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2016年キューティー映画総括

2016年キューティー映画総括
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2016年、cuemovie10選キューティー映画(順不同)

今年公開されたキューティー映画から順不同で10作品+α選びました。順位は付けられません。
10作品に絞るのが難しかったですし、特集上映や映画祭のみで上映された中で、素晴らしい作品に出会いましたが、基本的に誰でも見れる作品を前提に選びました。

グリース ライブ!

全米では1月に米FOXで生放送され、日本では配信で見れるこの作品、今後の生放送ミュージカルの指標となった21世紀の映像革命的な作品です。この作品を未見の人は今後ミュージカル映画を語ってはいけません。
ミュージカル中継に観客を入れることで、ライブ感はもとより作品自体の熱量がこんなに増すとは思いませんでした。役者達のパフォーマンスはもとより、技術的にも互いに映らないよう設計された複数台のカメラ位置やスイッチングなど見所が非常に多いのです。

当日、放送直前までスタジオ周辺では嵐に見舞われ、野外を使わず全てステージで行うB案に決まりかけていた時に嵐がピタッと止んで元々のプランに急遽戻したとか、放送事故的に音声が途切れてしまうシーンがあったとか、ヴァネッサ・ヘジェンズのお父さんが前日に亡くなり、急遽ラストのスタッフロールに追悼の表示が加わったとか、3つのステージセットを駆使したメイキングもとてもドラマチックでした。
映画好き、ミュージカル好き、キューティー映画好きは見ないといけない必須作品です。

キャロル

予備知識なしに映画館で観ていた時に、雨のシーンが妙に切なく感じたり、暗いシーンでのざらつき具合が妙に目立ったり、この映像は何だろう?映写の問題?と思っていたのですが、まさか全編16mm撮影だったとは。主演2人の好演とそういった画面設計の甲斐もあって、とても切なく、静かながら上質に官能的で、そして2人の未来がとても力強く描かれた作品になっていました。

ズートピア

アニメーションの命である「動き」に、これまでのディズニー作品でも群を抜くほどの繊細な感情表現を随所に取り込みました。と同時に、派手な動き、カートゥーン的なデフォルメなど、様々な動きのスタイルも取り込み、その結果として非常に多面的で難しいテーマを飽きさせず楽しさを伴って見せることに成功。一方であちこちに楽しい仕掛けや遊びも仕込まれていて、何度でも観れる作品になりました。

cuemovie.com
2016.04.24
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2016.07.08
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すれ違いのダイアリーズ

タイ特有の水上学校を舞台に、日記を通して現在と過去の先生の奮闘記を描く映画ですが、予想に反してどんどんキューティー映画になっていくお話の流れとそのドラマ作りの旨さにびっくり。ヒロインのチャーマーン・ブンヤサックがとても素晴らしかったです。

ハートビート

ダンス映画の定番ともいえる、異種交流もの。バレエとヒップホップなどダンス同士の異種交流はよくあるものの、ダンサーとバイオリン演奏者というのが面白い組み合わせでした。そしてこの映画の特質すべきところは音楽とは別の「音」でした。特にバレエの練習シーンなどでの靴が床にこすれるときの音をとてもきれいにリアルに捉えています。それがヒロインのバレエの練習にあけくれる日常を表現していました。
ヒロインの友人役でお話をかき回す役割を演じたソノヤ・ミズノにも注目。彼女は『ラ・ラ・ランド』にも出演していて今後が期待される女優です。

ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期

当初一度出来上がった脚本がボツになりスタッフ総入れ替えなどゴタゴタがあって不安だったのですが、観てみるとそれを吹き飛ばす完成度の高さでした。シリーズ3作目なのにシリーズ未体験の人でもちゃんと楽しめる作りになっていて、さらに観ている人の大半が想像している通りのクライマックスと結果があるにも関わらず、そこまでちゃんと「どうなる?」という緊張感で引っ張れる構成とアイディアがほんと素晴らしかったです。それと映画を観ていくと誰もがちゃんと同じところで笑えるシーンがあるというのも、近年、パロディや社会風刺ネタが多いキューティー映画では珍しく、それを実現した脚本や演出、芝居の完成度の高さが凄いです。イギリスでは記録的な特大ヒットとなっているのも納得です。

マイ・ベスト・フレンド

ガンに侵されたヒロインと親友の友情を描くストーリーを、変に感傷的にならず、そして変にリアルを求めず、コミカルな要素を散りばめ見事に未来に希望を見出だせるドラマに仕立てました。失礼ながら、今年最大の意外な出来(もちろんいい意味で)の映画でした。
トニー・コレットは癌に侵されたヒロインを真正面から演じました。それはドラマチックでも何でもなく、抜ける髪を惜しまずバリカンを入れ、乳房を取った姿を特殊メイクを使って隠すことなく見せます。最後の死に際の芝居もドラマチックな台詞を話しながら静かに目を閉じてきれいな姿で亡くなるものではなく、リアリティある死に様を演じます。この辺はリアリティを重視するキャサリン・ハードウィック監督の演出が見事にはまりました。
そして彼女を支える親友役を演じたドリュー・バリモアの存在も素晴らしかったです。

SPY/スパイ

『ゴーストバスターズ』でのポール・フェイグ監督&メリッサ・マッカーシーが今ひとつだったので、ポール・フェイグの演出とメリッサ・マッカーシーのコメディアンヌとしての神通力も終わりかな?と思いましたが、この作品を見ると全くその逆。メリッサ・マッカーシーはまたまた新たな演技プランでキャラクターを作り上げてきていて、底なしの演技力を見せつけています。何よりテーマが友情であり、夢の実現であるというのがキューティー映画として満点です。ヒロインを補佐する友人のCIA職員役を演じたミランダ・ハートも素晴らしく、脇役ながらちゃんと彼女のドラマをさらっと入れるポール・フェイグ演出は見事でした。

ミス・インディア・アメリカ

アメリカでは2016年3月に公開されていました。日本ではネットフリックスほか配信で見ることができます。自意識過剰で何でも1番でないと気が済まないヒロインは、彼氏との将来含めて自分の未来をすべて計画していたのですが、その彼がミス・インディアと浮気していたことからアメリカ系インド人のミスコン、ミス・インディアになるべくコンテストに出場するというお話。『キューティ・ブロンド』+『デンジャラス・ビューティ』という感じで、そこにアメリカでのインド文化の描写などが加わります。共感できない悪役のような設定のヒロインによる成長物語で、ラストもとても気持ちのいいオチで隠れた名作です。

ベビーシッター・アドベンチャー

ディズニー・チャンネルのオリジナルムービー100本目記念作品は1987年に公開されたクリス・コロンバス監督の同名作のリメイク版でしたが、現代に見合う設定や遊びを上手く組み込みつつ、オリジナルの倍近い数の大所帯となった子どもたち全員に見せ場を作るディズニー・チャンネルの映画らしい見事な構成でした。詳細な感想は以下の記事に書いています。

番外編

地味にスゴイ!校閲ガール

今年の日本の映像の最大の収穫は、『シン・ゴジラ』でも『君の名は』でもなくこのドラマです。このドラマにこそ、日本の映像業界の未来があります。
このドラマ、1話見た後に「ヒロインたちの、社会人として大人としてのちゃんとした謝り方が実に素晴らしい」と言い続けて来たのですが、最終回を見てこれが間違ってなかったことを確信しました。
最終回は各キャラクターが「謝る」ということを、さりげなく、しかしきっちり描いていきます。ドラマの主題は別にあるのですが、その主題を活かすのがキャラクターたちの日々の「謝り方」でした。
最終回1話前の9話「校閲はなくてもいい仕事?緊急事態!悦子が地味に」が傑作回でしたが、普段元気一杯なヒロインが落ち込んだのを彼氏(予定)の男性が励ましてくれて元気になる…と見せかけて、実はその前後にヒロインの同性の後輩たちの応援や交流が重要なポイントになっていました。その感動ポイントの作り方が実に巧みで、キューティー映画としてとても正しく構成されていました。ほんとうに感動しました。「校閲ガール」のスタッフには今後もがんばってもらいたいです。このスタッフがキューティー映画を撮ったらどうなるのか?とても関心があります。

この世界の片隅に

アニメ映画は、キューティー映画になりそうでならない作品が非常に多く、この作品は見事にキューティー映画になっていました。今年の後半はSNSを中心にかなり話題になりましたが、昭和20年代の呉、広島を舞台に、市井の人たちの日常生活を描くほのかなコメディ、既婚のヒロイン、アニメ映画としての完成度の高さ…とまさに奇跡的な作品でした。
どうしても内容的に原爆や戦争末期というものが入るため、色々気軽に語りにくい雰囲気もあるのですが、市井の人たちの恋愛など日常の悲喜交々を描いているキューティー映画的な要素をもっと評価してほしいと思っています。

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