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デンジャラス・ビューティー

デンジャラス・ビューティー
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この映画、女性が美しく変身するシンデレラ・ストーリーのように見えますが、それだけではなく、非常に素晴らしい女性同士の友情映画になっています。

女性に対する偏見は、実は同性である女性の方がきつかったりします。
特にミスコンみたいに「水着を着て笑ってるだけ」「しょせん見た目」と思われるものを女性は何かと理由をつけ嫌います。

この映画ではまさにそういう偏見を主人公であるサンドラ・ブロックが持っています。最初サンドラ・ブロック扮する男勝りの女刑事は徹底的にミスコンとその出場者たちを小馬鹿にし、嫌味を言いまくります。
そのサンドラがミスコンの出場者の立場になることで、徐々に自分が偏見を持っていたことに気付き、ミスコン出場に命をかける彼女たちを認め、最後は友達になるというお話です。

同時に彼女とずっといがみ合いながら美容コンサルティングをしていたマイケル・ケイン演じるオカマや、同僚のベンジャミン・ブラッドらとも、仕事で認め合う仲になっていきます。
サンドラ・ブロック演じる主人公が、自分が嫌っている世界に飛び込むことで、偏見と固い心をほぐし、色んな人たちと交流するなかで成長していく物語でもあるんです。

と考えると、ラストのサンドラがミスコンの友達たちから「Miss Congeniality」のタスキをもらい、拍手を浴び、演説するシーンがとても感動します。
ちなみに原題でもある「Miss Congeniality」は「ミス・好感度(女友達として最高、という意味)」で、実際のミスコンにある特別賞です。

制作費が低予算のせいか、ミス・アメリカを決めるコンテストにしては、セットやミスコン役の女優たちなど、全体に安い感じがするのはちょっと…なんですが(笑)、カメラアングルをステージの後ろからとか、上からとか、舞台袖からなど、なるべく客席全体を映さず、普段我々がTVで見るのとは違う視点で、ゴージャスなイベントの舞台裏を見せる感じにして、実際の撮影場所の狭さを、大きな会場のように広く見せる工夫をしていました。

編集で一箇所解せないところがあります。サンドラがミスコンたちと仲良くなるために、ダイエットで禁断のピザを勧めてみんなで食べるシーン。

サンドラがピザを食べようとします。出場者のみんなは食べたいけど我慢…でも食べちゃえ!キャ~!!とピザをみんなで食べることで、一気にサンドラと出場者たちの距離が縮まります。で、次のシーンは、いきなりサンドラやミスコン達が夜のクラブの舞台で太鼓を叩いてワーワーやってるシーンに変わるのですが、ここの繋がりはおかしいです。

普通ならカット変換で、クラブでみんなで乾杯してるシーンとかに繋ぎます。それがいきなり舞台の上で太鼓。しかもみんな顔中ペイントだらけ。
一瞬観客は「ここはどこ?」となります。
たぶん、クラブシーンの前半を大幅にカットしたんでしょうね。みんなで仲良くクラブではしゃいで顔にペイントしたり、キャーキャー言いながら太鼓を叩くために舞台に上がったり、というところがあったんだと思います。
それにしても、何で太鼓のカットを残したのか謎です…(笑)

CGIも使ってるんですね。ラストの爆弾つき王冠をサンドラが投げた瞬間がCGです。あとはDVDのサンドラの解説を聞くと「へぇ、そんなところにも」と判ります。
DVDのサンドラの解説は、プロデューサーっぽく1予算の(愚痴)話ばかりしてるのが面白いです。

音楽の使い方はABBAの「Dancing Queen」(スウェーデンのA Teensがカヴァー)とラストにかかるTom Jonesの「She’s A Lady」が素晴らしい使い方をされています。

ミスコンの司会者役が、アメリカ人なら誰でも知ってる『スター・トレック』のカーク船長、ウィリアム・シャトナーという配役は本人の役者としての立ち位置を考えると絶妙でした。この映画、他にもさらりと男性向け映画(ダーティー・ハリー、スターウォーズ、アルマゲドン)などのパロディーを遊びで忍ばせています。

オカマの美容コンサル、マイケル・ケインの優雅さと高慢さの演技はとにかく素晴らしくて、ちゃんとマイケル演じるビクターの栄光から転落した現状の悲哀や、きついことを言いながらも他人への優しい眼差しを出してるところが見事。マイケル・ケインの演技力がこのキャラクターを単なるサポートのオカマキャラから一段上の血の通った愛すべきキャラクターにアップさせています。

ミス・ロードアイランド役のヘザー・バーンズのおとぼけキャラも実に良かった。この映画を柔らかく楽しいものにしています。

とにかく、この映画を「よくあるB級ハリウッド映画」とか「先がミエミエでありがちのコメディ」とか、したり顔で語って批判している人は恥じるべきです。そんなもんじゃない。

と書いている筆者自身が、実はそう思ってた一人なんですが(笑)
いや、もうほんと反省します。ごめんなさい。

とても楽しいサスペンス・コメディであり、とても上質な友情物語です。

  1. 彼女はこの作品にプロデューサーとしても参加しています。 []