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恋人にしてはいけない男の愛し方

恋人にしてはいけない男の愛し方
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キルステン・ダンストが『チアーズ』の次に出演したキューティー映画です。
主演は最近では『X-Men ファイナル ディシジョン』にも出ていたベン・フォスター。

R&Bでは当時売れっ子だったシスコが役者としてデビューした作品でもあります。劇中で軽く踊りを披露するシーンがあります。さらにラストのスタッフロールはEarth Wind & Fireの「September」のカヴァーを熱唱。登場人物も踊りに加わっていますが、完全にシスコのPV仕様です。
そんな感じで、キルステンとシスコの人気に頼って客を呼ぼうとしたみたいですね。DVDに収録されているアメリカでのTVスポットを見てもシスコがとても重要人物のように思える編集がされてます。実際はほんと脇役なんですけど。
ですがシスコは作品の出来が不満だったらしく、公開後の宣伝協力はほとんどしていません。

お話は振られた彼女を追い続ける主人公と、学校の演劇発表に向けての学園生活の描写で進行していきます。
劇中で描写される学校の演劇、シェークスピア作「真夏の夜の夢」と、主人公たちの恋愛がダブりながら物語は進行していきます。

オープニングはいいアイディアでした。
彼女に振られて彼女の家から失意で出てくる主人公をカメラは1カットで追います。歌が流れ始めます。すると、後ろから歌を演奏しているバンドが現れ主人公に付いてきます。主人公は気付きません。さらに移動に伴って、町を行く人々もどんどん踊りながら主人公の後ろに加わっていき、最後はブラスバンドやチアリーダーまでもが参加するというのはとても華やかで面白かったです。1カット長回しなので撮影は大変だったと思いますが。

音楽の使い方に関しては実に多彩でマニアックです。
先に書いたシスコの「September」カヴァーは実にかっこいいアレンジですし、キルステンが劇中で歌うバラードはとてもきれいなメロディーで、ウィスパーボイスが実に心地よく名曲の香りがします。

主人公を振る女の子の名前が「アリソン」という名前です。
様々な場面でElvis Costelloの名バラード「Alison」が歌われます。主人公が未練たらしく女の子の家の屋根で熱唱したり、アリソンの新しい彼氏がピアノで弾き語りをしたり…

ちなみに「アリソン」というのは「Alice」のフランス風。なので、アメリカでは実はとても珍しい名前のはずなんです(笑)

途中、若者向けにギャグシーンを無意味に挿入しているのですがこれがあまりにつまらないし、全体の構成も「真夏の夜の夢」の現代版をやろうとすることはわかるんですが、演出の技量がさほどないのに登場人物全員を描こうとしたのでちょっと散漫な感じになってしまったのが残念です。
ベンとキルステンが徐々に意識し始めるシーンなど、真面目な演出がとてもよかったので、もったいないと思いました。

キルステンはヒロインで、水着姿から歌、オトボケギャグと色々披露してくれます。キルステンは当時「オーデションで負け知らず」と言われただけあって、ほんとうまいです。
主人公を誤って怪我させてしまい、救急車に同乗して慌てふためくというギャグシーンがあるのですが、コメディー演技が実にうまい。
一方で好きな人を秘かに想うしっとりした感情表現など、多彩な演技で、Z級キューティー映画になりそうな本作を支えて気持ちいい青春映画に仕立て上げていました。

キルステンの兄役でトム・ハンクスの息子コリン・ハンクスも好演。声、お父さんそっくりですね。