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『ズートピア』バイロン・ハワード監督インタビュー

『ズートピア』バイロン・ハワード監督インタビュー
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『ズートピア』バイロン・ハワード監督への電話インタビューです。『ズートピア』でのアニメーション技術について聞いてみました。ちょっと専門的な内容ですが、ディズニー・アニメの真髄に触れることが出来ます。

バイロン・ハワード監督インタビュー

ハワード監督は『ボルト』なら背景を手書き風にする、『塔の上のラプンツェル』では伝統的な手描きアニメーター、グレン・キーンを中心にその動きを積極的に導入するなど、アニメーションとしての表現で新しいチャレンジをしてますね。今回ズートピアではそういった技術的な挑戦はありましたか?

ズートピアでは雨や氷、ビルが並ぶ都会など、5つの全く異なった世界を同時に描くのが大変でしたね。
そして表現として一番苦労したのは「毛」の表現。
劇中で何千匹ともいえる動物が登場する中、実際の動物と同じように様々な毛並みを、リアルな質感を含めて作っていかなければいけなかったんです。そこで新しいツールを開発しました。『ボルト』の時点では技術的に出来なかった表現なんだけど、今回は「毛並みを風が吹き抜ける」という表現ができるようになりました。

あとライティング。『ベイマックス』で開発された光をシュミレーションするレンダリング・ソフト「ハイペリオン1」を使ったおかげで、実写と全く同じように画面内に演出的に照明を当てる表現が可能になったんですよ。
byron_howard_01

アニメーションの「動き」について

さて、ここで、この後インタビューでも登場するアニメーションの動きについて説明をしておきます。

海外ではディズニーの往年の名アニメーターによる有名な教則本があり、そこでアニメーションの動かし方について、12の基本原則(12 Principles of Animation)というのが定義付けられています。ここでは全部説明しませんが、その中でもテクニックとして分かりやすいものに、「潰しと伸ばし(Squash and Stretch)」「予備動作(Anticipation)」があるので、この2つを例に説明してみましょう。

「予備動作」は、例えばキャラクターが走り抜けるとき、走る前に「よっしゃ!」と、一度ポーズを取ってからピューと走り抜ける表現がありますよね?その時の「よっしゃ!」のポーズのことをいいます、って、実にわかりにくい説明ですね(笑)
以下の動画に分かりやすい実例があります(走りの動画の説明が終わったら、このページに戻ってください)。

「潰しと伸ばし」は、驚きの表現などでよく見かけるものです。一度大きく縮んでからおもいっきり伸びるという誇張表現のことです。先ほどと同じく、以下の動画の顔の表情の違いが分かりやすいでしょう(顔の動画の説明が終わったら、このページに戻ってください)。

海外のアニメーターは、手描きでもCGでも、まずこのような基礎テクニックを学ぶところからスタートします(日本のアニメーターも形は違えど、同じことを学びます)。プロのアニメーターとは、これら12の原則を色々使い分けたり組み合わせたり、さらに実際の動きを観察して分析したりして、複雑な動きを表現しているのです。

このようなアニメーションの動きのテクニックをちょっと知るだけでも、『ズートピア』を見た時に違う楽しみ方が出来るはずです。『ズートピア』の動きはこれまでのCGアニメの中でも突出して素晴らしい出来でした。それはこれまで伝統的にオーバーアクション気味に動かしていた、動作のスタート時に付けられていた「予備動作」などをかなり抑えて、自然で実写的な演技をしていた点です。その辺りの秘密をアニメーター出身であるハワード監督に聞いてみました。

『ズートピア』でのキャラクターのアニメーションの動きについてお聞きしたいのですが、演技の付け方が、伝統的なアニメーションのオーバーアクト気味な動きではなく、実写映画の演技に沿ったようなものだったと思います。その辺りは意識されたのですか?

よく「お気に入りのシーンはどこですか?」と聞かれるんだけど、個人的に、アニメーションとして一番気に入っているシーンというのがあって、映画の後半、ジュディがニックに橋の下で涙ながらに謝るというシーンなんです。

あそこは声を担当したジェニファー・グッドウィンの芝居もエモーショナルでとっても素晴らしかったんだけど、それがアニメーションの動きで見事に表現され、さらに感動的になっていたんですよ。

そのシーンを手がけたのはキラ・レトマーキ2。彼女は『塔の上のラプンツェル』の時には1アニメーターだったんだけど、その5年後にチーフ・アニメーターに昇格して活躍しているんです。
byron_howard_02キラ・レトマーキ
あのシーンのジュディは、あなたが言うように、芝居が実にさりげなくて、非常に実写的で繊細な動きの表現をしている。
そして画面のすべてが作り物であるアニメーションを見ていることを観客に忘れさせるくらい、感動的に仕上げている。
観客を、作り物のである映画やアニメーションの世界に完全に入り込めさせるのはとても大変なことなんです。
そういう意味でもあのシーンは成功しているし、とても大好きなシーンです。
あそこのシーンは何度見ても泣いてしまうんだよ…(笑)

確かにあそこは絶妙な芝居が素晴らしかったですね。そういう意味でも今回のアニメーションの動きの付け方は、「予備動作」など、アニメーションの伝統的な技法がとっても控えめだった印象です。そういう取り決めがアニメーター間であったのでしょうか?

よくそういうところに気付いてくれましたね。しかし、あなたはアニメーションについてすごく詳しいね!(笑)

我々アニメーターは初心者の頃、そういった予備動作やポージングなど基本動作を学んだあと、それらを使ってアニメーションを作ってもまだまだ大雑把だったりするんですけど、経験を積んでいくと、だんだん微妙な表現、さりげない表現ができるようになってきます。
そして微表情(マイクロ・エキスプレション3)の表現を、眉毛とかまばたきなどを使って、その時の感情を鮮明に伝えるというテクニックをだんだん身に着けていきます。

今回はそういったことが出来る優秀なアニメーターたちが集まってくれたおかげで、監督としては一気に表現の幅が広がりました。
コミカルな派手な動きと感情を訴える静かな動きを使いわけて、メリハリのある素晴らしいアニメーション映画が作れるようになりましたね。

アニメーションの専門的な質問をしておいてなんですが、うちはキューティー映画を専用に扱うサイトでして…

えぇー!そうだったの??(笑)
(通訳さんが監督に「サプラーイズ!」と加えてくれました(笑))
そこでハワード監督がお好きなキューティー映画をあげていただきたいのですが。

そのジャンルは本当に大好きなんだよ。たくさん見過ぎててパッとタイトルが思いつかないなぁ…なんだろう…

『ズートピア』に関していうと、ニックとジュディはロマンスではない、もっと深いつながりがあるという点でキューティー映画の精神を持っていると思っています。
ツイッターなどを見てると「ニックとジュディは結婚して子供をもつべきだ!」「いやいや、あれは恋愛に発展しないのがいいんだよ!」とか、色んな意見が飛び交ってて、みんなが2人の関係をとても愛してくれてるんだなと思うんだけど、友情やロマンスなど男女間の化学反応を描いたキューティー映画の影響が作品に出ているから、そうした議論が生まれるのかな、と思ったりしますね。

キューティー映画が大好きなハワード監督なら、人間のキャラクターでアニメーションのキューティー映画を撮る可能性もありますか?

ディズニーというところは次のプロジェクトをやるときに「次はこういうのを作れ」とは言われないのが素晴らしいところで、「とにかく君がやりたいことをやれ。君が一番情熱を感じる題材を選べ」というふうに背中を押してくれます。

そういう意味では『ボルト』『塔の上のラプンツェル』『ズートピア』と、これまでもそれぞれ全く違うタイプの映画になっていると思うし、常に新しい題材に取り組んでいきたいと思っています。

個人的にキューティー映画の中でも、ファンタジーやミュージカルも大好きなので、そういうジャンルもアニメーションで描いていきたいですね。

『ズートピア』は、8月10日(水)より先行デジタル配信開始!続く、8月24日(水)にMovieNEX(4,000円+税)が発売!


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  1. CGを最終的な画面に仕上げる過程に光や影などをリアルに表現する「レンダリング」という作業がある。これまでCGアニメーション界ではピクサーが開発したソフト「レンダーマン」がレンダリング・ソフトとしては長く主流だった。それに代わるべくディズニーが開発したのが「ハイペリオン」という新しいレンダリング・ソフト。 []
  2. 『ズートピア』アニメーション・スーパーバイザー(日本でいう作画監督に近い職種)の1人。主にジュディを担当した。彼女はディズニーランドでキャストとして働いていたこともある。 []
  3. 人間は感情表現において、0.2秒以内の一瞬の微妙な表情に真の感情があると言われている。それを学術的に微表情(マイクロ・エキスプレション)と呼ぶ。 []

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