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トワイライト~初恋~

トワイライト~初恋~
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海外では大人気、話題のトウィーンズ小説の映画化です。
何百年も一人ぼっちで生きてきた最強のバンパイヤーが恋したのは、隣の運動音痴な女子高生。噛み付きたいけどそれを抑えて彼女を守るという、ジェントルな美形バンパイヤーの設定にトウィーンズ女子が飛びつきました。
「禁断の愛」「究極のエスコート・ヒーロー」がキーワードだと思います。

映画はすでにアメリカで大ヒットを記録しており、08年11月に公開されたにも関わらず、その1ヵ月後の12月に集計された08年度の映画興行収益で10位に入っています。
またアメリカで09年3月に発売されたDVDの売り上げが記録的だったり、この映画をきっかけにアメリカでもやっとこさ、エンタテインメントの分野でトウィーンズ女子向けビジネスが注目されるきっかけ1になったりしました。

ヒットの要因には『ハリー・ポッターと謎のプリンス』の公開延期が密接に関わっています。
『ハリー・ポッターと謎のプリンス』は08年12月公開予定でしたが公開延期により、その配給・客層が全部『トワイライト』に向きました。
製作・配給のサミットエンターテインメントは今回が初配給です。自社配給網を持たないサミットにとって、『ハリー・ポッターと謎のプリンス』をかける予定だった映画館(配給網)を利用できたのは大きかったわけです。
サミットは『ハリー・ポッターと謎のプリンス』公開延期の報が出てすぐ、『トワイライト』の公開時期を12月から11月に早める決定をしています。ハリポタ用に空けてあった配給網を確保するためです。
そのおかげで初動を大きく伸ばし、大ヒットにつなげました。

さて、映画のほうですが、映画化の際一番力を入れたキャスティングですが、主役2人はさすがにイメージ通りだと思いました。
特にエドワード:ロバート・パティンソンは写真のときはさほど思わなかったけど、映画で動いている姿を見ると海外でキャーキャー言われている2理由がわかったような気が。
原作のエドワードはけっこうお茶目なんですが、映画ではミステリアス一辺倒で、ちょっとキャラクターが浅いような気もしましたが、ミステリアスでジェントルマンな雰囲気をうまく出していました。

バンパイヤー一家はほぼイメージ通り。
特に、天真爛漫なアリス:アシュリー・グリーンと新米バンパイヤーのジャスパー:ジャクソン・ラスボーンは自分が原作を読んで想像していたキャラクター通りでした。
ただ原作では「モデルのようなゴージャスな美貌を誇る」と描写されているロザリー:ニッキー・リードがちょっと残念。ニッキー・リード、もっと美人だと思ったんだけどこの作品ではちょっと太り気味。原作で描写されている「圧倒的な美貌」を感じませんでした。

映像は青系のフィルターをカメラに使って、怪しいゴシック調のミステリアスな雰囲気を作り上げています。かっちりしたきれいな画より、ちょっとざらついたリアルな画です。この辺ベテランカメラマン、エリオット・デイヴィスの腕の確かさが光ります。
さらに時々差し込まれる空撮ショットが雄大な風景を捉えていて開放感を作ります。この空撮がどれもほんと素晴らしいです。舞台となる森の俯瞰ショットが美しいこと美しいこと。

カメラは主役2人が向き合い語るときはカメラを手持ちにして出来るだけ近づけ互いの気持ちの不安定さ、熱い想いを表現しようとしています。
2人の初キスシーンでは音を同録3して周囲の音、2人の息遣いをリアルに捕らえて緊張感(ドキドキ感)を演出します。この辺、うまいです。インディーズ出身のキャサリン・ハードウィック監督4の起用の成果だと思います。

CGはCISバンクーバー他複数のCG会社が参加していますが、ILM5が参加していたのにはビックリ。ILMが担当したのは、エドワードの体が日光を浴びてキラキラ光るところです。

映画の構成は、原作の文章の忠実な映像化です。映画のために原作を解体して再構成しているとは思えません。
原作を読んだ人なら、映画を見ながら「あ、数ページ分飛んだ」「あ、ここは映像化するのか」「あ、また数ページ飛ばした」と思うはずです。それくらい描写、台詞等が原作に忠実です。
なんせ原作で、エドワードの超人的な能力を推察するベラが、エドワード本人に問いかける台詞
「放射線を浴びたクモにかまれたとか?もしくはクリプトナイトに悩むとか?6
まで再現7しているんですから。

ちなみに「放射線を浴びたクモにかまれる」のはスパイダーマン、「クリプトナイトに悩む」のはスーパーマンのことです。

唯一映画での変更は、原作で後半唐突に登場する野良吸血鬼たちを「ベラたちが住む町で次々に起こる謎の惨殺事件の犯人」として前半に登場させ後半への伏線としたことくらいです。
これも普通なら
「ベラたちの住む町で起こる謎の惨殺事件」→「怪しいエドワードの行動」→「エドワードは吸血鬼?と疑うベラ」→「ということは事件の犯人はエドワード?と疑うベラ」
という流れにして、ベラと一緒に観客にもエドワードの正体をミス・リードさせると思うのですが、原作に忠実な映像化が目的なのでそのようなオリジナル構成を加えません。

むしろ全体に原作にあるベラの独白による心情描写、説明描写が足りないので、初見の人にはエドワードとベラの行動動機がわかり難いと思います。
原作でケレンミのあるヴァンパイヤーたちの描写 、例えば学校で一目置かれるエドワードの存在、ヴァンパイヤーたちの美しく怪しい存在感、アリスの優雅な歩き方などは、ほとんど普通の人として描写され再現されていません。
そのくせ、エドワードが車を降りて、瞬時に運転席側から助手席側に移動して助手席のドアを開ける描写を忠実に映像化しているのは笑ってしまいましたが(笑)

個人的には学校の食堂でのヴァンパイヤー兄弟の初登場シーンが普通すぎて拍子抜けしました。
原作では「周りとは明らかに異質な美男美女の集団が食事もせず、それぞれがあちこちの方向を向いて無言でただ座っている」と書かれているのですが、ここはファッション雑誌の写真のようにヴァンパイヤーたちが美しく決めた構図の画を見せてくれると予想していました。しかし映画では普通におしゃべりをしている高校生たちにしか見えず(笑)周囲に普通に溶け込んでいました…。

その一方、ベラの隣の席でエドワードが座っている生物の授業初登場シーン、エドワードの後ろに羽を広げたふくろうの標本が置いてあるのですが、これを使ってエドワードの背中から天使の羽が生えているように見せるショットがあります。このアイディアは秀悦です。ケレンミとは異なりこういう遊びが映画にはあります。

カレン一家が唐突に始める超人野球8も、意外と普通の野球だったしなぁ(笑)

原作では語られたヴァンパイヤーの歴史、アリスの過去などが省略されているので世界観に深みがないのが残念です。そこまで詰め込むことが出来ないのはわかりますが、台詞などでちょっとその辺を匂わせてくれてもよかったかなぁと。

でも、キューティー映画らしく、ちゃんとプロムで終わってくれた9のはよかったです。
とにかく原作の文章の映像を見たい人にはうってつけの映画だと思います。

今後シリーズ4部作で作られる予定で、2作目『Twilight New Moon』は2009年11月、3作目『The Twilight Eclipse』は2010年6月30日、『Breaking Dawn』は2013年公開予定10となっています。

  1. ディズニーはすでに『ハンナ・モンタナ』『ハイスクール・ミュージカル』でトウィーンズ女子向けビジネスを明確に打ち出していましたが業界自体がトウィーンズ女子の威力を知ったのはこの作品のヒットです。 []
  2. 追っかけファンが凄いらしく「私を噛んで!」と叫ばれているとか。日本にも海外から多数の追っかけが来日していて(笑)空港でお出迎えをしていたそうです。 []
  3. 通常では雑音が入るので別に収録したり、役者にマイクを隠してつけて、台詞を拾ったりします。 []
  4. 残念ながらキャサリン・ハードウィックは公開1ヵ月後、次回作の監督を降りることが決定しました。原因は2作目のスケジュールが短いことでサミットともめたようです。 []
  5. 『スターウォーズ』『インディ・ジョーンズ』シリーズなどでおなじみの世界最高峰の特撮・CGスタジオです。 []
  6. 映画の翻訳ではクリプトナイトは未訳でした。 []
  7. 厳密には原作ではクリプトナイトについて話すのはエドワードですが。 []
  8. 原作ではヴァンパイヤーが球を打つと凄い音が出るので、雷の音にまぎれないと野球が出来ないという設定で、雷が来たから唐突に野球をはじめるんです(笑)映画でも同様。ベラの「なぜ野球?」という質問にエドワードが「だってアメリカでは国民的スポーツだから」と答えるだけで、なぜ野球をするのかよくわかりませんが、まぁカレン家のストレス発散の場と考えましょう。おまえら性欲満タンの中学生か(笑) []
  9. 原作もプロムで終わります。 []
  10. 最終作である『Breaking Dawn』はその後2部作となることが決定し、前編「I」の全米公開が2011年11月、「II」の全米公開が2012年11月となっています。 []