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奇跡のロングショット

奇跡のロングショット
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2003年に、11歳で女の子として史上初のポップワーナー・フットボール1・トーナメント出場を果たしたジャスミン・プラマーの実話を元にした物語です。

写真は実際にポップワーナー・フットボール出場時と、映画の完成披露試写に自分の役を演じたキキ・パーマーと一緒に写っている時のものです。

映画は、実話をそのままなぞって、単に「女の子がアメフトやってみました!」という話になっていません。いじめられっ子で引っ込み思案の女の子がアメフトをやることによって、連鎖反応的に周りの人たちが可能性を見出し前向きになっていき、やがて寂れていた町が活気づくという展開が良かったです。

この映画、随所にあるさりげないシーンで見せる優しさが凄くいいです。

泥だらけの試合の時、ある奇策で、ジャスミンのチームにいるちょいデブなフェザーという男の子が走り抜いてタッチダウンを決めるシーンがあります。喜ぶフェザー、歓喜にわく観客席。

その中にフェザーの母親であろう、中年女性が1人プラカードを掲げて控えめに喜んでいる姿が一瞬写ります。彼女のセリフも、彼女が母親である説明もありません。プラカードに書かれている文字は「Feather’s #1 Fan」

これをこの映画はちゃんと「フェザーの1番のファン」と字幕をつけます。
素晴らしいです。演出意図をちゃんと汲んで、この何気ないプラカードをちゃんと字幕にした翻訳チームに感謝です。

いじめっ子でチアリーダーのクロエ・ブリッジス演じるタミー。ヒロインをいじめる典型的な敵役として描かれるのですが、そんな彼女にもちゃんとさりげなく見せ場を作ります。これがいいんですよ~。
ラスト近くの1シーンで彼女が取る態度が実にいいんです。2

このように、主人公以外の登場人物にも、制作者の優しい視点が隅々まで行き届いています。

こういったシーンがあるせいで、基本的に硬質で真面目に描いているためお固くなりそうなお話が、とても見やすい優しいドラマになりました。

ちなみに、アイスキューブ演じるカーティスが気がある女教師を演じるジル・マリー・ジョーンズは、元ダラス・カウボーイズのチアリーダーで、後にアメリカ軍の慰問団として日本にも来たことがあるそうです。
ただ、彼女とアイス・キューブの恋ネタ、中途半端なんですよ。入れるなら、ちゃんと最後まで追っかけて欲しかったですけど。

  1. 全米最大の5歳~16歳までを対象とした、アメフトのユースリーグ最大の組織。野球のリトルリーグのようなもの。プロ選手の実に70%がポップワーナー出身 []
  2. 今までジャスミンをいじめて馬鹿にしてたのに、試合に負けてがっかりしている彼女に、声にならない声で「元気出して」とコソッと言うんです。これが泣ける。 []