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エイプリルの七面鳥

エイプリルの七面鳥
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出来ればDVDパッケージの裏に書かれているストーリーや、ここのストーリーなど、とにかくこの映画の内容に関する情報を一切得ないまま、先入観なしで鑑賞することを、絶対お薦めします。
素晴らしい作品です。保証します。

以下の文は鑑賞後ご覧ください。

淡々と状況を描写していきながら、じょじょに色々なことが分かる展開になっています。
観客が観ながら感じる疑問が、展開が進むにつれて分かっていくのですが、それがいい意味で裏切られ続ける映画です。

監督は『ギルバート・グレイプ』『アバウト・ア・ボーイ』などの脚本を手がけていたピーター・ヘッジズ。初監督作品です。
母親ジョーイ・バーンズを演じたパトリシア・クラークソンはこの映画で全米批評家協会賞・助演女優賞をはじめ数々の賞にノミネート。難しい役柄を軽妙に演じた演技力の高さを評価されました。

物語の時節は「感謝祭」と呼ばれる祝日です。日本ではなじみがありませんが、北米では11月第4木曜日、カナダでは10月第2月曜日があてられています。
感謝祭はみんなでメインディッシュに七面鳥の丸焼きを食べる慣わしがあります。感謝祭が「Turkey Day」と呼ばれる由来です。

友人や親族などを集めた大規模な食事会になることが多く、感謝祭は大事な家族行事とみなされています。

と、日本ではなじみの薄いアメリカの一般家庭の風習が元に話が進みますが、上記のような予備知識がなくても、なぜケイティー演じる女の子が感謝祭の食事を手作りすることにこだわるのか、ストーリーを追えばちゃんと分かります。シナリオが秀悦です。

母親が旅の途中、車の中でヘッドホンで聞きながら大好きだと話す黒人歌手の「Smack Daddy」は架空の歌手です。実在していません。

カメラはデジタルカメラを使用しています。デジカムの使用は低予算という理由もありますが、映画の主な舞台が狭いアパート内、車内なので、小型なデジカムが持つ機動力をうまく映像で活用しています。

(ネタバレ!)映画を観るまで絶対読まないほうがいいです!(←じゃあ書くな!(笑))

母親役を演じるパトリシア・クラークソンが、娘のアパートに向かう途中、立ち寄ったお店でトイレでかつらを直すシーンがあります。
ここで母親が癌に冒されていて、抗がん剤の影響で髪が抜けていることが分かります。
はずれたかつら(地毛の上にかぶせている)を直す途中の動作から写すことで、母親の髪全体がかつらのように見せかけています。実際にパトリシアは丸坊主にしていません。でもちょっとしたアイディアでパトリシアが丸坊主でかつらを付け直しているように見えます。ここは演出処理がうまいなぁ、と感心しました。

ラスト、娘のいる部屋に入ってくる家族を娘のボーイフレンドが撮影したスナップショット(静止画)で締めて、状況の変化を伝えるというアイディアはほんと素晴らしいです。「やられた~~!」という感じです。参りました。号泣です。
音楽の入れ方含めて完璧としか言いようがありません。
それまで淡々と状況を写していた、ドキュメント風の映画が、ここで一気にドラマとなり華咲きます。
凄く素敵なエンディングでした。