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プライムビデオに隠れて存在している優良キューティー(TV)映画たち PART2

プライムビデオに隠れて存在している優良キューティー(TV)映画たち PART2
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ここからは同じリール・ワン・エンタテインメント製の、いつでも楽しめるキューティー映画をご紹介。

ラブシェア


自身の些細な言葉がきっかけで、結婚式を目前に控えたカップルに亀裂を入れてしまったビジネスウーマン。そこに、破局したカップルの兄が助けに入り、二人でこのカップルの修復に向け奔走する。濃密に接した協力体制の1週間、次第に心が動かされていく恋模様を描いたラブ・ストーリー!
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原題「Eat, Drink & Be Married」
主演のジョスリン・フードンは、前回特集した作品で一番イマイチだった『ベストフレンド・ブライド』のヒロインを演じています。時系列的に出演は本作の方が先となります。
タイトルが『食べて、祈って、恋をして』(原題:Eat Pray Love)のパロディになっていますが、内容的には全く異なります。

ヒロインは結婚プランナー。結婚式で使われる、花やケーキ、引き出物など一式を式後に寄付して、無駄にせず有効活用するビジネスを一人でやっています。
そんなある日、昔婚約解消した経験のあるヒロインの何気ない一言が、顧客である結婚式の準備を進めてたカップルを別れさせる原因となってしまいました。新郎の兄はヒロインのところに「弟カップルを元に戻せ」と文句を言いに来ます。そして不動産業をしている新郎の兄は、ヒロインと共に弟カップルを元のさやに戻すために、「引っ越しを余儀なくされている事務所の建物が売られないようにする」ことと「忙しいヒロインの仕事を見習いとしてタダで手伝う」ことを提案します。

って、ヒロインのほうが圧倒的に条件美味しすぎでしょ!もうこの親切な兄と付き合わないといかんでしょ!(最終的にそういうお話なんですが)

2人は何かにかこつけて、別れたカップルを呼び復縁させようとします。
この映画が惜しいのが、けんか別れした元カップルが2人の呼びかけに応じてあっさり来ることなんです。渋々集まる感じでもない。そこはヒロインと兄のコンビが知恵を絞って別れた2人を偶然を装ったりしながら会わせるように仕向けないと。
さらにヒロインと兄の2人は、別れたカップルのために場を作るだけで、あとは別れたカップルを放り出して2人で距離を縮めてイチャついてばかり。そんなだから、毎回弟カップルは呼ばれては口論を繰り返し…

って当たり前ですよね。だって弟カップルは元々喧嘩別れしてるんだから。お話はいつしかヒロインと兄の勘違いからのケンカに主題が移っていて、弟カップルはいつの間にか元の鞘に戻ります。う〜ん弟カップルの寄りを戻すことが主題ではなかったのか…

あと、ヒロインのお父さんの設定が特殊なのですが、その特殊さが何によるものかを明確にしていないので、生まれつきのものか、後天的なものか、年齢によるものかがわかりません。同様に引き出物を寄付するために何らかの施設を訪れるシーンもありますが、ここもなんの施設か明確ではありません。病院でも老人ホームでも孤児院でもないよくわからない場所です。これらが劇中、単にヒロインと兄の性格の良さを表現する道具にしかなっていません。不快に感じます。

脚本のリア・ボゾネリスは初の長編作品です。彼女はスクリプト・コンサルタントを自称していますが、本作ではエイミー・テイラーとケリー・ピータースが相当ヘルプしているようです。特にエイミー・テイラーは本作後、たった2年で10作品以上のキューティーTV映画の脚本を手掛けていますから、本作での立て直しが認められたということでしょう。

スタートアップ・ラブ


投資会社に勤めるジリアンの夢は、役員として会社経営に参加すること。そんな彼女に経営陣はキャリアアップのためと、新規事業の立ち上げを要求。経験不足を理由に昇進を保留にされ憤慨するジリアンだったがそんな時、山奥のロッジの権利を遺産として残した叔父の訃報が飛び込んできて…
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原題「Starting Up Love」
まず、この作品のメイン舞台となるロッジの中のセット、『ダブルブッキング 奇跡の出会い』と同じセットです。吹き抜けで2階が室内バルコニーのようになっていて『ダブルブッキング 奇跡の出会い』では2階を上手く劇中に使っていましたが、本作ではほぼ1階のみです。

ヒロインを演じるアンナ・ハッチソンはスティーブン・スピルバーグ監督の出生作、サラリーマンが何気なく追い抜いたトレーラーに命を狙われることになる『激突』のサラリーマンを女子大生2人に置き換えた迷作『激突!2015』の主演を演じていました。『激突!2015』、オチはオリジナルと全く違って別の意味で衝撃的なのですが、それよりもこの作品で車が爆走したり追いつ追われつするシーンを見ると、「イマジナリーライン(演出でカメラ位置の基本を示す架空の線)ってやっぱり大事なんだな」と思います。

さて、本作の話に戻します。
投資会社で小さなお店の経営コンサルティングをして成功させている都会派&キャリアウーマンのヒロイン。キャリアアップを狙っていますが、上司から「既存のお店の拡大事業ばかりで1から立ち上げる新規事業の経験がない。」と言われてしまいます。そんな時、田舎にいた叔父が亡くなりロッジを相続することになり、その手続きをしに田舎へ。そこで叔母やロッジを管理し叔父の遺言で権利を共同保有している男性と出会います。
ヒロインはロッジを売っぱらおうとしますが管理してきた男性は猛反対。そんなとき会社が他の人を昇進させようとしていることを知ったヒロインは、でまかせに新規事業をしていると報告。2人はロッジを改装して、周囲の自然も体験できる民宿事業を行うことに…というお話です。

相反していた2人が田舎の人々の協力や知恵と工夫で、新規事業立ち上げを成功させていく展開も面白く、その過程でお互いを知り惹かれ合っていくというキューティー映画の王道展開も実に無理なくスムーズ。ラスト近くに一度2人はケンカして離れてから、元のさやに戻るところも、観客の興味をひきつけ続けてくれます。

監督のティム・クルーズはフィリピン出身の男性、脚本のショーン・ファインも男性。キューティー映画のメソッド通りに作り練られたプロフェッショナルなキューティー映画です。

ただ一箇所だけ残念なところがあります。無口で心優しい農家の叔父さんが出てくるのですが、彼は見事な木彫り作品を趣味で作っていました。
ヒロインたちがロッジの改装を終え、見栄えをよくするためにアート作品を部屋に飾りたいとなったとき、ヒロインの思いつきで叔父さんに協力を求めるのですが、普通なら得意の木彫り作品の提供じゃないですか。
ところがなんと叔父さんは絵もうまかった!ヒロインは叔父さんから絵を借りることになるのです!
って、前半でわざわざ木彫り作品を見せてヒロインに感心させるシーンは何だったのよ、と(笑)

ベイビー・プロポーズ 天使の赤ちゃん


朝のローカル番組の共同司会を務めるヒロインはいつもアドリブを連発し、台本に忠実な同僚と意見は対立するばかり。そんな二人のもとにファンから届いたのは、生後間もない赤ちゃんだった!里親に渡すまでの期間限定、独身男女による極秘の子育てが始まる!ハートフルな子育て奮闘物語!
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原題「The Baby Proposal」(オリジナルタイトル「ComeBack Kid」)

元々大手テレビ局にいたヒロインは朝の番組をしたいためにローカル局に移りました。ヒロインには優しい婚約者もいます。
一方、元々ローカル局で朝の番組の司会をしていた黒人男性は、キチッとした性格で共同司会者となったヒロインの自由奔放な司会ぶりが気に入りません。
そんな2人が突然赤ちゃんを、テレビスタッフに内緒で一緒に育てる羽目になり、仕事に育児に奮闘するというのが大筋です。

ヒロイン役のアレクサンドラ・チャンドは大人の女性ながら、とてもチャーミング。活発で元気なキャラクターを楽しく演じています。一方、相手役の共同司会者マイク・メリルはちょっと存在感が薄いものの、誠実で優しいキャラクターを好演していました。視聴者が応援したくなるカップルとなっています。

この作品を楽しむには、アメリカのテレビ事情の知識がある程度ないとわかりにくいと思います。そしてこれが日本とは違うテレビのビジネス構造の話にも関わるので非常に難しい…色々調べた上で書きますが、つけ刃な知識なので間違っていたらごめんなさい。

(ネタバレになってしまいますのでご注意を)
ヒロインはラスト、全国放送のネットワーク局からのオファーを断り、エージェントに次にような提案をします。
「私が狙うのは、全国区のケーブルテレビ、独立系放送局よ。」
それを聞いて目を輝かせノリノリになって営業に動くエージェント。

このシーンのエージェントの反応から、ヒロインの提案が全国放送のネットワークからのオファーよりいいことがわかります。しかし何がどういいのでしょうか?

『独立系放送局』と翻訳されたセリフ、実際は『シンジケーション』と言っています。アメリカでは制作会社が番組を作ったあと、番組を「シンジケーション」と呼ばれる番組を売買する流通市場にのせることで、ケーブル局などに販売し収益を得ることができます。アメリカのテレビ局は非常に多く、特にケーブル局は自社制作より番組を購入して放送するのがほとんどなので、人気番組になると全国にある数多くのケーブル局に番組が買われて膨大な儲けが制作会社に入ります。
また、番組の権利も制作会社にあるので、独自性のある企画が立てやすいということもあります。

劇中でヒロインがオファーされた全国ネットワークの伝統的な人気番組だと、知名度は上がりギャラはアップしますが単なる司会者の差し替えでしかありません。しかしシンジケーションで売買される番組の司会者なら、より多くの視聴者を獲得できる上にオリジナル企画も立てられて、さらに番組収益からの配分もあり、その儲けは人気番組の司会者以上…ということです。

う〜ん、北米の視聴者でも理解するのがとても難しいサクセス・ストーリーのオチじゃないでしょうか!(笑)

ちなみに本作は2019年に制作・放送されていますが、現状ケーブルテレビはNetflixなどの配信に押され解約が進んでおり、全盛期の1/5になったとも言われています。なので、ケーブル局向けの朝の番組は以前に比べてビジネス的にそんなに羽振りがいいものではないと思いますが…どうなんでしょう?