Home Review ハッピーエンドのできるまで

ハッピーエンドのできるまで

ハッピーエンドのできるまで
0

[cptr]
この映画、2007年「LA Femme Film Festival」にて佳作に入賞しています。
インディンペンデント映画ですが、この手の映画で一番安っぽくなりやすいカメラと照明1が非常に職人的でキッチリしていたので、画面はとてもきれいでした。

主演はトレーシー・ローズ。
80年代、アメリカはもとより、日本でも大人気のポルノ女優でした。ほんと、彼女は凄い人気でした2
人気絶頂の頃、日本のAVに出演するため来日した際パスポートから年齢偽証が発覚。
本人が申告していた「18歳大学在学中にポルノデビュー」が嘘で、実は15歳からデビューしていたことがわかり、本人は逮捕されず保護扱いになったのですが、18歳の段階で撮影した1作品を残して他のすべての出演作品(約300本近くと言われてます)がアメリカではチャイルド・ポルノとなってしまい全て発禁処分になるわ、15歳と知らずトレーシーを出演させていたポルノ制作者たちは逮捕されるわで、アメリカポルノ界は「トレーシー・ショック」で大騒ぎになります。
しかも、唯一発売可能の作品はトレーシー自身がちゃっかり権利を持っていたようで、それもあって当時のポルノ業界はトレーシーを相当恨んだといわれています。

その後、トレーシーは歌手デビューします。
このアルバムが色物のようにみえて、実は結構よく出来たテクノアルバムでした。
プロデュースはジーザス・ジョーンズのリーダー、マイク・エドワーズやらベン・ワトキンズやら元トンプソン・ツインズのバブルやらと、なかなかマニアック。

1,000 Fires ミュージック

価格¥492

順位159,149位

アーティストLords Traci

発行Fontana Mca

発売日95.02.28

Amazonを開く

Supported by amazon Product Advertising API


さらにマキシ・シングルを出すのですが、そのリミックスに当時のレッド・ホット・チリ・ペッパーズのメンバー…デイブ・ナヴァロとチャド・スミスや、オーキーこと人気DJのポール・オーケンフォールド、宇多田ヒカルのリミックスを手がけたジョニー・ビシャスなどが参加していたりします。こちらもマニアックです。

Fallen Angel ミュージック

価格¥7,261

順位1,370,087位

アーティストLords, Traci

発行Mca

発売日95.08.03

Amazonを開く

Supported by amazon Product Advertising API


その後、今度は一般映画…ジョニー・デップ初主演、監督が『ヘア・スプレー』のジョン・ウォーターズの『クライ・ベイビー』やB級映画に出演したり、自伝を出版したりします。

クライ・ベイビー [DVD] DVD

価格¥689

順位137,284位

出演ジョニー・デップ, エイミー・ロケイン, トレイシー・ローズ, ほか

監督ジョン・ウォーターズ

脚本ジョン・ウォーターズ

Unknownジョニー・デップ

発行ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン

発売日07.04.01

Amazonを開く

Supported by amazon Product Advertising API

トレイシー・ローズの美女とエイリアン [DVD] DVD

価格¥13,640

順位107,116位

出演トレイシー・ローズ, アーサー・ロバーツ, エース・マスク, ほか

監督ジム・ウィノースキー

原著チャールズ・B・グリフィス

Unknownトレイシー・ローズ

発行ハピネット ピーエム

発売日06.11.23

Amazonを開く

Supported by amazon Product Advertising API

トレーシーの説明に熱を入れすぎてしまいました(笑)

映画の方は、自分勝手なキャリアウーマン、人工授精、シングルマザーという今風のテーマを扱っていて、それをちょっとコメディータッチに描こうとしています。編集者と作家、女と男、子育てと自分自身、自己分析と他人の評価…と、色々面白い題材を扱っていて面白い内容です。

トレーシーの演技も以前に比べたら格段にうまくなっていて、ちょっと顔立ちがレネー・ゼルウィガーっぽかったです。ヌードにはなりませんがセミヌードシーンがいくつかあり、40歳近くなっても昔と変わらぬいいおっぱいでした。

女たらしの作家ジェイク:ポール・ヨハンセンの部屋では、行きずりの女性がベッドを後にする描写が何度かあります。そして毎回女性たちの「私のパンティーはどこ!」という台詞があります。
ジェイクが飼っている犬がパンティーをくわえるくせがあり、いつも脱いだパンティーを噛んでいるという設定なのですが、それを最初に見せておいて、あとは毎回「私のパンティーはどこ!」と台詞のみでを繰り返すことでちゃんとギャグとして成立していました。面白かったです。

子役のミカイラ・バウメルちゃんが、カメラの裏側にある台詞のカンペーを読んでいるのか、大きなオメメをキョロキョロさせながら、台詞を一生懸命言うのがかわいいです。後半のシリアスでかったる展開が、この子のおかげで何とかもったと思います。

主人公のマックス:トレーシー・ローズがいつもしかめっ面をした仕事中心・自分勝手なキャラという設定なのですが、怒ってる理由が支離滅裂でキャラ設定がちゃんと整理されていません。
例えば、マックスは、妊娠したときに父として一緒に生活したいと願うジェイクを「契約と違う!」と怒っといて、後に子供が大きくなってジェイクが現れると、「今まで子供に会いに来なかったくせに!」と怒ります。この手の支離滅裂な怒り、身勝手さが主人公のキャラになっているので、今ひとつ共感を得にくくなってしまっています。

この映画、本来は「恋愛ベタで自分勝手で他人に心を閉ざしているマックスという女性が、子供とその子の父親であるジェイクとの交流を通して成長し、心が解きほぐされていく」という展開のはずなのですが、それを脚本は格調高く小粋に散文調に見せようとして大失敗3。普通にやればいいものを…(笑)

結果としてキャラクター設定の説明が不足していたり、状況説明が下手だったりして、それでも前半はテンポよくコミカルなせいで失敗部分も目立たたず面白く見れていたのが、中盤から急にシリアス展開になって粗が目立ってしまいました。もうちょっと脚本を整理すれば…と悔やまれます。

それでも、ラストシーン、ちょっと分かりにくいですが、現実と空想が交差して…でも実際その後マックスとジェイクは…という、なかなか凝った、しかもリアルな終わり方をします。いい終わり方だと思いました。

  1. B級、C級映画は予算がないのでカメラマンの質が落ちるため、カメラワークが不安定で照明がちゃんと当てられず、画面が貧弱になりがちです。 []
  2. 僕は同時期に大活躍していたクリスティ・キャニオンが大好きでしたが(笑) []
  3. 下手な脚本ほど高尚に見せようとして、台詞のやり取りを小粋に散文的にして会話劇を試みようとします。でもそれが結局、何を言ってるのか今ひとつ分からない台詞の応酬となり、失敗してしまいます。 []