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プライムビデオに隠れて存在している優良キューティー(TV)映画たち PART2

プライムビデオに隠れて存在している優良キューティー(TV)映画たち PART2
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ラブ・エディター


大手出版社で働きベストセラーをこの手で作りたいと夢見るアビー。これまでも編集経験はあり、出版事情にも精通しているとはいえ、なかなか仕事には恵まれない。そんな彼女が人気出版社で臨時採用が決まる。だがその仕事は、忙しい女編集長の恋人候補を探し出すというものだった!
ラブ・エディター(字幕版)を観る | Prime Video
原題「The Dating List」
まず最初に結論から書きますと本作はキューティー映画のお手本となるべき作品。傑作です。

ヒロインを演じるナタリー・ドレイファスは『ジョーズ』『未知との遭遇』などで主演を演じたリチャード・ドレイファスの甥っ子にあたります。ちょっと野暮ったい元気っ娘ながら、ちゃんとヒロイン然とした美しさとかわいさを兼ね備えてドレスアップも見応え充分…と、コミカルなキューティー映画ヒロインを見事に演じていました。
相手役のアンドリュー・ダンバーも細身で髭面ながら、コミカルな芝居の受けもできる魅力的な男優です。

監督のデヴィッド・I・ストラッサーは2019年の本作をきっかけに、以後キューティーTV映画をすでに6本監督しています。本作を見れば、非常に優秀な監督であることは一目瞭然です。

脚本はエイミー・テイラー(エイミー・キャサリン・テイラー)とケリー・ピータース(Kelly Peters)。2人共『ラブシェア』の脚本ヘルプを担当し、それが認められたのか本作ではコンビで脚本を担当。『ラブシェア』とはうってかわって見事な構成と気持ちのいいキャラクターたちを創出しています。

新人編集者のヒロインが憧れている一流出版社に就職するの条件が、婚期を焦っている鬼編集長の膨大な数のデート相手資料から理想の相手を探し出すこと。それがうまくいけばご褒美に本を一冊編集することができます。一方、素性を隠している人気作家はヒロインが勤める大手出版社と契約していますが、ここ数年新作を発表しておらず、代わりに知り合いの小説の処女作を手伝っています。そんな作家が友人のエージェントのふりをして出版社のヒロインと偶然出会い、ヒロインは憧れの作家と知らず彼を鬼編集長にピッタリだと紹介することに…

一見かなり無茶苦茶なお話に見えますが、コミカルな会話や意外な展開で事態は二転三転しながら最後は良い落とし所に持っていくあたり、実によく出来ている脚本だと思います。

『プラダを着た悪魔』や「シラノ・ド・ベルジュラック」など、過去の名作たちをうまく消化していてオリジナルに昇華している感じです。それが本当にうまい。
ヒロインが生活のために「下水処理のマニュアルの校正」という地味で面白みのない仕事をしていたり、ヒロインと同居している友達が色々と助けてくれたり、人気作家がヒロインに自分の素性を隠したまま自身の未発表小説を読ませてヒロインが素直な感想を言う場面など、全体にヒロインのぶっちゃけぶりやコミカルなセリフやテンポが、『エマの秘密に恋したら』『お買い物中毒な私!』原作者ソフィー・キンセラが書く小説を連想しました。

そんな巧みな脚本を、テンポ良いカット割りと芝居指示も的確でコンセプトに間違いのない演出とそれに応えた魅力的な役者たちで見事に映像化に成功しています。

ピース・オブ・ケイク グランマのレシピ


祖母のレシピを大事に65年の伝統にこだわるジェシー。だが家賃も材料費も高騰、経営を安定させないと店は生き残れない。そこで新たにウエディングケーキの販売を開始。有名デザイナーから注文を受ける幸運に恵まれた上、彼女の弟との出会いが仕事中心だったジェシーを変えていく!
ピース・オブ・ケイク グランマのレシピ(字幕版)を観る | Prime Video
原題「Love is a Piece of Cake」
「セックス・アンド・ザ・シティ」前史にあたる「マンハッタンに恋をして ~キャリーの日記~」でサマンサを演じていたリンジー・ゴート主演作です。サマンサとは打って変わって、真面目なケーキ職人を演じます。

祖母からお店とレシピを受け継いだヒロインは地道にケーキ作り一筋。一緒に働く営業担当が決めてきた大手デパートとの契約も断り、一緒に働く同僚女性憧れの女性デザイナーからのウェディングケーキの依頼にもあくまでも仕事の依頼で対応します。女性デザイナーの弟は妻を亡くし幼い一人娘と一緒です。娘を通じてヒロインと弟は仲良くなっていきます。しかし、ケーキ屋のテナントが競売に!そこでヒロインはお店を守るためこれまでの方針から一転、お店を買い取るために大手デパートと契約し社員も増やして忙しい毎日を送るようになります。しかしお店の競売は失敗し、引っ越すどころか、ヒロインは祖母のお店を守れなかったことから廃業を考えるようになる…というお話です。

お話の展開は、あまり意外性はなくサクサクと進みます。とっても見やすいです。
生真面目で一本調子なヒロインを支える同僚2人、ミーハーで恋愛相談役の白人女性と営業と経営担当の黒人男性の親切コンビがとてもうまくお話に機能しています。
この2人のキャラクターを通して視聴者はヒロインを心配したり応援したりすることができます。
それぞれを演じていたリンゼイ・ウィンチ(Lindsay Winch)とジェイム・M・カリカ(Jaime M. Callica)もコミカルな芝居をうまくこなしていました。

監督は上記『ラブ・エディター』のデヴィッド・I・ストラッサー。この人、ホント演出が安定していてうまいです。役者に無理な芝居はさせず、ナチュラルながらしっかり劇中のキャラクターの個性を作り出しています。

そして本作は撮影が素晴らしいです。撮影監督はアンディ・ホッジソン(『ウッドランド』)。
ケーキがたくさん出る映画なので、ケーキの華やかさや清潔感を写し出しながら、ケーキ屋のセットは予算的にも、決して長年続いているクラシカルなものとは言いにくいのですが、そこを陰影で深みのある画作りで、お話に合った優しいクラシカルなお店の雰囲気を作り出しています。

ヒロインが頑なに守ってきたものから開放され、次に進むクライマックスが、このお話のテーマです。自分自身のために何をすることが正しいかを考え、実行したヒロインの行動はキューティー映画らしい幸せなラストに向かいます。