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“J.T.リロイ”こと「サラ、神に背いた少年」著者 ローラ・アルバート インタビュー

“J.T.リロイ”こと「サラ、神に背いた少年」著者 ローラ・アルバート インタビュー
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ローラ・アルバート


1965年、アメリカ・ニューヨーク州ブルックリン生まれの女性。1996年からJ.T.リロイ名義で小説を書き始めた。「J.T.リロイ」という名前は、先に自分が創り出していた2つの名前「ジェレマイア」と「ターミネーター」の頭文字と、彼女が相手をしたテレホンセックスの客の名前「リロイ」から取っている。現在自伝を執筆中とのこと。

あなたの書いた小説「サラ、神に背いた少年」「サラ、いつわりの祈り」は少年愛、女装など背徳的な内容に溢れていました。当時に比べて今、そういった類の小説はジャンルとしてはメジャーなものになっています。あなたは当時どういう気持ちで「サラ、神に背いた少年」を書いたのですか?

「サラ、神に背いた少年」を書いた時には「ジェンダー・フルイディティ1」という言葉はありませんでした。今は様々なジェンダーがあります。
「J.T.リロイ」はトランスジェンダーではないんです。それが今、トランスジェンダーして語られる時があって、こちらが困惑してしまいます。

私がテレフォン・セックスの仕事をしていた時、女性のパンティを履きたいとか女装をしたいという欲望を抱えている男性が多くいました。
彼らは普段、ごく普通のとてもいい人たちで既婚者が多く、ノーマルな人が多かったです。でもそういう欲望は恥であり秘密だったので、テレフォン・セックスのサービスを利用するしかなったんです。
そういう時代に、私は人が人に対して偏見を持たない、道徳や基準など色んなものが混沌としてひっくり返っている世界を描いたんです。

『トワイライト』をSM的な愛で再構築した『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』など、ファン・フィクション(2次創作)が流行っています。今ならあなたもファン・フィクションを書いてみたいと思いますか??

とっても良い質問ね。本を読んでいて、物語の伝え方が個人的に好きじゃなくって「こうなったらもっと良くなるのに!」とかそういうのはよく考えます。
その時代性ゆえに、もっと突き詰められなかったんだろうな、と思うことはあって、そこを自分の創造性で埋めたくなるときはよくあります。
そういう意味では、話を創造した人が、そのお話の最終決定権を持たなくてもいい、とも思っています。

たとえば「オリバー・ツイスト2」のファン・フィクションを書くとしたら、そこに少年愛を入れたり、とってもセクシャルな世界にしてみたいわね。ビルとナンシー3がSMセックスをするとか。
チャールズ・ディケンズ4の墓穴を掘り直すくらいに色々変えてみたいわ(笑)

日本には「腐女子」と呼ばれる人たちがいます。ご存知ですか?

ええ。男の格好をしている女性がいるのを見たことがあるわ…それとは違うの?
(腐女子とBL(ボーイズ・ラブ)について説明を受ける)
なるほど、すごく興味深いですね。
”私たちの世界(BLのこと)”では、美しい少年には神聖なパワーがあると思っています。そしてその美しい少年が自身のアバター(化身)となって物語を作ります。それは欲望の対象であると同時にイノセンス(純粋無垢)な存在でもあるんです。

女の子が自身のアバターとして少年を用いてBLなどを表現すると、なんとなく性的でいやらしいと見られがちですが、男の子がゲーム、例えば『トゥームレイダー』のララ・クラフトを扱っていても、それは普通のことで悪く見られません。ここが興味深いです。

将来的に、みんな自分のアバター(化身)を持つようになって、アイデンティティが色々気軽に使い分けられるようになっていくと思います。その結果、逆に「自分って何だろう?」と思うことになると思うし、「なんでアバターを使い分けているんだろう?」って自問自答することになるんでしょうけど、結局、そういった行為を含めて、自分のトラウマを隠すためじゃないかと思いますね。

  1. gender-fluid。日本語では「ジェンダーの流動性」とも訳される。恋愛や好意の対象の性別を定めない。バイセクシャルが自身の性別を自認した上で両性を恋愛対象とするのに対して、相手との関係性において自身の性別の自認を変動できる人/事象のこと。最も権威のあるオックスフォード英語辞典が2016年に新語として追加した。 []
  2. 1838年に出版されたチャールズ・ディケンズ原作の長編小説。出生に秘密を持つ孤児のオリバーが、子どもたちを使ったスリの悪党に一味にされそうになり、親切な老紳士に助けられたりするが、悪党に追われることになり…というお話。何度も映画化されている。 []
  3. ビルは「オリバー・ツイスト」でオリバーの命を狙う最も暴力的な悪党。ナンシーはビルの情婦で、ビルを裏切ってオリバーを助けたため、ビルに撲殺される。 []
  4. 「オリバー・ツイスト」の原作者。「クリスマス・キャロル」「大いなる遺産」など数々の名作を送り出したイギリス出身の作家。 []

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