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四角い恋愛関係

四角い恋愛関係
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ストレートの人がレズビアンの人に恋をするキューティー映画というのはいくつかあります。
たいていの作品の展開パターンが、ノンケの主人公が同性の相手を意識し始め、それが恋だと気付いてオロオロしながらも次第に相手にのめり込んでいき、やっとのことで結ばれて幸せの絶頂に、という感じです。

そこまでは映画として非常に面白いのですが、その後、恋人とのけんかや周りの目などを気にして主人公が同性愛を悩みはじめ、いったん離れてお互いの関係修復までウジウジする描写が続き、そのせいで映画のテンポも急に失速して、最終的につまらなくなる映画が多いです。

この映画でもやはり定番のウジウジ展開があるのですが、そこを同性愛で悩む子供を見守る互いの親、という存在と、その親の恋愛感を描写することで映画を失速させず、うまくラストに繋げていきます。

例えば、レナ・ヘディ演じるレズビアンのルースの母親は、レズビアンである娘を理解し愛情を注ぎながらも今後を心配しているのですが、自分自身が夫に死なれてから新たな恋愛、新たな自分の人生を拒み続けています。
それが娘の恋愛を見守るうちに、自分も変わっていこうとしていきます。

また、パイパー・ペラーボ演じる主人公レイチェルの両親は、長年、快活な母親が凡庸な夫を馬鹿にし続けている関係です。
父親はどこか抜けていて頼りになりません。しかしレイチェルがレズになったと知ったとき、一番に理解を示すのは父であり、その父が静かに語る自分の恋愛感はレイチェルの背中を優しく押し出す役割をします。そして妻もそんな夫を見直すことになるのです。

同性愛を通じて人の心の絆、壮年の恋愛をも描くという、とても高度な仕掛けがこの映画にはあります。

また、全体にユーモアな雰囲気が貫かれていて、軽やかなタッチの作風で普通の恋愛映画としてとても見やすくなっています。
しかも面白いシーンがただのギャグシーンではなく、ストーリーの中に組み込まれ、ちゃんとシチュエーションが活かされ物語に機能しています。(サッカーの試合で大声を出すシーンの使い方は秀悦!)
この辺は実に巧みなシナリオだと思います。

劇中、いつも女のことと自分のことしか話さない夫の友人が出てきます。
パッケージの写真でルースと手を繋いでいるのが彼で、彼にルースを紹介しようとするレイチェルのおせっかいがこの物語の発端になっています。
この友人、パッケージも邦題も含めて映画の中心人物のように扱われていますが、実際はあまり本筋に絡んでこない、ただの脇役に過ぎません。

本来はレズビアンカップルの障害となる異性の役割で配置されていたのが、レズビアンの恋愛描写(葛藤)と、それぞれの親の描写、夫婦の問題など、色々描くことが多すぎてそこまで手が回らなくなってしまったんでしょう。
コメディー・リリーフとしてもちょっと中途半端なキャラクターでした。

あと、マシュー・グード演じる旦那さんがあまりにかわいそうで…(笑)。
キューティー映画『チェイシング・リバティー』を観て以来、マシュー・グードの声の良さとかっこよさは、ノンケの男性でも認めざるを得ない男優さんです。
そんないい男が、なぜか妻の心が自分から離れていくのを感じて「自分に原因があるのだろうか?なぜ?」と、不安げに妻を見守ることしかできない、実は自分に自信を持てない男性を好演しています。

しかし、レイチェルが自らレズになることを拒む動機として設定されている「旦那がとてもいい人なのに」というのが、その辺のレディコミみたいでちょっとキャラクター設定が安直です。
レイチェルが旦那から同性に走るきっかけが今ひとつ弱いのと、マシュー・グードの好感度満点のキャラのせいで、旦那がストーリーに都合のいい人物になってしまったのが残念です。

レズビアンのルースの細かくて血の通った人物設定に対し、男性側の描写がおざなりなので、てっきり監督自身がレズビアンかゲイの人かと思ったのですが、調べてみると普通に女優さんと結婚している男性なんですね。
オル・パーカーというイギリス人監督さんですが、本名はオリバー・パーカー。
同姓同名で『理想の結婚』や『オリバー』の監督、オリバー・パーカーと混同されないよう改名したようです。

ラスト、結果的にはレズビアンになった妻に捨てられてしまったマシュー・グードが旅立つ飛行機で出会う女性…
一応マシューにもこれから新たな幸せが訪れる予感を描写しているのですが、映画としてもうちょっと美人さんを配置してあげましょうよ(笑)

あと、映画の原題『Imagine Me & You』はThe Turtlesの1967年のNo.1ヒット曲「Happy Together」の冒頭の歌詞から取られています。ラストで曲が流れて気付きました。
そういやこの曲『ブエノスアイレス』でも使われていました。
映画の内容、ラスト、歌詞の内容を考えるとこの選曲は「あぁ、なるほど」ということになります。
こちらに素晴らしい対訳があります。
https://youtu.be/Ovafs632-BI

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アーティストThe Turtles

発行Manifesto

発売日09.04.20

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