
アメリカでは興行成績1位を記録しているのですが、日本未公開でDVDスルーになってしまった作品です。
80’s音楽は「キューティー映画ならこのアーティスト・曲でしょう」と個人的に思う人が全て使われてました。音楽の選曲・使い方は完璧です。
特に「楽曲使用料、高かっただろうなぁ」と思わせるくらい、マイケル・ジャクソン、マドンナ、ホイットニー・ヒューストン、パット・ベネターらが歌った80年代の有名曲がバンバン出てきます。
途中、心が13歳のまま30歳の体になってしまったジェニファー・ガーナー演じるジェナが、パーティーを盛り上げるためにマイケル・ジャクソンの「スリラー」をかけて踊るシーンがあります。
1987年からやってきたジェナにとって「スリラー」は最もホットなダンス・ミュージック1です。そしてこのシーンで提示されるのは「昔のものでも、みんなを楽しませるものはいつの時代でも通用する。」ということです。
最初は「はぁ?今どきスリラー?」と冷ややかだったパーティー会場の雰囲気が、楽しそうに踊るジェナを見て、みんなドンドン懐かしさに踊りに加わり、最後はみんなで有名なゾンビダンス…「やっぱ80`s、マイケルは、スリラーはサイコー!」という感じです。楽しくもあり感動的でもある名シーンです。
オープニングの音楽の使い方も面白いです。
キューティー映画の典型的なオープニングは
「映画が始まると同時に勢いのある曲がかかり、その曲をBGMに状況説明とキャラクター紹介をして(ナレーションで説明する場合も多々あり)、タイトルが出て音楽終了、そして物語の進行が開始。」
というものです。この間、時間的に2分程度のシーンが多いかと思います。
しかしこの映画では、ドラマが始まってもずっとオープニングでかかっていた音楽、The Go-Go’sの「Head over Heels」がBGMとして鳴りっ放しなんです。間奏部分がリミックスされかなり長くなっています。しかも最後は絶妙にアレンジされたエンディングで、そのままリック・スプリングフィールドの「Jessie’s Girl」に繋がります。これは面白い試みでした。
ちなみにこのオープニングで、ジェナとマットが下校して別れるときに「アリベデルチ」「オルボワール」と言っています。
「アリベデルチ」はイタリア語で「さようなら」、「オルボワール」はフランス語で「さようなら」。幼馴染の2人だけの秘密の挨拶なんですね。
30歳になったジェナがよく口にする「愛は戦場」は80年代にパット・ベネターの「Love is a battlefield」のこと。曲の邦題は『愛の嵐』なんですが、これが判らないとジェナの台詞「愛は戦場よ」が唐突に思えてしまいます。
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ドラマはとても面白いんですが、30歳になってからの主人公が、もうちょっと13歳的な行動をした方がいいと思いました。さらにラストがちょっと急いだ感が強い。
(ネタバレになります!)
ラスト、主人公が自分のそれまでの行動を反省して、再び子供に戻ったときに最初の時と選択を変えます。それによって歴史が変わります。
「if(もしもあの時)」という状況選択によって現在が変わるという物語は、使い方を間違えると夢オチくらい安直な解決方法になります。
答えを知ってから、その答えを回避するために人生の選択を選びなおすということは、それまでの自分たちの生き方を否定する事にもなり、安直な展開になってしまうわけです。
この映画はその安直の方に転んでしまったかなぁと。過去を否定してしまってはいけないんです。それを受け入れた上でどう進んでいくかを見せないと。
30歳になったときの自分の状況が悪いのを知ってて、過去に戻ったときに選択を変えて未来を良くするということは、同時にそれまでのヒロインの行動やがんばりすら全否定し、さらに観客が見ていた、それまでのドラマが全部「なかったこと」になってしまいます。
最後の最後、カメラがゆっくり引いていって写るもの2を見て「なるほど、小粋だなぁ。これがしたかったんだな。」とは思いましたが、それでもやはり安直な解決方法で、このラストのオチに持っていくのでは興ざめです。
やはり、心は13歳のままの30歳で、過去を振り返らず、物語の事態を解決してハッピーエンドに持ち込んで欲しかったです。