Home Column マーベルがソーを女性にした新シリーズを発表。女性キャラの進出とビジネスについて考察

マーベルがソーを女性にした新シリーズを発表。女性キャラの進出とビジネスについて考察

マーベルがソーを女性にした新シリーズを発表。女性キャラの進出とビジネスについて考察
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marvel-thor-woman-bs-dis_00アメコミの大手、マーベル社がコミックの新シリーズとして、1962年から続くスーパーヒーロー、ソーを女性にすると発表しました。
これの北米におけるビジネス的意味や考察をキューティー映画の視点から行ってみたいと思います。


ソーは、北欧神話の雷神をモデルに作られたキャラクターです。大きなトンカチ…いやいや、魔法のハンマー”ムジョルニア”を扱うヒーローです。
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最近では『マイティ・ソー』『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』と映画がシリーズ化され、いずれもヒット、さらに『アベンジャーズ』にも登場。『アベンジャーズ』に登場したキャラクターで一番人気があったのはソーだと言われています。
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映画では義兄弟のロキとソーの関係がクローズアップされ、世界的に腐女子のみなさまからの支持が高い作品でした。
「やたらと裸になるソー役のクリス・ヘムズワース」「スネた表情で母性本能をくすぐるロキ役のトム・ヒドルストン」などサービスシーン?がたっぷりありました。上海版ポスターなんて、もう明らかに狙ってるし(笑)
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個人的に2作目『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』は、ヒロイン役のナタリー・ポートマンがアミダラ姫のような格好でアクションしたり、王宮を戦闘機が攻撃するシーンで、トレンチアタックと全く同じカット割があったり、効果音がスターウォーズの音を作ってきたベン・バートのお弟子さんだったりと、あちこちに『スター・ウォーズ』のオマージュが散りばめられていて楽しい作品でした。

そんなソーが原作コミックでは今後女性になります。一時的なものでも、ソーが女性化するのでもありません。”ムジョルニア”を受け継いだものがソーという設定ですから、それを女性が受け継ぐことになる、ということですね。
後々映画などにこの新しいソーの世界は広がっていくものと思われます。
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今回、ソーが女性になるのは、ビジネス面で、主に男性層が中心のアメコミで若い女性層や大人の女性読者層を獲得したいマーベルの狙いがあります。
ソーは映画の影響もあり、世界的に腐女子とはいえ(笑)女性の関心が高い作品になっていました。さらにSFとはいえ、北欧神話やファンタジーの世界が含まれている世界観は女性も入りやすいというのもあり、女性向け作品に舵を切ることになったのでは?と推測します。

近年アメリカではさまざまなアクションもの、SFものなどで女性キャラの進出が目立っています。
この流れはTVでの「ハンナ・モンタナ」や『トワイライト』がきっかけで表面化したトゥイーン、ティーン層のビジネス面での影響が大きいと考察しています。それに社会的、文化的な側面が加わって、1つの大きな流れになっています。

今の20代後半あたりの大人の女性には「セーラームーン」など日本のアニメなどの影響もあると思います。アメリカ版Huluでは5月から「セーラームーン」シリーズの全話をノーカットで配信していますが(90年代にアメリカで放映された「セーラームーン」ではアクションシーンなど一部改変が行われていました。キャラクターではウラヌスとネプチューンの関係、今で言う「百合」は当時アウトで2人の関係が改変されています。)、これも今回のソーと大きなところでリンクしていると思っています。

2014年前期のアメリカでの映画ビジネスは女性の動員が鍵だったと論じられています。低予算で高収益をあげるYA小説原作の映画は若い女性層を取り込むため、今後も増加傾向です。

キューティー映画は、近年では俗にいう「ベタな」キラキラで楽しいテイストのものは減っています。夢物語やコメディであっても、どこかリアルでシリアスになっています。
一方で、00年代は下火だったフェアリーテイルものがディズニーを中心に復活しています。現実世界の物語はリアルになる一方、夢物語はとことん夢と魔法の世界で、という感じです。さらにミュージカル映画も増加傾向にあります。

その中でアクション、SF、ファンタジーというジャンルにも、今後どんどん女性の主人公キャラが進出することになるでしょう。

シルベスタ・スタローンの『エクスペンダブルズ』も女性版が企画されていますし、『スターウォーズ』の新作も女性キャラが主人公という噂がありました。現在極秘撮影なので、まだその噂も残っていますし、2008年からスタートした「スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ」は女性ジェダイがヒロインのエピソードから始まっていました。

女児玩具の世界では『トランスフォーマー』などで男児向けおもちゃが強い玩具メーカーのハズブロの主力商品では「マイ・リトル・ポニー」が好調で、ハズブロでも女性向けの『Jem And The Holograms』実写映画が制作されています。
『バービー』のマテルも、やっとバービー実写化企画をこれまで企画していた映画会社を変えて本格化するようですし、他のドールを実写映画にする企画も進行中です。

こうして、女児玩具やアニメのトゥイーン層から、YA小説のティーン層、さらに大人の層にいたるまで、女性層向けビジネスは大きく連携的な広がりを見せています。マーベルのソーの方向変換もこれに乗れるか注目していきたいと思います。