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恋にあこがれて in N.Y.

恋にあこがれて in N.Y.
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『フォーチュン・クッキー』『ミーン・ガールズ』、最近ではリース・ウィザー・スプーン主演『恋人はゴースト』など、キューティー映画でヒットを連発しているマーク・ウォーターズ(マーク・S・ウォーターズ)監督のメジャーデビュー作品です。

マークはデビュー作のTVスペシャル『ロックンロールは◎×△!? 検閲なんかブッとばせ!1』から『フォーチュン・クッキー』『ミーン・ガールズ』など、どれもテンポのよい演出と構成、音楽への目配りとセンスなど、総合的にとても力のある監督さんだと思います。

劇場用初監督作品であるこの作品ではまだ駆け出しだったせいか、はたまた予算がなかったせいか残念ながらマークのよさが全然出ていません。
本人もある作品のコメンタリーで「あれは失敗だった」と語っていました。

「いけてない主人公が正反対の華やかなモデル達のハチャメチャなおせっかいに振り回される」という、実においしいシチュエーションのはずなのに、うまく活かしきれていません。
主人公の行動動機が殺人事件を目撃してからおかしくなってしまいます。

窓から見ていた素敵なお隣の男性と念願の甘いムードに
→しかしその直後、その男の殺人(犯行)を目撃してしまう
→好きな男のはずなのに、悩みもかばいもしないで即警察に通報
→しかし警察は取り合ってくれない
→主人公は男を避け、男が殺人犯だと周りにふれてまわる
→しかし周りは「なぜか」男が殺人犯だと信じない
→自分が正しいことを証明するために「男の犯罪を立証する!」と宣言
→男の生活を「殺人を信じていないはずの」モデル達と一緒に調査
→調査のために男とデート
→なぜかデートであっさりと甘いムードに
→そしてチュウ

メチャクチャです(笑)

男の殺人現場を目撃したのは主人公だけですからそのシチュエーションを元に話を進めないといけません。
「向かいの窓を覗いていたら偶然殺人を見てしまった」というのは、ヒッチコックの『裏窓』を元ネタにしてるわけですから、主人公の行動動機を整理して、もうちょっとうまく話を転がして欲しかった。

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出演ジェームズ・スチュワート, グレ-ス・ケリー, レイモンド・バー

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この話は、殺人の唯一の目撃者である主人公が、好きだった男から逃げ回っているのに、おせっかいモデル4人が主人公の気持ちも知らず無理矢理くっ付けようとして、それを主人公が一々ダメにして、さらにモデル達がおせっかいをして…
というシチュエーション・コメディーにしないといけないんです。
「男の本当の姿を知っているのは私だけ」と主人公1人の奮闘物にしないといかんのです。
モデルたちそれぞれのキャラ個性が際立ってコメディ部分を転がしていく展開じゃないといかんのです。

主人公とモデルたちを同じ考え方をするもの同士として行動させるから、それぞれのキャラクターの役割がゴチャゴチャになってしまっています…。む?ん。

ただ、編集は実にうまいと思いました。コメディーのシーンは全て編集のタイミングで笑いを取っています。
となると問題は監督のマークというより脚本なのか…
原作者の数がやたらと多いのも、「飲み屋で友達みんなで話してたアイディアがそのまま映画になりました。」というのを物語ってます。ダメでしょう(笑)

主演のモニカ・ポッターもジュリア・ロバーツっぽい雰囲気で、ドジで恋に前向きな女性を演じていますし、キューティー映画お約束の、モデルが主人公の衣装を変身させるシーンもちゃんと出てきて楽しいです。
モデルのファッション、メイク、部屋、ファッション的なキャラクター分け、女性から見た男性のミステリアスな感じの演出など、キューティー映画としては見所の多い作品です。
そういう意味では楽しい雰囲気の映画ですし、そういう雰囲気を楽しむのが好きな人にはお薦めかもしれません。

とてもとても惜しい作品です。

  1. 80年代、後のアメリカ副大統領ゴアの妻ディッパー・ゴアが作った団体「PMRC」がしかけたロック・ポップスの歌詞に対する歌詞検閲運動と、その公聴会を扱ったTVフィーチャー映画。実録ロック映画としても、法廷劇としても傑作の出来です。公聴会に実際出て発言したトゥイステッド・シスターのディー・スナイダーが本人役で出演しています。 []