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恋する履歴書

恋する履歴書
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原題の『Post Grad』はpostgraduateの略称で、「大学卒業後」の意味を示します。なかなか決まらない就職活動を通して、自分の夢について考えたり、知人や家族など周囲との関係を見直し、自分を再発見する話です。

『旅するジーンズと16歳の夏 トラベリング・パンツ』『旅するジーンズと19歳の旅立ち』で内気なギリシャ出の少女を演じていたアレクシス・ブレデル初主演キューティー映画です。
彼女の特徴は、とても青…というより蒼と書いたほうがいいくらい澄んだ瞳。パソコンのディスクトップを模して最初にキャラクターや立ち位置を紹介するオープニングから、映像コンテンツに映る彼女の瞳はCG処理してんじゃないのか?コンタクトを着けてるんじゃないか?と思うくらい蒼いです。
そして、彼女の特徴のもう一つが泣き顔。基本的に困った顔やしかめっ面が似合う顔で、シリアスや感動的なドラマには合うのですが、コメディ系キューティー映画のヒロインに必要とされる笑顔や怒り顔など、多彩な表情を演じるにはちょっと表情の幅が足らないんですね。
それでも、一生懸命演じているのは好感が持てました。

話の構成の方ですが、「なかなか決まらない就職活動」「異なるタイプの男性2人に挟まれた恋愛」「実家に戻ってきたため付き合わざるをえない家族」の3つを描いています。
タイトルからして、就職活動の様子を主軸にしたコメディーで作品の特色を出さないといけません。その主軸を補佐するために恋愛や家族などが関わって作品のテイストが豊かになるのです。

そういう意味で、本来なら扱うエピソードの比重が「就職活動>恋愛>家族」とならないといけないのが、欲張り過ぎた結果「家族>恋愛>就職活動」となってしまい、作品の特色が薄れて凡庸な出来になってしまっていたのが残念です。

家族のエピソードはなかなか面白くホロリと来たりもするんですが、この映画の主軸に選んではいけませんでした。また主人公は本が大好きで、だから出版社への就職を希望する、という設定があるにも関わらず、これが全く活かされていません。
人物は全体に描写不足が目立ちます。アレクシス・ブレデルといい仲になるブラジル人のセクシーなCMディレクターなんて、話を展開させるために配置されているだけで、ほんと人物として機能してません。

また、無駄なカメラワークや演出がとても多く、これも作品を凡庸にした原因です。
例えば主人公が憧れの出版社に面接で初めて訪れるシーン。本来はエレベーターを降りた瞬間、主人公目線もしくは肩なめで憧れの会社のフロアーの光景をバーンと見せないといけないのに、ダラーッとカメラが螺旋階段を降りてくる社員を追うように無意味に回ってきて最後に主人公の顔に来るんです。カメラを回す意図が全く意味不明でした。
こんなシーンが数カ所あります。

脚本も演出も笑いのセンスがないのに動物を殺すことでブラックジョークと勘違いしていたり、ギャグも大抵が外していてコメディーとしては不発です。演出と脚本がダメな場合は、もっと思い切って編集してテンポよくしなていかないといけないと思います。

しかし、その凡庸な演出をカヴァーしていたのが、主人公の家族の濃いくて芸達者な面子。父親がマイケル・キートン、母親がジェーン・リンチ、祖母がキャロル・バーネット。濃すぎます(笑)この役者陣の芝居にアレクシス・ブレデルも映画がだいぶ助けられていたと思います。

色々不満もありますが、就職活動物と見ずに、「変人家族とその娘アレクシス・ブレデルの物語」として見る映画だと思えば、楽しめるのではないかと思います。
それと、アレクシス・ブレデルと彼女を想っているザック・グリフォードの関係を示す小道具として、チョコアイスの使い方はうまいと思いました。