Home 映画祭 料理コメディだけど、ちゃんとキューティー映画してる『総舗師 – メインシェフへの道(祝宴!シェフ)』

料理コメディだけど、ちゃんとキューティー映画してる『総舗師 – メインシェフへの道(祝宴!シェフ)』

料理コメディだけど、ちゃんとキューティー映画してる『総舗師 – メインシェフへの道(祝宴!シェフ)』
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台湾でこの夏大ヒットした料理コメディ映画です。第26回東京国際映画祭で上映されました。(追記:2014年『祝宴!シェフ』の邦題で公開されました。)
これが実にキッチリと定石を踏まえて作られたキューティー映画でした。


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総舗師 ― メインシェフへの道(祝宴!シェフ)

20年以上前の台湾では、屋外の宴席で腕を振るう出張料理人(総舗師)のうち、「愚人師」「鬼頭師」「蒼蝿師」の3人の名人が並び称されていた。「蒼蝿師」を父に持つ少女シャオワンは、アイドルを夢見て家を飛び出していたが、父の死をきっかけに帰省し、傾いた家業を継ぐことを決意するが、料理は初心者。時代の趨勢で屋外の宴会ビジネスも衰退の一途をたどっている。はたして二代目総舗師シャオワンと家族の運命は?
『熱帯魚』『ラブゴーゴー』で1990年代の台湾映画を牽引した喜劇王、陳玉勳(チェン・ユーシュン)監督、実に16年ぶりの長編で復活!

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映画はまずヒロインの現状を面白おかしく描写します。

ヒロインはアイドルを目指して都会に出てきても全く芽が出ずオーデションに落ちてばかり。
ダメ男に引っかかり、その男の借金の保証人になってたため、自分の誕生日には彼氏の代わりに借金取りがやってきてお祝いされる始末。
借金取りから逃げるために、大きなピンクのキャリーバッグと紙袋を抱えて駅に向かうものの、持っていた紙袋をホームレスに引ったくられ、引っ張り合ううちに紙袋が破けてあたりに散乱したものは、大事なブランド物の化粧品の数々。
「なんだ、食べ物じゃないのか」と捨て台詞を吐いて逃げるホームレスを尻目にせっせと化粧品を拾うヒロイン…

どうですか?このシチュエーション。完璧でしょ?(笑)
もうこの冒頭から怒涛のキューティー映画お約束シーンの連続に感激の涙が出ました。いや、ほんとです。

このヒロイン、お父さんは伝説の総舗師(ぞんぽーさい)と言われた料理人の娘という設定です。

台湾ではお祝い事で野外に円卓テーブルを出し大勢の客に料理を振舞う伝統的な「辦卓」というのがあるそうです。そこで料理する料理長のことを総舗師というそうで、今風に言うならケータリングサービスの料理長ということでしょうか。

映画はこの辺の予備知識がなくても、見てるうちにちゃんと分かるように出来ています。さらに劇中の後半に、総舗師の存在が料理を作る人全ての真髄を示しているということを観客は知る仕掛けになっています。この辺の見せ方のアイディアが実に巧みでした。

さて物語に戻ります。
借金取りから逃げるため田舎の実家に戻る途中の電車でヒロインは1人の男と出会います。彼は旅をしながら行く先々のお店の料理の欠点を指摘し直す料理コンサルタントでした。これが後にヒロインの恋のお相手となるわけですが、この男も何やら料理コンサルタントとは別の目的がありそうな感じです。

男と駅で別れたヒロイン、実家に戻ってみると実家はもぬけの殻。母親がギャンブルで借金をこしらえて逃げたそうで、その後を追うと小さな飲食店をやっていました。父なき今、母親の料理の腕では昔の評判を呼び戻すことはできません。ヒロインはそこに居付き母のお店を手伝うことになります。

母親役に台湾では有名なコメディアンヌの林美秀(リン・メイシュウ)が演じていますが、下手するとうるさいだけのキャラになりがちなお笑い担当のキャラを、実に絶妙なコントロールで血の通った面白いキャラにしていました。非常に演技力のある女優さんだと思います。
そうそう、彼女の演じた母親役はセリフに「ワンピース」「ルフィー」「AVギャル」なんていう言葉が混ざっていましたよ。

そんなお店に老カップルがやってきます。伝説の総舗師である父親に客席10席ほどの自分たちの結婚式の料理を作ってほしいという小さな依頼でした。
老カップルは、自分たちが出会った宴で食べた思い出の料理を書いたメニューを渡しますが、どれも今は作られることがない古典料理ばかりでヒロインも母も困り果ててしまいます。そんな時に現れたのが料理コンサルタントの彼でした…

ここから物語は古典料理の復活をヒロインと料理コンサルタントで進めていくのかと思いきや、2人は敵対関係となります。さらに大きな試練がヒロインに置いかぶさり、2代目総舗師として自分の力で何とかしなくてはならなくなります。