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バレエ・シューズ

バレエ・シューズ
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ノエル・ストレトフィールドの原作は「職業小説」と呼ばれるもので、子供が何かしらの専門分野(バレエ、演劇、サーカス、スポーツなど)の道に入り厳しい特訓をうけつつ成長していく物語を指します。
また、ノエル・ストレトフィールドの別の小説「映画にでた女の子(ムービーシューズ)」には本作の登場人物がゲスト出演しています。

ムービー・シューズ (1984年)

価格¥11,353

順位2,465,026位

ノエル・ストレトフィールド

翻訳中村 妙子

発行すぐ書房

発売日84.07.01

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この映画…というか、この作品はイギリスBBCによるテレフィーチャー(TVドラマ)です。元々1975年にBBCでテレビシリーズが放映されていました。本作はその作風、エマ・ワトソンとリチャード・グリフィス、音楽の雰囲気など、『ハリー・ポッタ』人気に便乗する形で制作されたと思われます。

しかし、テレフィーチャーにしてはセットの雰囲気もよく、カメラも美しく非常に映画的です。「貧乏・耐える・つつましい喜び」が描かれ重くなりがちな内容を、ちょっと寓話的に、軽妙なコメディセンスとテンポで楽しく見せてくれます。

エマ・ワトソン演じるポーリーンは演劇が好きで夢は舞台女優、ヤスミン・ペイジ演じるペトロヴァは機械いじりが好きで夢は女性パイロット、ルーシー・ボーイントン演じるポージーはバレエの素質を見出され夢はバレエダンサー。

主役3人娘の設定もベタですが、互いの夢や現実が干渉しあってそれぞれが別の進む道を作ることもできる設定になっています。育ての親でもある、まだ若いエミリア・フォックス演じるシルヴィアの人生の行方も絡めて、実にドラマチックに、でもごくごく自然に物語りは進んでいきます。
登場人物はみな個性的で、制作者が全てのキャラクターに愛情を注いでいるのがわかります。悪人は1人もいません。

しかし、その結果、周辺の人々の各エピソードに時間を割きすぎてしまい、主役3人の女の子のエピソードが中途半端に終わってしまったのが残念です。TV番組ということもあり、90分以内という時間制限は通常の映画より厳格なものとして存在します。90分という枠でドラマを作ると考えると、本作の時間配分は間違っています。どのエピソードも素晴らしいだけに残念です。映画なら90分をちょっと超えた尺できれいにドラマが終わったと思います。

それぞれ3人の女の子の成長と夢の実現を描くのですが、この3人の中ではやはり一番華のあるエマ・ワトソンのエピソードが中心です。しかしキャラクターの苦悩や精神的成長は、みんなのために自分の夢を犠牲にする心優しいペトロヴァを通して描かれています。ペトロヴァがこの物語の主役です。
天真爛漫で勝気なポージーの天才バレエダンサーぶりの描写が不足しているのも気になりましたが、それでもラストにポージーの思い切った行動による見せ場は、取ってつけた様にではありますが、一応作られています。
しかしペトロヴァの見せ場が…一番大事なペトロヴァの夢の実現が…ラスト1分で…(笑)

これまで丁寧に撮られていた物語の世界観を、あっさり壊すかのような早回し的ヘッポコCGでサッサと終わるちょ~適当なラストに呆然。
90分以内の時間的制限があるとはいえ、このラストはあまりに駆け足過ぎます。う~~ん、実に残念。
しつこいようですが、この作品がテレフィーチャーでなく映画なら、もうちょっとペトロヴァのエピソードがしっかり描かれて終わったでしょうに…ほんと残念すぎます。