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第5回インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン2016開幕&オープニング作品感想

第5回インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン2016開幕&オープニング作品感想
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第5回インディアン・フィルムフェスティバル・ジャパン(IFFJ)2016が、東京ヒューマントラストシネマ渋谷で10月7日(金)から始まりました(大阪シネ・リーブル梅田でも10月8日(土)からスタートです)。2週間にわたり最新のボリウッド映画が集合しますが、7日にオープニングイベントとオープニング作品『カプール家の家族写真』が上映されました。


オープニングイベントの司会はダンサーのアンジェラ・ラーガさん。明るく元気なトークで会場をなごませました。
まずは開催に尽力したスタッフを壇上にあげて労をねぎらいます。この心遣いで一気にイベントがアットホームな感じに。
スタッフは元々インド映画ファンでこの上映会にお客として参加してたそうです。自分でも何か出来ることがないかということで、今では広報などで活躍されています。
IFFJ主催者のスレッシュ・ターティー氏の挨拶では観客に感謝しつつも自ら「1日に3つも4つも映画を見る人達はおかしい(笑)」と話して客席の笑いを誘っていました。
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その後インド映画研究家の高倉嘉男氏による、インド映画の解説や、今回上映される全作品の解説がありました。高倉嘉男氏の分析では今回の上映作品はトラディショナルなものから、今どきのインド映画のイメージを覆すものまで、バラエティに富んだ選定がされているとのこと。特に新規性のあるインド映画が多く、キューティー映画に限らずですが今のインド映画が体感できるものになっているようです。

そして、その後、インド映画の新規性という意味では今回の上映作品で最も注目の『カプール家の家族写真』が上映されました。

『カプール家の家族写真』感想

イギリスで作家として成功している兄(ファワード・カーン)と、同じく作家を目指すものの今ではアメリカでバーテンダーをしている弟(シッダールト・マルホートラ)。いつも死に真似ばかりしていたおちゃめな祖父が心臓発作で倒れたとの知らせを受けて2人は故郷のクーヌールへと戻ります。
祖父は一命をとりとめ、家族を集めて写真を取ることを熱望します。兄は親の勧めもあって故郷に家を持とうと探しますが、家の持ち主の若い女性ティアと出会います。ティアは兄にぞっこん。一方弟もティアとはパーティで知り合い気になる感じに。父は母から浮気を疑われ、兄弟は昔にあった出来事を引きずった上にティアを巡ってケンカ。家族はバラバラになっていくのですが…

というイケメン兄弟を中心に3世代家族を描いたお話です。
作品の導入部はとてもおもしろく、興味深く登場人物たちの悩みやケンカ、仲直りなどを見ていくことができます。
父母、兄弟、祖父、そしてヒロイン、みんな何かしら秘密を持っていてそれが劇中で分かっていく形になっています。それが時に驚きを、時に感動を与え、ドラマを引っ張っていきます。そして観客もいつしかこの家族みんなに親近感がわく仕掛けになっていて、その辺の描写作りや構成は見事だと思いました。

ヒロイン役のアーリヤー・バットのキャラクターがとてもいいです。どこか謎めいて、でも男をあしらうのもそこそこ慣れていて、明るく陽気に笑う、恋人というより友達の雰囲気を持つこのヒロインは兄弟を別の形で愛することになりますが、その芝居、キャラクター設定はアメリカ映画の最近のキューティー映画のヒロインのようでした。

そして後半ドラマは色々と展開があり怒涛のように家族の崩壊が描かれていくのですが、残念ながら「サンダンス映画祭御用達」というくらい、独立系映画としてはありがちなベタベタな展開で意外性は全くありません。前半が丁寧に描かれていただけに、後半の家族の崩壊と再生を「意外性」で描くことに気をとらわれすぎて、主人公の兄弟とヒロインの関係を描ききれなくなってしまったのはとても残念でした。

それでも家族の崩壊と再生を描くお話としては、とても見ごたえのある丁寧なドラマ作りだったと思います。
脚本もすごく練られていて、何気ない台詞や描写が全体ですごく活かされています。

歌とダンスは劇中に上手く組み込まれています。ヒロイン宅で行われていた若者たちが集まるパーティシーンでの歌とダンスの組み込み方は見事でした。
けど、そこ以外のシーンでは歌やダンスが完全に溶け込みきれておらず、なかったほうがドラマを見せる上では良かったと思います。
そういう意味では、内容と同様に映画自体が「新しくありつつも、どこか古風な風習に引っ張られてしまう」というのを示していたようでした。

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