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マンマ・ミーア!

マンマ・ミーア!
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全編ABBAです。
ABBAの曲を使ったミュージカル。ロンドンの公演は未だに大人気で動員記録を更新中です。

映画も08年の夏に公開され、鬼ヒット映画『ダークナイト』1の影に隠れてしまいましたが、2位をキープし、『ヘアスプレー』が持っていたミュージカル映画の興行記録を塗り替えてロングランヒットをしました2

ロングランヒットの秘密に、歌詞字幕版の公開があります。アメリカでは通常版とは別に画面に歌詞が出る、いわば「劇場カラオケ版」が公開されており、これが大うけしたとのこと。映画を見るとこのバージョンが受けた理由が実に判ります。

この映画のミュージカル的にはハイライトになる「Dancing Queen」のシーンでは、あまりの楽しさに落ち着いて座って見ていられなくなると思います。絶対に体のどこかがリズムを取るはずです。サビでは思わず口ずさんでしまうはずです。
1カット、安いビデオ映像のような謎のスローモーション3が挿入されますが、さほど気になりません。
その後、1カットだけピアノソロに合わせて映る、ピアノを弾くベニー・アンダーソン4のカメオ出演に感動しつつ、どんどん曲のコーラスに合わせてコーラスの音量・サラウンド感が増していく音響演出の設計の見事さに感動します。
音が大きくなり、劇場が音に包み込まれていき、いつしか観客も周りを気にせず口ずさめる、という仕掛けになってます。

さらにこの後、コリン・ファースがさりげなくギターを爪弾きながら歌い出す「Our Last Summer」が始まりますが、ここが素晴らしい!コリンの自然な歌い出しが見事です。注目です。

と、ミュージカルシーンはそれぞれ素晴らしいのですが、映画全体の構成は正直言ってあまりうまいとは思いませんでした。
女性監督のフィリダ・ロイドはオリジナルの舞台監督で映画は初になります。忠実に舞台の再現をしつつ、空撮などを使った映画的なカメラアングルで舞台にはない空間の広さを演出しようとしていますが、演技方針が舞台のまんまなので、映画というより「ロケ地である島全体を使って行われる舞台」を見ているような感じでした。もう少し構成を映画っぽくしたほうが良かったような気がします。

あと、結婚式前のメリルによる「The Winner Takes It All 」が無駄に長い。
その前に娘役のアマンダ・セイフライトと共に娘を思う母親の気持ちを歌い上げた「Slipping Through My Fingers」が素晴らしかっただけに、歌い上げるメリルを延々と映すだけのこのシーンはとても無駄に思えました。メリルの見せ場として設定されていますが、思い切ってバッサリ切って結婚式のシーンにしたほうが映画としてのテンポはよくなったと思います。

とはいうものの、何といっても楽しい映画です。ABBA世代応援映画なので、若者だけではなく、70年代が青春だった方にも見てもらいたい映画です。

オープニングとエンディングを、昼間撮影した映像をフィルター処理によって夜のように見せたり、ダンスシーンをロングと空撮で撮ってみたりと、映像的に見所も多いと思います。

メリル・ストリープはじめ出演者はみんな歌もうまい。ピアース・ブロスナンは歌い上げるのにアップアップでしたが、それが逆に初々しかった(笑)
とにかく映画館が気持ちいい楽しい気分いっぱいの空間になる映画です。
ぜひ劇場で大音量とともに歌ってきてください。

エンディングは舞台のアンコールを再現しています。そのシーンの最後の方に、他の演者に混じってABBAオリジナルメンバーであり、この映画のプロデューサーでもあるビョルン・ウルヴァースがカメオ出演しています。あごひげを蓄え、ハープを持ったおじさんです。

  1. タイタニックの持つ前人未到の興行記録に最も近づいた作品です。しかも日本でヒットせずに。これは凄いことです。どれだけアメリカでリピーターを産んだんだ?と。「アメコミの世界観をリアルにしたらどうなるか」という日本のアニメが漫画のリアル化で10年前にやっていた手法を、緻密で巧妙な脚本(これが重要)、達者な役者陣で映像化した傑作です。 []
  2. その後、秋に『ハイスクール・ミュージカル3』が公開され、記録はさらに塗り替えられてしまいます。 []
  3. メリルたちが石の門をくぐるカット。 []
  4. この映画のプロデューサーであり、楽曲のピアノ担当です。 []