最良の効果を発揮していることになりますね。

The Next Right Thing(わたしにできること)


このミュージカルシーンのすごいのは、岩に腰かけた後ろ向きのアナの姿のまま、歌っているところがあることです。つまり歌っている顔がちょっとだけにしろ、見えないままミュージカルが進行するのです。
CGアニメーションによるミュージカルシーンですから、普通ならキャラクターの歌っているところを見せます。それをあえて見せない。それでもシーンが成立するという判断は、表現力の自信と、より舞台や実写映画に近い演出志向からくるものでしょう。
このシーンのアナの芝居は、静かな曲に心の葛藤から動きの範囲が少ない芝居で、実際の、舞台で岩場のセットだけでも成立させられると思います。しかしその後の、アナが岩場を飛び移ったあともこの曲調のまま歌うというのが、実写では無理なアニメならではの「リアルなうそ」です。そういった意味では派手さは全くありませんが、高度な表現力を持ったアニメーションだからこそ出来たミュージカルシーンと言えます。