Home Review 新しい台湾映画、サスペンスタッチの青春群像劇『共犯』

新しい台湾映画、サスペンスタッチの青春群像劇『共犯』

新しい台湾映画、サスペンスタッチの青春群像劇『共犯』
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partners-in-crime_00通学途中で3人の男子高校生、ホアン、リン、イエは、同じ高校の女子生徒シアが変死しているのを見つける。彼らはそれぞれの理由から、彼女の死の真相を突き止めようと調査をはじめる。シャーは秘密の日記をつけていたらしく、すべてのことがそこに書かれている可能性が高い。日記が見つかれば真相が解明されるはずと考えた3人は、日記を探しにシャーの部屋に忍び込む。ここから事態は予期せぬ方向に…。チャン・ロンジー監督は、ドキュメンタリー『僕のフットボールの夏』(TIFF06出品)でデビューののち、視覚障害を持つ天才ピアニストを主人公に据えたハートフルで音楽に溢れた『光にふれる』(TIFF12出品)で注目されたが、劇映画2作目となる本作では、高校生が主人公のサスペンスものという新たなジャンルに挑戦している。台北映画祭オープニング作品。

監督・脚本:チャン・ロンジー
出演:ウー・チエンホー、トン・ユィカイ、チェン・カイユアン、ヤオ・アイニン、サニー・ホン、ウェン・チェンリン、アリス・クー
原題:Partners in Crime、公開年:2014年、製作国:台湾

台湾映画と聞いて、思い浮かべるのはどんな映画でしょう?
「甘酸っぱい」「瑞々しい」「爽やかな」といったイメージを持たれる方が大半かと思います。本作はそんな「台湾らしい」空気感と、それとは対照的な、毒々しい、人間の業のようなものが混在する、これまでの流れとは少し違った新しい流れを汲む台湾映画です。

チャン・ロンジー監督は前作『光にふれる』とは全く異なるアプローチの映画を作ってきました。1980年生まれの34歳、台湾映画界の新星です。

本作の魅力は台湾映画らしい瑞々しさと、ドロドロとした人間の暗部が見事に同居して描かれているところです。それぞれの事情で孤独を抱える少年3人が事件をきっかけに結びつき、真相解明に奔走する前半パートはまるでズッコケ3人組を見ているようで、なんとも微笑ましい。

3人のキャラ設定もいじめられっ子、ガリ勉、不良というステレオタイプです。彼らは偶然、同じ学校の女生徒の死の現場に居合わせたことで、共に行動することになります。そして彼女の死の真相を追うことになります。

しかし、お話は単にサスペンスの展開に留まりません。物語は中盤から思わぬ方向へ向かい、罪を背負った人間たちのドラマへと変質していきます。
ネタバレなので詳しくは書けないですが、SNSで事件が炎上し、登場人物たちがどんどん追い詰められていく様子は、いつ自分たちも同じような境遇に陥ってもおかしくないという意味でとても怖いです。劇中で「嘘でも、みんなが信じたら真実だ」というような台詞があるのですが、その台詞の意味が後半の展開で明かされたときは心底ゾッとしました…

ちなみにメインキャストの役者は、6人中4人が演技初挑戦の素人だそうです。それにしてはみんな演技が素晴らしいですし、ビジュアル面でも美しかったです。特にガリ勉役のトン・ユィカイ、彼も素人さんですが、非常に複雑な役を見事に演じていました。
partners-in-crime_01この中で2人プロの役者がいます。見た後に誰か考えるのも面白いかも
それにしても、ある少女の死をきっかけに生前の彼女の裏の顔が明らかになり…というプロットは先日公開された中島哲也監督の『渇き。』を連想させます。心なしか本作で遺体で発見される少女も、小松菜奈や二階堂ふみを想起させるロングヘアのアンニュイな雰囲気でした。これらの作品を、見比べてみるのも面白いかもしれません。

チャン・ロンジー監督インタビューを掲載予定!6人のうち誰がプロの俳優だったのかはインタビューで明かされます

https://youtu.be/dzV_tBhUQ7o