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マーサの幸せレシピ

マーサの幸せレシピ
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2007年キャサリン・ゼタ=ジョーンズ主演でリメイクされた『幸せのレシピ』のオリジナル版です。
女性監督らしいきめ細かい視点で、1人の環状に乏しい女性の心が開放されていく様子を描きます。

2002年に主演のマルティナ・ゲデックがドイツ映画賞最優秀女優賞を、クレイユ国際女性映画祭では最優秀作品賞を受賞しています。
マーサの固い気持ちや戸惑いがドイツの重苦しい冬の風景(雪景色)とリンクしていてよかったです。リナの父親がイタリア人だったり(しかも彼は別の女性と結婚し子供もいます。)全編に味わいのある深みのある画面になっていました。

僕はリメイク版より後に見たのですが、やはりというか当然というかオリジナルのほうがよく出来てます。そして、この話は国同士が地続きのヨーロッパじゃないと成立しません。
リナの父親がイタリア人で、マリオもイタリア人というのがとても作品的に重要で、リナがマリオに心を開き興味を持つのも、待ち続けている父親の影をマリオに見たからなんですね。

この映画、説明的な描写を全て排除しています。説明セリフに頼らず全て画で語ります。足りないところは観客の想像に任せています。そのためのヒントを画で投げかけます。この作品は観客の想像力次第でいくらでも豊かになります。

例えばマーサの姉の事故は説明セリフなどが一切なく、事故を知らせる厨房で電話を受け取るマーサにも「事故?姉が??」など言わせません。
「電話を受け取り呆然とするマーサ、次のカットで静かな病院の廊下で待つマーサ」
これだけです。画面の静かさ、緊張感でただならぬ事が起こったことがわかります。
次のシーンの別の日に病室に向かうマーサを引き止める医者が登場して、そこではじめて現状が色々語られます。

ラストのリナを引き取った後の描写もそうです。ぼろ家の台所を一生懸命フォローしながら説明するマーサの仕草、それを見て呆れているマリオとリナ。セリフはなし。
でもこれだけで「あぁマーサはおんぼろの家を買い取って自分の店にしようとしてるんだな。3人でお店をやっていくんだな。」というのが容易に想像できます。

オープニングでも流れていたキース・ジャレットの曲「Country」が、マーサとマリオのその後を映すエンディングで再び奏でられます。このシーンが曲と相まって実に優雅で優しく素晴らしいです。

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音楽プロデューサーがドイツの有名ジャズレーベルECMの社長、マンフレッド・アイヒャーということもあり、全編、ジャズが効果的に流れます。

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ちなみに、娘のリナが夜中に見る母との思い出のビデオに写っているリナの母(マーサの姉)は、監督のサンドラ・ネットルベック自身が演じています。