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キルスティン・ダンストの大統領に気をつけろ!

キルスティン・ダンストの大統領に気をつけろ!
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キューティー映画のフォーマットを使って、実際の政治事件・真面目な映画を茶化してパロディーにするとは!
いやぁ、実に素晴らしいキューティー映画でした。

この映画、あまりに多くのウンチク材料を含みすぎていて困ります(笑)さて、何からウンチク語ればよいやら…

まず、キューティー映画としては、音楽とファッションが素晴らしくいいです。
70年代ヒットソング目白押し映画でした。Jackson5の「ABC」から始まって、ラストのスタッフロールには、キューティー映画の傑作、レイチェル・リー・クック主演『シーズ・オール・ザット』の「Kiss Me」でおなじみのSixpence None The RicherがABBAの『Dancing Queen』をカバーしています。

ファッションも、2人が登場するたびに、70’sのカラフルでサイケな衣装目白押しです。実にキュートでコケティッシュです。部屋のインテリアを含めて、画面全体はカラフルでかわいらしいキューティー映画になってます。

「レッド・ツェッペリンは最高だ」「ミック・ジャガーの唇はセクシー」「カンフー映画の大ヒット作の主役(ブルース・リーのこと)」といった主役2人のさりげない台詞や、ローラースケートをしていたり、家中にプラスティック製品があふれてたり…と、音楽、ファッション以外でも70年代らしさがあちこちに散りばめられていて、当時の雰囲気を醸し出しています。

ホワイトハウスが主な舞台になるのですが、低予算のせいでロケが出来なかったのでしょうか?ホワイトハウス自体は合成したショットが多く、これがあまり出来がよろしくない。ただ、ヘリコプターに乗っているニクソンを外から撮るのに、窓に下界の風景を合成して「飛んでいるように見せる」というやり方は効率的でうまいなぁ、と思いました。

邦題のタイトルには「キルスティン・ダンストの」と付いていますが、これは発売当時のスパイダーマン人気にあやかったのがバレバレで、実質はキルスティン・ダンストとミシェル・ウィリアムズのキャピキャピコンビが主役です。この2人がキャッキャしながら話が進んでいく、そのかわいらしさも実にキューティー映画していてグーです。

で、この映画、1972年に起こった「ウォーターゲート事件」を知っていないと面白くない映画になっています。 この映画を見る前に、「ウォーターゲート事件」を知っているとこの映画が500倍に、さらにロバート・レッドフォードとダスティン・ホフマン出演の『大統領の陰謀』を知っていると1000倍楽しくなると思います。

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価格¥973

順位14,195位

出演ロバート・レッドフォード, ダスティン・ホフマン, ジェーソン・ロバーズ, ほか

監督アラン・J・パクラ

脚本ウィリアム・ゴールドマン

Unknownロバート・レッドフォード

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順位81,705位

出演ダスティン・ホフマン, ロバート・レッドフォード, ジャック・ウォーデン

監督アラン・J・パクラ

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オープニングのタイプライターがたどたどしく印字するアップのシーンは、『大統領の陰謀』のタイプライターシーンのパロディーです。
なにより、ロバート・レッドフォードをウィル・フェレルが、ダスティン・ホフマンをブルース・マックロックがパロって茶化しているのは、『大統領の陰謀』の主役のモデルになった実在する記者2人より映画『大統領の陰謀』自体をパロる方に重きを置いている証拠です。

この映画に出てくるいくつかのキーワードを簡単に解説します。【】内の記述はこの映画では、事実がどうパロディになっているかを解説しています。

■原題のDick
リチャード・ニクソン大統領の通称。
俗語でチンチンの意味です。劇中でも2人が大きな声で「Dickが好きなの!」とか言って周囲に笑われる、というギャグが何度か出てきます。

■ウォーターゲート事件
1972年、ウォーターゲート・ビルにある民主党オフィスへの不法侵入・盗聴に、当時の大統領ニクソン(共和党)が関わっていたため、大スキャンダルになった事件。
ニクソンは責任を取って大統領を辞任。20世紀中、任期途中で辞任したのはニクソンだけ。
事件が知られるきっかけは、警備員がドアに鍵がロックされないために貼られたテープを見つけたから。
【この映画では、ウォーターゲート・ビルから主役2人が抜け出すときにテープを張って、これが警備員に見つかります。警備員はすぐ警察を呼んで、結局捕まったのが民主党オフィスに不法侵入していた連中だったと。つまり「ウォーターゲート事件」がばれたのは2人がウロウロしていたから、ということになっています。
ちなみに『フォレスト・ガンプ』ではガンプが向かいのビルから通報して不法侵入がばれた、ということになっています。】

■クリープ・メモ
ニクソン大統領再選委員会(通称CREEP)が票獲得のため買収額と人物について記したメモ。
【主役2人がホワイトハウスの社会見学で偶然拾うメモ。このメモのことをワシントン・ポストの記者に話したことで事件が明るみになっていきます。】

■ニクソンのピースサイン
両手を広げたピースサインはニクソンのトレードマーク。
【映画では、キャピキャピ15歳の2人が当時ブームの「ラブ&ピース」サインをニクソンにしたのを、ニクソンがおじさんのくせに、若者の真似を無理矢理した、ということになっています。】

■録音テープと空白の「18分30秒」
当時、ホワイトハウスの会話は録音テープに記録する風習があった。(この事件以降行われなくなっている。)
事件を審査する際、証拠して提出された録音テープの中の1本には、18分30秒間の謎の空白があった。当時、これは秘書のミスであるとニクソンは主張したが、後にこれは政府による改ざんであることが判明した。
【秘書の机から偶然録音機を見つけた2人。ニクソンLOVEのアーリーンは、ニクソンへの熱い想いを録音機に、オリビア・ニュートンジョンの歌も含めて18分30秒吹き込む。後で聞いたニクソンがそれを聞いてあっさり消去。で、「空白の18分30秒」となるわけです。】

■ディープ・スロート
「ウォーター・ゲート事件」に関しての内部告発者の呼び名。 当時公開され大ヒットしたポルノ映画のタイトルにちなんで付けられた。その後、この密告者「ディープ・スロート」が誰なのか、ずっと謎とされてきたが、2005年に元FBI副長官が「自分がディープ・スロートだ」と公表した。
【主役2人がワシントン・ポストにいたずら電話をしていたとき、名前を聞かれて、ちょうどポルノ映画「ディープ・スロート」を見て親に怒られていた兄を見たベッツィが思い付いて、思わず口にした言葉。この映画は「長年の謎、ディープ・スロートが実は政治とは無縁の女子高生だった」という設定なのです。】

■ワシントン・ポスト記者ボブ・ウッドワードとカール・バーンスタイン
「ウォーターゲート事件」をすっぱ抜いた記者。この件でピューリツァー賞を受賞。2人ともジャーナリストとしてお手本とされる存在。
【ボブ・ウッドワードをウィル・フェレルが、カール・バーンスタインをブルース・マックロックが演じています。これは『大統領の陰謀』でR・レッドフォードとD・ホフマンが演じた、かっこいい記者を間抜けキャラにして茶化しています。】

■鉛管工(plumber unit)
FBIのウォーター・ゲート事件調査を妨害した、ニクソン大統領再選委員会職員のユニット名。
【映画の中盤に出てくる、2人を付回す謎のバンに書かれている文字。しかし、ただ付けて追い回すだけ。ちゃんとユニットの2人も一瞬登場します。】

映画を見る上で必要最低限のキーワードだけを適当にまとめてみましたが、詳細を知りたい方はネットなりwikiなり本なりで調べてみると面白いと思います。

こういう高度なパロディーを、キューティー映画でやるのは発明に近いアイディアだと思います。