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ハード・キャンディ

ハード・キャンディ
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ヒット曲満載の音楽、明るく凝った映像、華やかさファッション、学園生活、学園の女王、プラム…
実に正しいキューティー映画です。

なのに、友人の殺人事件が絡んできて…じゃあシリアス?ブラックコメディー?かというと、そうでもなく…、と実に奇妙な雰囲気になっています。色々な意味でアンバランスで不思議な作品です。面白かったです。

「学園の女王様グループが犯した殺人事件の真相を、偶然知ってしまった地味な子。」
まず、物語は地味な女の子が真実を知って事件に巻き込まれてしまう、という状況を見せます。
ここまでは物語の主人公は地味な女の子なのかな?と思ってみてたのですが、どうもこの女の子主体で話が進みません。
むしろ、話が進むにつれて、この女の子の設定って完全にいらないんじゃないか?と思ったりして(笑)

物語の状況を説明するので精一杯になっていて、誰が主人公なのか、誰の目線で話を追えばいいのか判りにくい構成です。
だからキャラクターの描き方が雑。正直言ってシナリオが下手だと思います。

しかし、しかしなんですよ。だから、ダメとはいえないのがこの作品の不思議なところでして。

この映画を見ながらまず思ったのは、監督さん、映像に相当こだわったり理屈付けしたりするんだろうなぁと。カメラワークやレンズの選び方、スローモーションやワイプなどの映像演出など、ちょっとしたシーンでの映像のこだわり方は尋常じゃありません。シナリオの稚拙さに気付かずはっきり言って無意味に一生懸命です。DVDのコメンタリーを聞いたらやっぱり無駄にこだわってる(笑)
監督さん、映像作家気取りの「ええかっこしぃ」ですね。まだ若いんでしょう。
主役?のレベッカが校内放送で親友の死を聞きながら校内を歩くというシーンで、嘆き悲しむ周りの生徒たちは静止しててその中を一人歩く、という描写をするのですが、ここは素晴らしい演出アイディアだと思いました。

なのに、場面変換で意味もなくコミカルな効果音付けてるし。これまたアンバランス(笑)

面白いのは、「地味な女の子をスターに育てる」シチュエーションのくだりや、女王様のいじめなどのシチュエーションが、後の『ミーン・ガールズ』のシチュエーションと実に似ています。華やかなんだけど非常に毒があるというか、このあたりの描写が凄くいい。

『ミーン・ガールズ』って実は全米の実際のいじめをまとめたレポートが原作なんです。ということは、この作品は、学園生活での女の子同士の陰湿な側面をリアルに描いているともいえます。リアルないじめの実態を描いた先駆的な作品ということですね。
片やキューティー映画のフォーマットを使ったサスペンス、片や実際の高校生の生態レポートを元にした友情物語なのに(笑)

この映画、音楽的な見所もいくつかありまして、その一つに、最後のプロムシーンで「The Donnas」が演奏しているシーンがあります。
The Donnas、この頃はまだインディーズ・バンドでしたが、今やキューティー映画には欠かせない人気ガールズバンドでキューティー映画の多くがThe Donnasの楽曲を使用しています。そのThe Dannasの初々しい姿が見れて演奏シーンも見れたのは拾い物でした。
そういえば、DVDの監督コメンタリーの日本語訳、Donnasを「ドンナズ」と訳してるんですが、「ザ・ドナス」が正式です。

あと、大作でもなく、スター出演のメジャー映画でもないのに妙にサントラが豪華です。提供楽曲集とオリジナル・スコアの2枚のサントラが存在しています。通常キューティー映画のサントラといえば提供楽曲を集めた一種のオムニバスアルバムが主流でオリジナルスコアまで出すことはほとんどありません。プロデューサーがよほど優秀なんでしょうね。

当時ローズ・マッゴーワンの恋人(婚約者)だったマリリン・マンソンが恋人という設定でゲスト出演していますが、みんながイメージする「マリリン・マンソン」のキャラクター像では絶対わからないと思います。さらにカツラに口ひげ付けてますし。自分も監督のコメンタリーを聞かないと判りませんでした。