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奥さまは魔女

奥さまは魔女
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惜しい!惜しい!実に惜しい!

この映画のミスは、往年の有名TVドラマ『奥さまは魔女』をそのままリメイクしなかったことではありません。

TVの『奥さまは魔女』自体を劇中劇にし「劇中劇を演じる人が実は本物の魔女だった」という2重構造の物語設定はとても面白いし、当時のホームコメディーをそのままリメイクしても、なんら今現在の世相とリンクしないことを考えてもこの企画の方向性は正しい選択だったと思います。

この映画の最大のミスは、もっと作劇の基本的なところにあります。
主人公を筆頭に、登場人物全員の行動動機が全てデタラメなんです。これじゃあ、どんなに小粋な設定でも、複雑な物語構造でも活きません。行動動機さえしっかり描けば、ちょっと変わったリメイク作品になって面白かったのに…惜しい、ほんと惜しい映画です…

まずニコール・キッドマン演じる主人公イザベルがなぜ魔法を使わない生活に憧れたのか判りません。
ウィル・フェレル1演じるダメ俳優のジャックに恋したのかも判りません。
ジャックは最初は謙虚なキャラで、マネージャーに言われて役者の格を上げるため、わざと傲慢なスターと演じていたはずが、いつの間にか本当に傲慢なキャラになっています。
マイケル・ケイン演じるイザベルの父親は娘に「魔法界に戻って来い」と言い続けますが、その理由が語られません。
一番ひどいのは、シャーリー・マクレーン演じる大女優(劇中劇の「奥さまは魔女」ではサマンサのママを演じます)。
物語の重要な伏線となる設定がある人物なのに、何にも物語にかかわりません。実にもったいない。

イザベルが魔法で気軽に時間をキュルキュルと巻き戻すのもあきまへん。
だいたい今の時代に「巻き戻す=ビデオの巻き戻し」という演出も何だかなぁ、という感じです。魔法で時間を巻き戻してしまうと、それまでの登場人物の行動が全てチャラになってしまいます。時間逆行の魔法は、物語を作る上で実に安直な解決方法。やってはいけない禁じ手です。

こういう「リセット」シチュエーションを使う場合は、事態をリセットしたと思いきやどこかにリセット前のもの(記憶)が残っていて、それに気付いた登場人物たちによって物語の進行は思わぬ方向に転がる…という風になるはずです。けど、この映画ではリセットされたままになるんですよ(笑)

実際この映画は巻き戻しのせいで、「傲慢なジャック」に対するイザベルの気持ちの揺れを2度描くことになります。さらにその後「謙虚になったジャック」に対するイザベルの気持ちの揺れを描くのですが、結局同じドラマ・パターンを3回繰り返して展開してることになります。これじゃあ見ている方は退屈します。

『めぐり逢えたら』『ユー・ガット・メール』なども撮ってるベテラン女性監督ノーラ・エフロンの監督・脚本作品とは思えません。

ニコール・キッドマンは天然風で世間知らずの魔女をかわいく演じていました。
新生活を楽しむ姿や、女友達とキャッキャはしゃぐところ、オリジナルの『奥さまは魔女』をTVで見ながら一々反応するところなど実にキュートです。この映画で二コール・キッドマンを初めてかわいいと思いました(笑)

音楽も往年のテーマ曲が素晴らしいことを再認識させてくれます。
『奥さまは魔女』のオリジナル・テーマ曲ってすごく小粋で軽やかだったんですね。今回改めて感動しました。

色々不満を並べてしまいましたが、この映画でのオリジナルTVドラマへのリスペクトは実に素晴らしいです。
劇中に出てくるオープニング・アニメのリメイクや、台詞に出てくるオリジナルに関するネタ、「ダーリンは途中で交代した2」とかは、オリジナル版を知ってる人にはたまりません。
ラストシーンの隣人夫婦3が出てくるところなどは涙ものです。

だからこそ、とてももったいない映画だと思いました。

あ?ほんとに惜しい!

  1. 純粋なコメディ映画ならまだしも、この人をロマンス映画で相手役として配置したのは失敗でした。 []
  2. シーズン5途中でダーリンはディック・ヨークからディック・サージェントに変わっている。ディック・ヨークの体調不良が原因。 []
  3. 奥さんはグラディスさんといって、TVシリーズではいつも偶然サマンサの魔法を見てしまいますが、誰からも信じてもらえず、いつも「幻覚」とされてしまいます。 []