Home インタビュー 『間奏曲はパリで』マルク・フィトゥシ監督インタビュー

『間奏曲はパリで』マルク・フィトゥシ監督インタビュー

『間奏曲はパリで』マルク・フィトゥシ監督インタビュー
6

フランス映画祭2014では様々なキューティー映画が上映されて楽しかったのですが、中でもダントツで構成、脚本、展開全てにおいて文句の付けようがないほど完成度が高かった作品が『間奏曲はパリで』でした。


marc-fitoussi-interview_01
この映画、フランスでは6月11日に公開されたばかりの作品で、同時期に行われてた試写も当初の予定日にマスター到着が間に合わず、試写が中止になり、改めて急遽行われたという経緯がありました。急な試写だったため試写当日も満席とはならず、評論家さんなどで観ている人も少ない作品だと思います。

ともかく、あまりに円熟した作りだったのでベテランの監督か脚本家かと思いきや、まだ40歳手前で、しかも監督・脚本を兼任しているマルク・フィトゥシなる人でした。調べてみるとこの監督の作品で、日本で誰でも観れるのは、iTunesムービーで観れる『探偵ポーリーヌ』のみ。早速観てみました。(2015年4月現在、配信されていません…再配信を強く希望します!)

ちょっと想像力がありすぎるヒロイン、ポーリーヌが、彼氏に振られた直後に休暇を過ごすために姉夫婦と共に訪れたイタリアのホテルで、たまたま知り合ったおばあさんが部屋からいなくなっていることに気付きます。しかしホテルはその事実を何故か隠してしまいます。これは事件の匂いが…調査開始!というお話。

これがとにかく可愛くて、面白くて、実によく出来たキューティー映画でした。脚本・構成的にずば抜けています。そして何より登場人物全てへの視線がとても優しく気配りが効いています。ちょっとした皮肉も見事。

これは注目すべき監督さんだ!ということで、フランス映画祭のゲストとして来日していたマルク・フィトゥシ監督にインタビューしました。

marc-fitoussi-interview_profile

マルク・フィトゥシ

英語と美術史を学ぶもすぐに映画へ方向転換し、パリで脚本を、ロサンゼルスで演出を学ぶ。初期の短編から脚本と監督の両方に名を連ね、本作に至るほぼ全作で両方を担当する。セザール賞にノミネートされた中編『Bonbon au poivre』(05)でその名を映画業界で知られるようになり、成功を夢見る若いアーティストたちをテーマにした処女長編『La Vie d’artiste』(07)でフランスの若い脚本家のための賞であるミシェル・ドルナノ賞を受賞。イザベル・ユペールとその娘ロリータ・シャマーの共演が話題を呼んだ長編2作目『コパカバーナ』(10)がカンヌ映画祭 批評家週間に出品される。サンドリーヌ・キベルラン主演の『探偵ポーリーヌ』(12)ではコメディにも挑戦している。

監督の作品では『探偵ポーリーヌ』と『間奏曲はパリで』を見せてもらいました。『間奏曲はパリで』はcueではイチオシ作品としています。

それは正しいですね(笑)

(笑)今日は、監督自身のことなど、色々と聞きたいと思っています。まずは監督の映画の作り方についてお聞きしたいのですが、監督が自身で書かれる脚本はとても緻密ですね。そして複雑に計算されている。素晴らしい脚本です。
その制作プロセスを知りたいので、お聞きしたいのですが、映画に散りばめられたバラバラな要素を、最後にきれいにまとめていくという、そのアイディアとテクニックはどこから出てくるんですか?

ありがとうございます。綿密でとても時間がかかってる私の作業に気付いてくれてるだけで、ほんとうれしいです。最高の賛辞です。

確かに脚本作りには凄く時間がかかります。複雑なレースを編んでるような感じです。推敲も何度もしますから、何千バージョンは大げさだけど、それくらい何度何度も推敲していきます。
その推敲の仕方っていうのは、脚本を書き終わって終わるわけじゃなくて、撮影中も編集中も、より良く、より洗礼されるように継続して推敲を続けます。

自分自身が映画監督兼脚本家として好きなスタイルは、映画として”てんこ盛り”の、たくさん人が出て、たくさんの要素を含んだ内容の「気前のいい映画」なんです。だから自分は気前のいい映画なら作れるな、というところから発想が始まってます。
逆に、登場人物が2人しか出ない密室劇を作れ、と言われる方が苦労しますね。

『間奏曲はパリで』は、若い男の子を好きになる熟年女性の話として観ていくと、不倫モノのようになっていき、さらに中年夫婦の話としても、そして旦那さんの奥さんへの愛の話としても観れるよう、話がどんどん思わぬ方向に展開していきますね。これだけ様々な視点を持つ映画を、監督は作るにあたって、まずどの視点をきっかけに脚本作りに取り掛かったのですか?

まずは女性が主人公である、というところですね。
今まで書いた脚本は全て主人公が女性なのですが、脚本を女性視点で書くと、私にとっては、どこかいたずらっぽさやファンタジーや突拍子もない行動とか盛り込みやすいというのがあります。

この映画に関してこれまでと違ったのは、撮影、編集と進めていく中で「あぁ、この映画は女性が主人公のヒロイン映画というより、カップルについて描いてる映画なんだ。」と改めて気付かされたことです。それは当初自分でも想定していなかったので驚いています。
そういう風になったのは、やはり夫役のジャン=ピエール・ダルッサンの存在感が大きかったですね。