【2015LA滞在記2】『ピッチ・パーフェクト2』を180円で観るの巻

キューティー映画の続編に上手いものなし
キューティー映画の基本は、ヒロインのサクセス・ストーリーです。映画のラストでヒロインは何かしらの成功と観客の共感を得ます。
しかし続編はその後を描くものがほとんどですから、ヒロインが成功したところから描かなくてはなりません。
たいていはまたヒロインの立場が落ちて、そこから立ち直るお話になりますが、何もないところから這い上がるのと、得ていたものを取り戻すのでは同じ展開のようでもその意味は全く異なります。
さらに成功した作品の続編ということで予算が増え、音楽や衣装やロケが豪華になるのはいいのですが、お話も前作以上に壮大にしようとして、結果的に散漫な作りになってしまう作品も多いのです。
『ピッチ・パーフェクト』の魅力はアカペラで歌われる曲です。前作では80’s〜最新ヒット曲まで非常にバランスよく使われていて、それがサントラの長期ヒットの要因になっていました。
前作のヒットを受け潤沢になった予算は、当然アカペラで歌われる曲の使用料に充てています。
制作者のインタビューによると60曲以上のライセンスを取得してそこから40曲を使用し、サントラとしては18曲にまとめています。今回、現在人気歌手の曲が多く採用されていて豪華ですが選曲がかなりマニアックな印象です。各曲に関しては以下のページで解説しています。
今回、アカペラとドラマの関わりが薄く、見せ場として割り切った感があります。特に前作でも好評だったRiff-Offシーンはかなりの唐突感があります。パフォーマンスは見どころ満載で全く飽きません。Riff-Offシーンも曲がスピーディに入れ替わっていき実に楽しい見せ場となっています。
しかしアカペラシーン、各キャラクターのドラマシーン、そして描かれているテーマ、それぞれはいいのですが、通して見た時にそれが融合していないと感じました。
このあたりは初監督となるエリザベス・バンクスの力量もあるのでしょうが、やはり「キューティー映画の続編に上手いものなし」の呪縛なのか…と思いながら見ていて、いよいよラストのアカペラ世界大会でのベラーズのパフォーマンスのシーンとなりました。この時点で個人的な作品評価は、正直言って100点満点で50点ほどでした。
しかしラストで号泣!大傑作キューティー映画に!
映画の舞台はラストのアカペラ世界大会に移ります。
以下、大事なネタバレは避ける形で書きますが、ラスト自体を初見で楽しみたい方は、ここで読むことを一旦終了されることをオススメします。
ベッカのカヴァーばかりのアカペラに対する疑問、エミリーの自作オリジナル曲への固執は、カヴァーを歌うことが当たり前のアカペラ大会でベラーズがオリジナル曲を披露するという、掟破りの行動に繋がります。そのパフォーマンスは審査員や観客を驚かせます。
そしてここで近年稀に見る、あらゆる不満点を一気に吹っ飛ばす見事な素晴らしい映画的な展開をこの『ピッチ・パーフェクト2』は披露してくれるのです。
手拍子から静かに始まったベラーズのパフォーマンスはこれまでの集大成のように次々と新旧様々な曲をカヴァーして進んでいきます。そして一旦照明が暗くなり、静かに始まったエミリーの作ったオリジナル曲「フラッシュライト」の展開がバーンと弾けた瞬間、舞台照明が一斉に眩しく点灯し、現れた1カット。この1カットが恐ろしいほどの力を持っていたのです。
参りました。思わず「オォー!」と声が出ました。一気に号泣です。
1カット、たった1カットでそれまでの50点だった作品評価が一気に500、いや50億万点(こどもか)に跳ね上がりました。
もうこの1カットがあるだけで自分は『ピッチ・パーフェクト2』を全肯定します。
これまで続編キューティー映画で似たようなシチュエーションがあったのですが ((『キューティ・ブロンド2』のクライマックスシーンなど))、この1カットと、それに続くシチュエーションは過去の作品を軽く凌駕しています。傑作シーンです。
そのシーンの裏に込められた意味、キャラクターたちのポーズの意味 ((登場する人たちのポーズに注目してください。ベラーズの伝統を感じさせ、感動が増します。さらにメンバーの中には「グッド・モーニング・アメリカ」の名物キャスター、ロビン・ロバーツもいます。))、直接描かれてはいませんが、その1カットの背景に含まれるドラマを勝手に想い描きながら見ると、もう感動で涙が止まりません。
いや、この展開は思いつかなかった!参りました。
ここで歌われるアカペラ曲は事前にサントラで聞いているのでその展開はわかっていて、アカペラ後半で「フラッシュライト」が歌われるのを知っています。
サントラだけでは「フラッシュライト」が劇中でどういう意味を持つ歌なのかは分かりませんでしたが、映画を観るまで、曲の印象から「ここは客席が大合唱になるのね。なるほど、ラストでその演出をすれば感動するだろうなぁ」と想像していました。
実際、アカペラシーンの直前、応援団であるベッカの彼氏ジェシーと友人のベンジーが客席で周りにペンライトを配る描写があります。それを見ながら「ほ〜ら、だいたい予想通りっ(ふんが)」と思って鼻の穴をふくらませて観ていたのですが、結果は全く異なったシチュエーションでした。
この大感動シーンのシチュエーション、よく考えれば矛盾だらけなんです。でもそんな事を吹き飛ばすだけの力があります。些細な事はどうでもよろしい!と言わんばかりに歌とパフォーマンスとカメラワークとカット割が観客の心を惹きつけます。
それはとてもエモーショナルで映画的な展開です。老若男女関係なく感動できます。キューティー映画はこうでなくてはならない、と強く感じました。
『ピッチ・パーフェクト2』は映画としては今ひとつという評価かもしれません。
しかし前作もそうであったように、アカペラシーンで楽しませておいて、ラストのパフォーマンスで「なるほどね!」という予想外のシチュエーションを組み込んで感動させる意外性が、このシリーズの最大の魅力であり、それが観た人に支持される理由だと思います。
正確さや整合性よりエモーショナル優先。
その意味では今回の『ピッチ・パーフェクト2』は確実にパワーアップしています。キューティー映画の傑作です。パート3の制作も決定しているので、またどんな感動シーンを観せてくれるか楽しみです。
最後に。スタッフロールが出ても立たないように。豪華ゲストたちが登場するシーンが最後におまけで出てきます。
キューティー映画の続編に上手いものなし
キューティー映画の基本は、ヒロインのサクセス・ストーリーです。映画のラストでヒロインは何かしらの成功と観客の共感を得ます。
しかし続編はその後を描くものがほとんどですから、ヒロインが成功したところから描かなくてはなりません。
たいていはまたヒロインの立場が落ちて、そこから立ち直るお話になりますが、何もないところから這い上がるのと、得ていたものを取り戻すのでは同じ展開のようでもその意味は全く異なります。
さらに成功した作品の続編ということで予算が増え、音楽や衣装やロケが豪華になるのはいいのですが、お話も前作以上に壮大にしようとして、結果的に散漫な作りになってしまう作品も多いのです。
『ピッチ・パーフェクト』の魅力はアカペラで歌われる曲です。前作では80’s〜最新ヒット曲まで非常にバランスよく使われていて、それがサントラの長期ヒットの要因になっていました。
前作のヒットを受け潤沢になった予算は、当然アカペラで歌われる曲の使用料に充てています。
制作者のインタビューによると60曲以上のライセンスを取得してそこから40曲を使用し、サントラとしては18曲にまとめています。今回、現在人気歌手の曲が多く採用されていて豪華ですが選曲がかなりマニアックな印象です。各曲に関しては以下のページで解説しています。
今回、アカペラとドラマの関わりが薄く、見せ場として割り切った感があります。特に前作でも好評だったRiff-Offシーンはかなりの唐突感があります。パフォーマンスは見どころ満載で全く飽きません。Riff-Offシーンも曲がスピーディに入れ替わっていき実に楽しい見せ場となっています。
しかしアカペラシーン、各キャラクターのドラマシーン、そして描かれているテーマ、それぞれはいいのですが、通して見た時にそれが融合していないと感じました。
このあたりは初監督となるエリザベス・バンクスの力量もあるのでしょうが、やはり「キューティー映画の続編に上手いものなし」の呪縛なのか…と思いながら見ていて、いよいよラストのアカペラ世界大会でのベラーズのパフォーマンスのシーンとなりました。この時点で個人的な作品評価は、正直言って100点満点で50点ほどでした。
しかしラストで号泣!大傑作キューティー映画に!
映画の舞台はラストのアカペラ世界大会に移ります。
以下、大事なネタバレは避ける形で書きますが、ラスト自体を初見で楽しみたい方は、ここで読むことを一旦終了されることをオススメします。
ベッカのカヴァーばかりのアカペラに対する疑問、エミリーの自作オリジナル曲への固執は、カヴァーを歌うことが当たり前のアカペラ大会でベラーズがオリジナル曲を披露するという、掟破りの行動に繋がります。そのパフォーマンスは審査員や観客を驚かせます。
そしてここで近年稀に見る、あらゆる不満点を一気に吹っ飛ばす見事な素晴らしい映画的な展開をこの『ピッチ・パーフェクト2』は披露してくれるのです。
手拍子から静かに始まったベラーズのパフォーマンスはこれまでの集大成のように次々と新旧様々な曲をカヴァーして進んでいきます。そして一旦照明が暗くなり、静かに始まったエミリーの作ったオリジナル曲「フラッシュライト」の展開がバーンと弾けた瞬間、舞台照明が一斉に眩しく点灯し、現れた1カット。この1カットが恐ろしいほどの力を持っていたのです。
参りました。思わず「オォー!」と声が出ました。一気に号泣です。
1カット、たった1カットでそれまでの50点だった作品評価が一気に500、いや50億万点(こどもか)に跳ね上がりました。
もうこの1カットがあるだけで自分は『ピッチ・パーフェクト2』を全肯定します。
これまで続編キューティー映画で似たようなシチュエーションがあったのですが ((『キューティ・ブロンド2』のクライマックスシーンなど))、この1カットと、それに続くシチュエーションは過去の作品を軽く凌駕しています。傑作シーンです。
そのシーンの裏に込められた意味、キャラクターたちのポーズの意味 ((登場する人たちのポーズに注目してください。ベラーズの伝統を感じさせ、感動が増します。さらにメンバーの中には「グッド・モーニング・アメリカ」の名物キャスター、ロビン・ロバーツもいます。))、直接描かれてはいませんが、その1カットの背景に含まれるドラマを勝手に想い描きながら見ると、もう感動で涙が止まりません。
いや、この展開は思いつかなかった!参りました。
ここで歌われるアカペラ曲は事前にサントラで聞いているのでその展開はわかっていて、アカペラ後半で「フラッシュライト」が歌われるのを知っています。
サントラだけでは「フラッシュライト」が劇中でどういう意味を持つ歌なのかは分かりませんでしたが、映画を観るまで、曲の印象から「ここは客席が大合唱になるのね。なるほど、ラストでその演出をすれば感動するだろうなぁ」と想像していました。
実際、アカペラシーンの直前、応援団であるベッカの彼氏ジェシーと友人のベンジーが客席で周りにペンライトを配る描写があります。それを見ながら「ほ〜ら、だいたい予想通りっ(ふんが)」と思って鼻の穴をふくらませて観ていたのですが、結果は全く異なったシチュエーションでした。
この大感動シーンのシチュエーション、よく考えれば矛盾だらけなんです。でもそんな事を吹き飛ばすだけの力があります。些細な事はどうでもよろしい!と言わんばかりに歌とパフォーマンスとカメラワークとカット割が観客の心を惹きつけます。
それはとてもエモーショナルで映画的な展開です。老若男女関係なく感動できます。キューティー映画はこうでなくてはならない、と強く感じました。
『ピッチ・パーフェクト2』は映画としては今ひとつという評価かもしれません。
しかし前作もそうであったように、アカペラシーンで楽しませておいて、ラストのパフォーマンスで「なるほどね!」という予想外のシチュエーションを組み込んで感動させる意外性が、このシリーズの最大の魅力であり、それが観た人に支持される理由だと思います。
正確さや整合性よりエモーショナル優先。
その意味では今回の『ピッチ・パーフェクト2』は確実にパワーアップしています。キューティー映画の傑作です。パート3の制作も決定しているので、またどんな感動シーンを観せてくれるか楽しみです。
最後に。スタッフロールが出ても立たないように。豪華ゲストたちが登場するシーンが最後におまけで出てきます。