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フーズ・ザット・ガール

フーズ・ザット・ガール
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マドンナが演じるドタバタパッパラー娘は、今のマドンナからは想像がつかないキャラクターです。
しゃがれ声で「ガハハハハハ」と笑いながらおしりをプリプリ振りながら歩く、マリリン・モンローとベティー・ブーブをあわせたような感じです。

革ジャンにヒラヒラの短いフレアスカートでムチムチの太ももを出しながら、真っ赤な口紅に真っ白の顔、白に近いブロンズ・ヘアー、ぶっとい黒眉毛。そして当時トレードマークだった「ほくろ」と80年代マドンナを楽しむための映画です。後半にはマリリンモンローばりのドレス姿のゴージャスなマドンナも見れます。
これで歌うシーンがあれば文句なしですが、歌うシーンはありません。その代わり、本編で挿入歌としてマドンナの曲が流れます。この映画用のオリジナルソングです。

この頃のマドンナは歌手としての成功後、その勢いで女優としての成功も狙ってました。どの映画でもちょっとハスッパなコメディアンヌを演じています。これはデビュー当時のイメージが「元気でセクシーで隣にいそうな女の子」というものだったので、そのイメージを映画でも定着させようとしていたのでしょう。

この映画は『マドンナのスーザンを探して』にチョイ役で出た後『上海サプライズ』(当時旦那だったショーン・ペンと共演)に続く、コメディアンヌ路線に挑戦第2弾の作品でした。で、いずれも残念ながら大ゴケしています。この映画でマドンナはラジー賞のワースト主演女優賞を受賞しています。1

マドンナが映画女優として存在感を出してくるのは『ディック・トレイシー』『プリティー・リーグ』『エビータ』あたり、ちょっと落ち着いて貫禄のあるキャラクターになったあたりからですね。

この映画、カーアクション、ガン・アクション(もどき)、着せ替え、ギャグと、非常にアクティブなコメディー展開を狙っているのですが、90分ちょっとという尺にしてはテンポが悪いです。
こういう映画の場合、マドンナに巻き込まれて、主役の弁護士があれよあれよと自分の意思に関係なく事件に巻き込まれないといかないといけないんですが、その辺のテンポが実に悪くて、2人で共に行動をせざるをえないシチュエーションが明確になっていません。

あとはマドンナのコメディアンヌ演技が下手(笑)。目力(めぢから)が弱いし、思い切りが弱くて、「常識が通用しないハチャメチャな女の子」を演じ切れていません。それと台詞で笑いを取るところでの主役2人がとにかくうるさい。

下手なお笑いって「声の大きさ=勢い」と勘違いしてギャアギャアわめくだけなんですよ。で、この映画がまさにそれになってしまっています。細かい小ネタは面白いものが多かったので、もったいない気がしました。

ただ、後半になるにつれて、マドンナが「純粋無垢な」ヒロイン然としてくるところはよかったです。マドンナがかわいく見える映像なんてPVでもそうそうありませんから、これはとても貴重だと思います。

とても安い予算で撮られてる割には部分的に合成ショットもありました。本編撮影は後の『スピード』の監督、ヤン・デ・ポンです。

この映画の映像技術を語るには、なんといってもオープニングのアニメを語らなければいけません。
オープニングアニメは異色です。アメリカ映画のアニメなのにセルアニメ的手法・リミテッドな動かし方が一切ありません。
背景がパステルタッチのせいか、全体の雰囲気がヨーロッパの個人作家かカナダのフレデリック・バック2が作るアニメのようです。特に後半の夜の色使いとタッチは完全にアートアニメの領域です。

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順位178,961位

監督フレデリック・バック

発行ジェネオン エンタテインメント

発売日07.07.25

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なのに演出はちゃんとマドンナの当時のダンスをキャラがやるところなど、とてもオシャレで小粋です。

このアニメは短編のアートアニメの雰囲気を出しながらも、ちゃんと導入部の説明の役割をしています。『ピンク・パンサー』のオープニングアニメより、もっと物語の導入部「なぜマドンナ演じるニッキーが刑務所に入ることになったのか」を直接語っています。

このアニメのスタッフの記述がオープニング・エンディング共にスタッフロールにありません。IMDBによると担当したのはボブ・スコット。
彼はのちにピクサーで『レミーのおいしいレストラン』で非常に印象的だったエンディング・イラストを担当します。

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順位13,115位

出演ルー・ロマーノ, ブラッド・バード, パットン・オズワルト, ほか

監督ブラッド・バード

発行ウォルト ディズニー スタジオ シ

発売日07.11.14

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  1. ラジー賞ノミネート・受賞はキューティー映画にとって誇れることです。 []
  2. 『木を植えた男』『クラック』などで有名なカナダのアニメ作家。 []